こんばんは。林修ナイトの時間です。
「あすなろラボ」で林修さんの授業の第4弾がありましたので、番組内容をテキストにしました。(1)からのつづきです。
恋愛における男と女の脳の差
「男女の脳の差について書いてあるんですよ」
「でこれをですね、あすなろラボの前の企画のときにも突然恋愛について振られて生徒さんに、パッと一部だけ使ったんですが、そこをちょっとまず詳しく、お伝えしたいと」
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「前の企画のとき」とはこちらです。→6月9日放送分「落ちこぼれのヤンキー」向け特別授業「恋に落ちるときの男と女の違い」
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「これは、この理論を元に、僕自身で少しアレンジしました。まず男性の脳なんですけれども」
♪BGM:《Your Song(僕の歌は君の歌)》(Elton John, 1970)
黒板に大きな○を書き、ゾーンを書き分けていく
「こうあったときにですね、女の子を見ると必ずどっかの箱に分けます。意外とこの一目惚れゾーンってのが広いです。あっいいなってポーンとここに入るともう恋愛対象です。でまあ、何とも思わないゾーンっていうのがこのぐらいあって、絶対イヤってゾーンはそんなに広くないんです男の場合」
小沢「それ10で割るとどのぐらいですか」
「これ個人差大きいですね。でも、ここ(一目惚れゾーン)に入るともうその日から、一目会ったその日からってことになるのはここにポンと入る」
小沢「惚れやすいのが男?」
「そうですね。こういうこと言った人います」
ナレーション)イギリスの劇作家、クリストファー・マーロウの名言で「最初のひと目で恋を感じないなら、恋というものはないだろう」
イギリスの劇作家 クリストファー・マーロウ
Christopher Marlowe(1564-1593)
「完全に男の論理です」
小沢「これ女性には当てはまらない?」
「まあ、数は少ないですよね。だからこういう脳だとこういう言葉が出てくると」
「じゃあ女の子はどうなのかっていうと、一目惚れゾーンはね、ほんとに狭いんです。まずここに飛び込めるのは、福山さんとか、木村拓哉さんとか、そういう一部の特権階級。でも普通多いのが、最初は何とも思わなかった。テレビドラマでも、女性がずーっとこう1回2回3回4回と一緒にいるうちに、だんだん好きになっていくパターン多いじゃないですか。男がだんだん好きになっていくパターンてあんまりないですよね。男は最初から好きなんだけど実は親友が好きだからっていって自分の気持ちを抑えてたみたいな感じ。でも7回目ぐらいになったらもう俺はお前にほんとのこと言うよ、みたいな。そうしたらその親友が急に病気で倒れちゃったりして」
小沢「先生、どのドラマの話ですか」
「まあそういうのがよくある話として。でここはですね、別にお友達でどっちでもいいと。ここにいるうちはチャンスがあるんです。でここが、地獄のゾーン、生理的に受け付けないゾーン」
LINA「でもさ先生、私はないんですけど、人によっては、最初なんか印象悪くって、あまり好印象ではなかったんだけど、嫌いなタイプが好きになる」
「嫌いっていうのはここ(お友達ゾーン)なんですよ。生理的に受け付けないっていうのはもう、嫌いっていう感情以前です」
おかもと「その人とキスできるかできないかっていったらできないみたいな」
「というより半径5メートル以内はイヤっていう」
小沢「もうそこに入っちゃったら出られないんですか」
「これはもう不動です。無理です。出られないです。僕はだから生徒に言うんです。ここに入らないようにするためにいちばん大事なことは何かっていうと、(板書)清潔感だ」
女の脳はどう恋に落ちる?
「で女性の場合はですね、ここ(お友達ゾーン)にいる人に対してだんだん感情が変わっていくってことが非常に多くて、最初はですね0点から始まるケースもありますし、(直線を板書して)0点、むしろ、何よあいつってマイナスからですよ」
「あのぅ僕の勝手な思い込みですけど木村拓哉さん出てくると最初にまずこっから始まるパターン多いですよね。何よあいつプンプンプンみたいに言われてて、もう何この新入りみたいに、どうしちゃったの?みたいな言われてて、だけどこう2回3回とこう陰(で)、なんか偶然いいことやってるとこ見ちゃう。そうやってくるとグングングンと上がってくるの。でどんどん加点してって、そして絶対にヒロインが大変なことになってるのを救ってくれる回があるんですよ。でまたぶっきらぼうに言われたりして『気を付けろ。だから言ったじゃねぇか』みたいな。ていうことでギューンっと上がるんです。そしてついにどこかで、まあその合格点も人によって違うんですけど、ここでこれを突破したときに合格なんです。もうこの(一目惚れ)ゾーンに移行するってことなんです。ゾーン移行ですこれは」
小沢「じゃあ、テレビドラマの恋愛っていうのはほぼ正解っていうことですか」
「やっぱり、ひとつのパターンをしっかり(描いてる)。いろんなパターンあるんですけど、でも世の中の人が見て納得いくっていうことはそういうことがたくさん起きているってことですよ」
LINA「はい。いい印象で始まったのと、悪い印象からよくなるの、どっちが長続きするのかな」
「それは、自分の男がですね、どういう意識で自分を見てるかですね。これは最初からいいゾーン入ったけど、ちゃんとキープしないと嫌われるかもしれないなっていうふうに思う男なのか、もう俺大丈夫ってあいつ俺の女だから何やってもいいよっていうこのタイプビューンと落ちていきますね」
LINA「男性努力だ」
「もちろん男は。合格点取ったらこのあとは維持するための努力をし続けないとほんとはいけないんです。でも意外と気を抜きますよ。ヒューン。それでカップルが壊れるんじゃないですか」
LINA「それは気持ちがなくなったから気抜くの?」
「まあ、安心感ですよね。最初のこのゲットしていくときのがんばりっていうのが、キープできる人とできない人がいる」
「恋愛ってそういうものすごい危ういもので、そんな簡単にいくもんじゃないってことを書いてあるわけですよ。そうすると、実は失恋っていう、失恋失恋と一言で言いますけど、4パターンに分かれるんですよ」
「失恋」の4パターンとは?
「もしこの脳のモデルが正しいのであれば」
「男の場合なんですが、実は失恋には2パターンありまして、恋が終わるケースと、恋が始まらなかったケースがあるんですよ」
杉原「失恋で?」
♪BGM:《Shape of My Heart》(Sting, 1993)
「はい。それをみんな失恋失恋と言うんですよ。つまり、全然付き合ってなくて、告白して振られたっていうのは、恋が終わったんじゃなくて、始まらなかったんですね。で、もうひとつの失恋は実際に付き合ってて別れようとなる。これは恋が終わったんです。でもこれが日本語はなぜか失恋って言葉しかないんですね」
「そうすると、この男の方の始まらなかったっていうのは、ここ(一目惚れゾーン)に入れなかったってことなんですよ。で元々ここに入るの大変なんですから、それを失恋したんだよって自分勝手に言ってても、じゃあこっからこっちにゾーン移行するための努力をお前どんだけしたんだと。彼女がこういいよと思うために何をしたのか。もしかして君ここ(生理的に受け付けないゾーン)にいたんじゃないの。もうここにいて、振られてもないのにそんなこと言う資格すらないんだよって話になるわけです」
「問題は、そうやって1回ゾーンに飛び込んだのに、こっちに落ちたケース。もしかしたらここまで行きますからね。もうあの男のハンカチも触りたくもない。一挙に2ゾーン降格みたいな。こういうことが起きるのはなぜかで。この終わったはいちばん深刻ですよ。これはやっぱり絶対男が何かをやらかしたんですよ」
LINA「原因として」
「原因として。これを今世の中では振られると言うんですけど、この経験をたくさんした方がいいんだよって話を生徒にするんです」
杉原「へー、振られた方がいい」
「まぁ振られた方がいいですよ。まあ僕はあの3回ぐらいひどいのをやってますけど、やっぱり振られて、しかも付き合ってた彼女に振られると、ここからなんでこっち来たんだろう。あんなに好きって言ってくれたのに。そういうふうに言ってくるなんでだろうとなるとやっぱり自分の中でね、もうこいつは俺の女だからとかっていう気の緩みがある。最初は絶対遅刻しなかったのに待ち合わせいい加減になるし、あごめんちょっと今日悪いけど友達の方行くわって、どんどんどんどん彼女をですね、雑に扱うようになってって、せっかく点数が上がってたのに減点食ってバーンって落ちてるわけですよ。そしたらそういうふうにして自分を見つめ直すのにすごくいい機会になる。そこで真剣に自分に向き合えば、成長していけるから、とにかく大学時代っていう、あの仕事が始まってからだとまあそういうのに影響が出ちゃったりする可能性もあるんで、なるべく学生時代にやっとけ。3回はやっとけと」
「じゃ女性の場合ですね、この始まらなかった。これ多いんですよ。だって男はこっからここなかなかゾーン移行しにくいんで。逆にここ(一目惚れゾーン)にぽんぽんぽんぽん入る女性もいるわけですよ。やっぱりね男はバカですからね、外見ってけっこう大事なんですよ」
小沢「いやだってほんとに、外見以外にわかる情報なんてないんだもん。それこそ清潔感とかもそうだけど、極端なことを言うと性格だって外見に出てます」
「あ、おっしゃるとおり。出ます出ます」
紫吹「出てるんですか? じゃ言ってみて私の性格」
小沢「こういうタイプです」
「女性のここ(終わった)は、これねぇ今のシステムで考えると、絶対的に女性の方が不利なんですよ」
♪BGM:《My Heart Will Go On》(Celine Dion, 1997)
紫吹「なんでなんで」
「つまり男は、最初ここにいて加点してこっち行きますよね。いいとこ見てもらってこっち行ってるんですよ。(女は)最初の評価が高いんで、もともと落ちやすいんですよ。だから付き合ってみてあれ?かわいいと思ったけどこんなふうかみたいな感じで、もともと構造的にこの脳のシステムがもし正しいとすれば、女性の方がこれ確率的に起きやすいんです」
「そういうことを考えてじゃあ実際に彼ができたからっていってそこで気を抜かない。相手がどういうふうにしたらいいか、相手がどうしたら喜んでくれるかとかっていうふうに考えていかないと、恋愛なんてそう簡単に維持できるものではないんですよ」
LINA「でも、そう思ってがんばって、女性はほら、好きな人に気持ちをさあ、全部あの体でとか、全部表現したいんですよ」
MAX Linaの恋愛事情
LINA「編み物とかも好きなんですよ。だから毎回、付き合う男性には手編みのセーターとかを、そう、あげちゃうんですよ。で、趣味だから、自分のレベルも上げたいっていう技術的なものもあるんだけど、そうやってあの仕事が終わったりとか、移動中の時に、その彼のことを思いながら、編んでる時間がすっごい幸せ」
「ちょっとキツいこと言いますけど」
LINA「いや、言わないで」
「それ、自己満足ですからね」
♪BGM
自己満足にならない恋愛のポイント
「いや、あのぅ、ほんとに、まあいい恋愛をたくさんされててずっとハッピーな方世の中にいらっしゃいますけど、それは幸運ですよ。そんなにめったにカップルできるもんじゃないんですよ。で、できたとしたときに、もう大変な労力をもって維持していかないと無理なんですよ。ですから何となく居心地のいい状態キープしといてちょっとさみしいからこん時だけ便利に彼っぽくしてほしいなんてそんな感覚じゃダメで」
「恋愛においては、ま僕もそんな偉そうなこと言えないんですけど、すごく大事なのが(板書)距離感。と、自信のバランス。つまり、人が心地いいと思う他人との距離感って人によって違うんですよ。これぐらい離れている方がいい人もいれば、これくらいくっついている方がいいわけで。相手が嫌いな距離感に入っていくともうそれは愛しているんじゃなくてわがままなんですよ」
「このくらいの距離にいてほしいっていうのにガーッと寄ってくと、それはもう勘弁してくれ、それは本当に僕のことを大事に思ってることじゃないじゃないかってことになりかねないですよ」
LINA「わかってくれとは言わないけど、言ってないけど、ただ相手を思ってがんばってるのに、それを逆に重いとか」
紫吹「わからないとかね」
LINA「とか、っていうふうながんばりを認めてくれないじゃん。逆に拒否されるっていうか」
「あのぅ、LINAさんがいろいろ苦労されていることはわかりました。あの寂聴先生もこうおっしゃってます」
あなたは苦しんだ分だけ、愛の深い人に育っているのですよ。
『孤独を生ききる』より引用
/*(2013/09/25追記)引用が不正確です。出典を確認したら「愛の深い人」ではなくて、正しくは「深い愛の人」でした。(光文社文庫版 p.48) */
僧侶 瀬戸内寂聴
Setouchi Jakutyou(1922-)
/* 字幕の表示は、孤独を「生きる」となってましたが、「生ききる」が正しいです。*/
恋愛のポイント「距離感」「自信のバランス」
「寂聴先生ね、こういうことご専門の方ですから、ほんとは僕なんかじゃなくて先生がやられた方が、今日の話もいいと思うんですけれども、やっぱり恋愛において、もう少し距離感を自分中心にしないっていうことをしないと、ちょっと苦しいんじゃないか」
「自信のバランス」が合わなかった林の恋とは?
「でこの自信のバランスっていうのは、これ僕自身痛烈な経験がありまして。痛烈というより、痛切な」
♪BGM:スティング《Shape of My Heart》(1993)
「まあある大きな家でお嬢さんで、家を継がないといけないと。で、僕との結婚はできないと。で親が決めた、自分が好きでもない人と結婚するんだ。いやそんなのおかしいよと僕も言いました。でも、僕はやっぱその、その家を継ぐにはその仕事じゃないといけないと、言われたときに彼女こう言ったんですね。22歳ですよ当時。彼のことを愛することはできないと思う。でも生活はできると思う。そうしたら愛着はわくと思う。この強烈な覚悟を見せつけられたとき、僕はこの子には及ばないなと。これが自信のバランスですよ。そこまでのものは僕にはない。今その彼女それでも僕のところに来いという、これはないなと」
「でもね、やっぱり人生において恋愛しないなんてありえないと思うんですよ。それがなかったらいったいなんのためか。これについては僕はこの言葉がいちばん、表現してるなっていうのを最後にご紹介したいんですが」
ナレーション)フランスの小説家、アルベルト・カミュの名言で「愛されないということは不運であり、愛さないということは不幸である」
フランスの小説家 アルベルト・カミュ
Albert Camus(1913-1960)
「ということではないかなと。もし、振られたり何かがあったとしても、こちら(不運)ですから」
杉原「でも愛さないことで、傷つかなくて済むし、裏切られなくて済むから、一人の方が幸せだって思う」
「じゃあ、杉原さんには」
ナレーション)アメリカの心理学者、バーバラ・アンジェリスの名言で
「愛することによって失うものは何もない。しかし、愛することを怖がっていたら、何も得られない。」
アメリカの心理学者 バーバラ・アンジェリス
Barbala Angelis(1951-)
つづく。
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