私のバカせまい史 – フジテレビ のスタイルをパクって語ります。
三省堂 辞書を編む人が選ぶ今年の新語(以下「今年の新語」)は、2015年から始まりました。
今年2023年で9回を数えます。当然に、選考発表も今年が9回目です。
【三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2023」meets 国語辞典ナイト】11/30(木)カルカルの超人気エンタメイベント「国語辞典ナイト」と辞書の三省堂による恒例の「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語」選考発表会が今年も爆笑コラボ #国語辞典 #今年の新語 https://t.co/QQjfIpu00a
— 東京カルチャーカルチャー(カルカル) (@tokyoculture2) November 9, 2023
こちらのイベント開催告知を下敷きにして語ります。
要約:Executive Summary
「今年の新語」選考発表会の「恒例」はいつから? には、「2018年」「2020年」2つの答えがあります。
その2つの年から、いろいろと毎回同じように続いているためです。
三省堂「今年の新語」選考発表会の「恒例」たち
具体的な年ごとの開催データは、別途まとめています。詳細はそちらで。
第1次「恒例」開始の2018年
2018年の選考発表会から恒例化したものです。
- 東京カルチャーカルチャー(渋谷)での開催
- 19時スタート
- 「国語辞典ナイト」とのコラボ
運営的にも、この年より選考委員に『大辞林』編集部が加わり、4者体制となります。
第2次「恒例」開始の2020年
2020年の選考発表会から恒例化したものです。
- 「いつメン」での開催
- 11月30日の開催
この年を境に選考発表会から「消えたもの」に注目することで、その背景が見えてきます。
こちらからアイデアをパクりました。
選考発表会から消えたもの 2選
2020年以降の三省堂「今年の新語」選考発表会から消えたものが、2つあります。目に見えるもの、目に見えないもの、それぞれ1つずつです。
目に見える方は「ゲスト」です。
過去の「今年の新語」選考発表会でのゲストの一覧です。※敬称略
- 2016 伊集院光
- 2017 水道橋博士
- 2018 北川悦吏子
- 2019 鴻上尚史
人選が悪いとは思わないし、後述しますが、伊集院光さんはほぼ「正解」じゃないかと思いますけれど。
ゲスに勘ぐりますと、それでも収支計算して、コスパが悪かったんでしょうね。コスト側だけを言えば、人選やらブッキングやら権利関係やら、いろいろめんどくさいし。当然に、相応のギャランティーも必要です。
ゲストが消えたのは、中の人たちが「いつメン」のみでの開催に自信を深めたことの表れとみてよいでしょう。
コロナ禍の時期的に密を避ける意味もあったかもしれません。であればぼちぼち著名人ゲストが復活してもよさそうなもんですが、目下そんな動向は見られません。それでいいと思います。
もう1つ、目に見えない方は、新語・流行語大賞の「肩」です。
ユーキャン 新語・流行語大賞のトップテンと年間大賞語の発表は、例年12月1日です。
2019年まで、「今年の新語」選考発表会は12月の開催でした。新語・流行語大賞のニュースに世間の注目が集まったところの「追い風」を狙ったスケジューリングとも言えます。実際どうだったかは知りませんよ。
2020年以降は、その前日、11月30日の開催となりました。先輩格の肩の上に乗っかっていたのが、降りてます。アングルつけた言い方なら、先に質の高いリリースをすることで潰しにいってます。
肩の上に乗るべき「巨人」でないことに気づいた、というより、これも授賞イベントとして自信を深めたことの表れと私は見ています。
私も2014年以降、新語・流行語大賞はNot for meです。そこ触れたら負けみたいなことにもなってますし。
苦難の2015-2017
しかし「恒例」を確立するまでの「今年の新語」選考発表会は、ある意味、苦難の歴史でもありました。
挫折の2015
「今年の新語」選考発表会の歴史は「開催見合わせ」から始まりました。2015は、オンラインでの結果発表のみでした。
当初、発表会をやるつもりはあったようです。
【新企画「今年の新語 2015」】三省堂の辞書を編む専門家が選考委員となり、 「今年の新語 2015」ベスト10を選定し、 「国語辞典風味」の語釈をつけます。12月上旬の選考発表会で 伊集院光さんを特別ゲストにお迎えし 、選考結果を発表いたします。 #今年の新語2015
— よむゾウさん@三省堂 (@zousanseido) September 1, 2015
にもかかわらずの「見合わせ」です。
また発表期日も、年の瀬も迫った月半ば、12月14日でした。赤穂浪士か。
公式からは「見合わせる」告知のみがあり、それ以上の説明は今なおありません。いりませんけど。何らかの事情により計画が頓挫したことは間違いなさそうです。
ヴィンテージの2016
翌2016年、前年の告知どおりに、ゲストに伊集院光さんをブッキングして開催見合わせのリベンジを果たしました。
画像は、大賞は「ほぼほぼ」! 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2016」発表会に行ってきた|エキサイトニュース(2016/12/09付)より
結論から書くと、2016は今年の新語のヴィンテージイヤーです。
「中の人」の当時の証言からも、開催の手応えがうかがえます。
三省堂「今年の新語2016」イベントは、お陰さまで本日夕刻無事終了。投稿者・参加者の皆さま、ゲストの伊集院光さん、プレスの方々、どうもありがとうございました。その後の打ち上げで、三省堂の関係者の人々は、どなたも予想以上の成功に感激、笑顔でした。早くも来年に向けての話が弾みました。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) December 3, 2016
ゲストの伊集院さんも
三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2016」選考発表会。あっという間だった。楽しかった。もっと言葉の話がしたいっす。
— 伊集院光 (@HikaruIjuin) December 3, 2016
としていました。実質初回の開催にしてほぼ「正解」のキャスティングだったのではありますまいか。
発表されたベスト10も、歴代のうち2016がいちばん好きかも。
「エモい」が2位ってところが、いいっすよね。
ここでの選出が今なお利いていて、「今年の新語」を冠にした被引用数は「エモい」が歴代トップじゃないでしょうか。データ取ってないけど。だけどランクは2位。そこがいいっす。
といって大賞の「ほぼほぼ」がそれに見劣りするわけでもなく。以下あらためて眺めてみても、実にいいラインナップです。
漂泊の2017
三省堂側の登壇者は同じでした。けれどもゲスト、会場、開催日時、みんな前年と違いました。
今の視点から見ると、選考発表会のスタイルを探っていた時期にあたります。
2016は土曜日15時から、2017は日曜日の14時からと、2回とも週末昼間に、かつ大学の施設を借りての開催。現在の、イベント会場で19時スタート、曜日もだいたい平日、と比べると様相がだいぶ異なります。
また、入場も無料(事前申込制)でした。金取りゃいいのにと無責任に思っていました。あくまで想像ですが、課金の段取りまで手が回らなかったんだろうなと思ってます。
まとめに代えて:恒例化の裏での漂泊
以上、私のバカせまい「今年の新語」選考発表会史でした。
調べて知ったんですが、会場の東京カルチャーカルチャーって、2016年末にお台場から渋谷へ移ってきたんですね。当時のニュース記事がありました。
ニフティのイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」がお台場から渋谷へ12月移転、設備は最新式に|Web担当者Forum(2016/10/05付)
へぇニフティの運営なの?と思ってそこを追うと、こうなってました。※下線は引用者
2017年
東急グループのイッツ・コミュニケーションズ株式会社(以下、イッツコム)とニフティ株式会社(以下、ニフティ)は、ニフティが運営してきた読みものサイト「デイリーポータルZ」とイベントハウス型飲食店「東京カルチャーカルチャー」について事業譲渡契約を締結し、本日11月1日(水)からイッツコムが運営を開始したことをお知らせします。
「デイリーポータルZ」および「東京カルチャーカルチャー」の譲渡について|ニフティ株式会社(2017/11/01付)
2021年
東急グループのイッツ・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都世田谷区 代表取締役社長:嶋田創 以下、イッツコム)は、同じく東急グループの東急メディア・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:松永知樹 以下、東急メディア・コミュニケーションズ)に、イベントハウス型飲食店「東京カルチャーカルチャー」とウェブメディア「デイリーポータルZ」の事業を2021年4月1日に譲渡いたします。
「東京カルチャーカルチャー」と「デイリーポータルZ」の事業譲渡について|イッツ・コミュニケーションズ(2021/02/25付)
なんでか、連続でデイリーポータルZと抱き合わせです。安寿と厨子王ってこと?
「今年の新語」選考発表会が地歩を固めてきたその裏側で、東京カルチャーカルチャーとデイリーポータルZがそろって漂泊していました。
そして2023年、
東急メディア・コミュニケーションズ株式会社( 本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:三浦麻子 )は、株式会社ドリームスタイラー(本社:東京都港区 代表取締役:秋山恭大)にイベントハウス型飲食店「東京カルチャーカルチャー」事業を2023年8月1日に吸収分割により事業を承継します。
[PDF]「東京カルチャーカルチャー」の吸収分割による事業承継について|東急メディアコミュニケーションズ(2023/07/03付)
とうとう泣き別れです。世は無常です。
おわり
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