こんにちは。
結論は「まだわからない」ですが、途中経過として書いておきます。
(2013/08/23追記)わかりました。詳しくはこちらをご覧ください。→【お知らせ】「全国戦没者之霊」の字を揮毫された方がわかりました
はじめに
昨日は終戦記念日でした。そのせいか、7月に「戦没者追悼式に寄せて」と題して書いた夏休みの自由研究シリーズへのアクセスが、いつもよりは多かったです。
- 夏休みの自由研究2013 シリーズ「戦没者追悼式に寄せて」
- それは霊ではないはずだ
- 「霊」か「霊位」か。画像検索で雑な大調査
- 「霊」に転んだ日本政府とその不可解な理由
- 「秘密のケンミンSHOW」では絶対に取り上げられない、京都フミンの府民性
あの字は誰?とアクセス殺到(当社比)
なかで目立ったのは、「揮毫」「筆者」といったキーワードが入った、標柱の文字にからんでの検索アクセスでした。
自分のPCでも検索してみましたら、なるほど、シリーズの「霊」に転んだ日本政府とその不可解な理由が1ページ目に出てきます。
検索された動機のすべては量りかねますが、「あの字を書いたのは誰?」を知りたいニーズがあるのは間違いないでしょう。昔ダウンタウンの松本さんがちょくちょく「あの子は誰?と電話殺到」と言っていたのを思い出しました。
けれども僕自身はこれまで「あの字は誰?」と知りたくなったことは一度もありません。
面白いですね。
問題は、1994年以降が誰なのか
8月15日の全国戦没者追悼式で用いる「全国戦没者之霊」の文字を揮毫している人物について、関連キーワードの検索結果の上位に出てくる当ブログではありますが、あいにく最新の情報を知るニーズには応えられていません。
そこで少し調べ始めました。先に結論を述べます。(まだ)わかりません。
1993年までならわかります。「霊」に転んだ日本政府とその不可解な理由でも触れています。
- 1952年、1963~1974年の「全国戦没者追悼之標」
- 1975年~1993年の「全国戦没者之霊」
は、金子鴎亭という方が書いたようです(金子鷗亭 年譜|公益社団法人 創玄書道会)。
問題は、「1994年以降、誰が書いているか」です。
わかりませんでした。
調査経過報告 その1
調査経過を報告します。
政府主催の全国戦没者追悼式に係る事務は厚生労働省の所管ですので、同省のサイトにあたります。
報道発表資料として掲載されている「全国戦没者追悼式の開催(8/15(木))(2013年8月8日付) を見ると、担当部局が、社会・援護局 援護企画課であることがわかります。
調査経過報告 その2
同じく厚生労働省のサイトでは「行政事業レビューシート」という名称の文書が公開されています。いわゆる「事業仕分け」に使うもののようです。
最新(平成25年)の戦没者追悼式挙行等事業(事業番号727)に係るシート(PDF)がありました。
シート内の「支出先上位10者リスト」の「B」を見ますと、会場正面中央に「全国戦没者之霊」と書いて立ててある標柱は、林野庁の中部森林管理局から購入していることがわかります。随意契約で、購入額は330万円です。
のべ3年分を見ましたが、購入額の変動は多少あるものの標柱の購入先は変わっていません。
2012(事業番号362)|2011(事業番号416)(PDF)
そして、
- 標柱に関してほかに経費が計上されていないこと
- 支出先リストの業務概要欄の名称が「全国戦没者之霊標柱購入」となっていること
の2つから、完成品の調達であるように見受けられます。つまり、調達先の側で木材から柱の形に加工しさらに「全国戦没者之霊」の文字の揮毫までして納品している、という形です。
裏付けはこれからです。
ちなみに
全体の事業経費は、例年1億3000万円程度です。
事業の名称が、追悼式挙行「等」となっているのは、ここに「千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式挙行経費」も含まれているためです。こちらは、
厚生労働省主催により昭和40年以降毎年春に皇族の御臨席をいただき実施している。(上記シートより)
ものです。
暫定まとめ
結局のところ、
- 「全国戦没者之霊」の字をどこで誰が書いているのか
- どういうプロセスを経て、会場に立つのか
そこがまだ明らかではありません。
報道発表資料には、担当部局である「社会・援護局 援護企画課」直通の電話番号も掲載されていましたが、問い合わせるのはためらわれます。
ブラック労働環境のもと、ただでさえ日夜クソ忙しい本省の官僚たちをこれ以上つまらぬ雑事で忙殺させるのは、僕の本意ではありません。
まだ、僕の知る権利が優先するとは思えません。世の隅に「知りたい」というニーズがあることだけ、ここに記載しておきます。
なお、式典の会場設営を請け負っている業者へは、標柱の文字には関与していないことを確認する問い合わせを投げておきました。
何か新しい情報がわかれば、追記します。
(2013/08/23追記)別の記事にしました。→【お知らせ】「全国戦没者之霊」の字を揮毫された方がわかりました
余録:政治的に正しい終戦記念日の呼び方
余談です。報道発表資料・全国戦没者追悼式の開催(8/15(木))(2013年8月8日付)の「1 趣旨」にはこうあります。
先の大戦の全戦没者に対し、国を挙げて追悼の誠をささげるため、昭和57年4 月13日の閣議決定「「戦没者を追悼し平和を祈念する日」について」(別添)に基づき 、政府主催の下に、平成25年8月15日、日本武道館で全国戦没者追悼式を行います。
「戦没者を追悼し平和を祈念する日」
これが公的な、政治的に正しい終戦記念日の呼び方みたいですね。別添のPDFに、閣議決定内容が書かれていました。
役所の仕事には一定の信頼を置いていて、このレベルで嘘は言わないだろうと思っている僕ですが、それ以上に出典マニアなので、念のため原典にあたります。
閣議決定文書については、国立公文書館 デジタルアーカイブにて所蔵の原本を参照することができます。
決定文書なのに「(案)」が付いたままなのが、日本情緒を感じさせます。
こちらからは以上です。
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