こんばんは。林修ナイトの時間です。
8月8日の夜、BSジャパンの生放送「日経プラス10」に林修さんが出演されていました。トークコーナー「トーク+」のゲストでした。発言内容をテキストにしておきます。
林さんの出演は、5夜連続企画の「ニッポンの底力!」第4夜のゲストとしてで、トークテーマは
教育改革するのは「今でしょ!」
~東進ハイスクールのカリスマ講師が日本の教育の問題点に鋭く迫る!~ (2013年8月8日(木)アーカイブより)
でした。
わりとどうでもいいものも含め、林さんの発言は余さず採録することにします。キャスター側の言葉は適当にはしょります。
見出しも、画面上に出ていたもの以外も適当に付けておきます。
基本情報
日経プラス10(2013/08/08 22:00-22:54 OA)
番組内容(電子番組表より抜粋)
「教育改革“今でしょ!”」
5夜連続企画「ニッポンの底力」第4弾。カリスマ予備校講師が教育制度を変革して日本の底力をあげよと大胆提言。
【今夜のみどころ】
東大・京大受験生から絶大な支持を得ている予備校講師・林修さんは、常々、横並び意識が強い日本の教育制度に違和感を持つといいます。理想は、勉学ができる子をよりよく伸ばし、学力が高くない子には多様な人生の選択ができる教育と社会。実現への方法を林さんに語ってもらいます。
【出演者】
【ゲスト】林修(東進ハイスクール講師)
【メインキャスター】神田愛花
【サブキャスター】前田海嘉(テレビ東京アナウンサー)
【コメンテーター】渡辺和博(日経BPヒット総合研究所 上席研究員)
トーク+ 「教育改革“今でしょ!”」
林さんは番組後半、22:30頃からの登場でした。
スタジオ上手に林さんが座り、下手側の神田キャスター・渡辺コメンテーターの2人を相手に話す格好です。
経歴紹介
―テレビCMの「今でしょ」のフレーズで今年大ブレイクした林修さんは、…(略)…まさに時の人です。
―経歴ご紹介の冒頭で首傾げてらっしゃいましたけどなんでですか?
「恥ずかしくてしょうがないですね」
―経済番組は初めてのご出演なんですよね。
「初めてです」
―楽しみです。そんな林さんにはこちらのテーマでお話をうかがいます。
- これでいいのか!? 大学受験
- 勝てる子を育てる! 日本語力
これでいいのか!? 大学受験
―大学受験のサポートをされていらっしゃる林さんから「これでいいのか 大学受験」ていうテーマが出るのがちょっとびっくりなんですが、何か今の高校生受験生に感じるところがあるんですか?
「そうですね。あのぅ、やっぱり少子化で、生徒は減ってると。その中でまあ大学の定員の方は不思議なことに増えてまして、まあ年々、全体的な学力は落ちてるなあということを痛感しています」
―それは教えていて感じるんですか?
「そうですね。あのぅ答案なんかこう見てて、前はこのくらいの答案がこのくらいの率であったのになと。で実際に、この出来の答案の子はどうだろうか、あ、受かっちゃうんだ。というような形で、結果になって表れてくるんで、相当深刻だなあと。ええ」
―先生は20年やられてますけど、傾向としてはここ何年とかそういうのありますか?
「もうずーっと下がりっ放し、という印象を受けてます」
ゆとり教育の弊害 学力低下の現状
―それはどういうところに原因があるとお考えですか?
「まあいちばん大きなのはゆとり教育でしょうね。ええ。あのほんとに、トップの数パーセントの学力は変わってないか、むしろ上がってるかなと思うんですね」
―それは林先生が教えてらっしゃる、まあ、偏差値の高い人たちというか
「そうですね」
―彼らが、変わっていないと
「あまり変わってないですね。しかもわれわれの時よりもこう情報機器が発達してますから、それを巧みに使うことで、さらに上がってる印象さえ、あります」
―へえ~。下がっているのはさらにその下といいますか
「2番手グループがいなくてガクンともう急に落ちてくるような…まあそれは僕の個人的な印象なんですけど、そんな感じはあります」
すべて「勝ち負けで考える」林さん
―やっぱりゆとり教育って弊害があるんですかね
(コメンテーターの解説)競争しない、詰め込みをしないという方針で始まったが、ベースとなる学力に問題が出ている
「その、競争しないっていうことは確かにいい面もあるんですよね。僕なんかもうすべて勝ち負けで考えるタイプの人間なんで。もう勝った負けた、競争だけで生きている人間ですから、これはこれで問題だと思うんですけど、やはり過度に競争を避けてしまう、競争に最初から参加しない、っていうスタンスの、若者が増えているというのは、うーん少し考えなきゃいけない面もあるだろうなと思いますね」
―林先生が書かれた『今でしょ!』て本を読ませていただいたんですけど、最初から最後までけっこうやっぱり、競争精神でどう打ち勝つかみたいなところを、書いてらっしゃって私はすごく刺激を受けたんですけども、もともとそういうお考えでずっと
「あのぅ僕はちょっと極端なんで。世の中全員がこうなったら困るなと思いつつも僕1人なら許される、んではないかと。すべて勝ち負けで考えてますよ。あのぅ、予備校の授業終わって講師室に戻って、あー今日は負けたとか、そういうコメントを出す講師ってあんまりいないんですけど、昔からそうだったんで」
上位は競争している
―いま教えてらっしゃるのが、東大京大コース
「東大特進コースといいまして、あのぅいちばんそこを中心に担当してまして。ま今日も授業やってきましたけれども。今日もほんと約150人の生徒を目の前に、やってきましたけど。あのぅ、いいですね。もう競争を否定される方から見たらもう許せないような状況、あのぅシーンでしょうけど」
―彼らには競争心、けっこうあるわけですね
「ありますね。彼らはもうそういう。まどっちかと言ったら古いタイプの受験生ですよね」
―ゆとり教育で平均値というか、そういうのはやっぱり下がっているっていうのが実感でしょうか?
「そうですね。詰め込みが全面的にいいとは当然言えないんですけれども、そのぅやはり子供の脳と、われわれ大人の脳と違いますよね。入る時期、脳のスペック、脳の容量自体を大きくしなきゃいけない時期に、ちょっと過度にゆるめたんじゃないかなと。もう少し鍛えなきゃいけない状況だったんじゃないのかなあと思いますね」
(ゆとり教育の流れを年表で紹介) ※抜粋
- 2002年 ゆとり教育スタート 学習内容は3割減
- 2011年 小学校・脱ゆとり教育に転換
- 2012年 中学校・脱ゆとり教育に転換
「そうですね、だからこれからまた来る生徒たちは変わってくるんだろうなと思いますけれども」
―でも2002年って、私たぶん22歳だったと思うんですけど、学習内容3割減、ってうらやましくてしかたなかったんですけど。10年経つとこんなにも評価って変わるもんなんですね。ほんとうらやましかったですけども
「うらやましかったですか?」
―勉強そんなにしなくていいんだっていうのが、もう。なんで私もっと、遅くに生まれなかったのかなって
「そう思われました。ほう」
―はい。思わなかったですか?
「いや、僕ちょっとこういうこと言うとひんしゅく買うでしょうけど、うわつまんなくなるなと思いましたね」
―えーっ? 変わってますよね
「そうですね。いや、もっとあってもよかったんで。別に」
―ほんとですか?
「ええ」
(2、3年前にゆとり世代が社会人になって、企業側としては研修プログラムの見直しとか、さまざまな問題・騒ぎが起きた)
できる子を伸ばす教育の必要性
―まさにでもその若者たちが、今後の日本を担っていくわけで、大学進学を目指す若者たちのどんなところにいま危惧を感じていらっしゃいますか?
「そうですね。まちょっと、こんな下手くそな図を描いてみたんですけれども」
(手書きの正規分布曲線を描いたフリップを出す林さん)
※イメージ
※画像は(株)統計情報サービス・統計WEBより
「まあ成績が、成績がって言い方もあれで。ま、まず大前提として、僕は受験勉強ができる、勉強ができるっていうのは、人間が持っている能力のほんの1つにすぎないって考えの持ち主なんですよ。そういうふうに思ってまして。にもかかわらず、その受験勉強ができるかできないか、で、社会での評価があまりにも決まりすぎると」
―そうですね
「でそういうなかで、受験勉強に対する適応能力が高い、いわゆる学力が高いというふうに、こちらが高い、こちらが低いとしたときに」
―偏差値と思っていいんですか?
「まあ偏差値という、あのぅ表現でもいいと思うんですけれども、日本の教育っていうのはここ(中央の最頻値)ばっかりがこううまくいくシステムで、やはりまず、ついていけない子たちにとってはこう集団授業の中で何を言っているかわからないというような、何年もの苦痛の期間が続くと」
「でその一方でこちらの子たちは、日本は飛び級を採用してないんで、ものすごく退屈して、もうとにかく大学受験の日が来るのを待ってる。もう早く受けさせてくれっていう状態で、でここ(真ん中)の子たちだけがまあいいと」
「でなんでこういうことが起きるか、まあいち予備校講師が偉そうなこと言うなという非難を覚悟でですね、あえて言うならば、もともと僕が思っていることは、ここ(上位)は、がんばらなくてですね、できる。勉強はできる子たち。ここ(真ん中)って意外と、がんばってできる。ここ(下位)はがんばってもなかなかできるようにならない。としたときに、学校教育の現場にいらっしゃる方が意外とここ(真ん中)の方なんですよもともと」
「たとえばまあ僕の見てる生徒なんかでも、ほんとにすごいのがいて、まあ東大受かったけどどうしようかなぁハーバードの方がいいですかみたいな、そういうのもまあ、のもいるわけですよ。じゃあそういう生徒が教育現場に行くかっていうと絶対行かないんですね」
「だから、がんばらなくてもまあ勉強ができるよっていう人は教育現場に行かない。そしてここ(下位)の人も来ない。と、がんばってやればできるぞ俺みたいになれるぞという人たちがここにいて、これが再生産されてる感じが僕にはするんですね」
学力以外の物差しで多様な進路選択を
(教育側もそれぞれのキャリアプランをイメージしてふさわしい指導をすることが必要?)
「ていうのが、なかなか難しいんだろうな。ま学校の現場の先生はすごくよくやってらっしゃるんで、もう僕みたいなサービス業の人間が言うことではないんですけれども、まそれでもやはり、そういう構造の中でここ(真ん中)を中心にする教育がずーっとくり返されてきてる。だからこの子(下位)たちは、やっぱり別の物差しを用意してあげるってことがもう少しできないのかなあと」
―具体的にはどういう?
「つまり受験勉強じゃなくてもっと別の才能で、お前は勉強できるから大学行けよと、俺は寿司握るの上手いよとか、俺はこのデザインすごいんだよっていうような、もっともっと、こう国が、制度としていろんなタイプの大学を、用意できないか」
学力以外の物差しで多様な進路選択を
「僕がちょっとショックを受けたのは、こういう仕事をさせていただいたときに、カメラマンの方と休憩時間に話してたら、意外とこの、写真は、向こうに留学するんですよ」
―日本の中で学ぶんじゃないんですか?
「えっと思ったんですよ。こんなに大学たくさんあるんですよ。な、なんで向こう行くんですかってったら、ほんとにいい写真の大学は向こうにしかないんですって。まあそれはその方の個人的な意見かもしれないですよ。これはでもショックで。だったら、国立のすごい写真大学を作って、世界中のトップカメラマンが集まるようなことはできないのかなってその瞬間思いましたね」
―まだ根強く残る学歴社会ですとか、やっぱり親の世代がまだ偏差値で行きなさいよってまだ言う時代じゃないですか。勝てないですよねでもそれには
「いや、もう物差しいっぱいありますよっていうふうにしてく時代になってきてると思うんですよ」
(大学の数自体は増えてきている。キャリアプランの受け皿にはなっていない?)
「なっている大学もあるんですけれども、まああまりにもこうレベルが低下している大学もありますよね。こないだも新聞で見たアンケートですけれども、もう学長自身が、相当の率で、学生の質が低い、教育の質が低いと感じているって答えているのを見ましたから、大学の中でももちろんちゃんとやってらっしゃるところと、いろんなひずみが出てるところで、今はまあもしかしたら大きく制度が変わる、過渡期なのかなというふうにも思ってるんですよね」
つづく。
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