こんばんは。林修ナイトの時間です。
「あすなろラボ」で林修さんの授業の第3弾がありましたので、番組内容をテキストにしました。(1)からのつづきです。
摂食障害の話から、「痩せたい」という願望はどこから生まれるかという話に入ります。
「痩せたい」願望はどこから生まれる?
「でだいたい願望なんてものは、どうやって生まれるかっていうこと考えたことあります? でその痩せたいっていう願望をなんで彼女たちが持ったか」
「(板書しながら)願望ってものがあったときにですね」
__は
願望の母である
「まあ僕はいつも授業で書くんです。何々は願望の母である。これあのぅ生徒にもよく話すんですけれども、願望の生まれてくるメカニズムっていうものを知らないと、自分のやりたいものが見つからなかったりとかっていろんなことが起きるよ」
「授業ではどういう話をするかっていうとですね、まあ僕なんかその東大に行きたいって生徒の前で授業、まあ昨日もやりました実は今日もこのあとその授業行くんですが、1回も東大に行って勉強したことがない人が東大に行きたいって思うのって変だと思いません? 1回行ってみて、よかったから行きたいというならわかりますよ。1回も行ったことないんですよ東大で勉強したことがないのに、今日なんかでも150人いるんですよ。東大に行きたいって生徒が。この個性豊かな多様化が進んだ時代にですよ、みんながひとつの願望を持つってある意味気持ち悪い集団ですよね。じゃなんでそういうふうに、行きたいという思いが生じるか。それは痩せたいという思いが生じるのと同じで、答えは簡単で、(板書しながら)情報です」
願望の源は「情報」
「いろんな情報を聞くもんだから、たとえばその東大に行きたいって願望をどう生まれるかっていったら、東大に行った先輩がこうだよとか就職がこうだよとかこういうのだよとかいうふうに、情報が願望に変わるだけなんですよ。いろんな情報がひとりの人間の中で入って変換されて願望に変わってく。だからその若い女の子たちを追い込んでいるのは、そういう情報以外の何物でもないんです」
「だからわれわれの社会は、そういう間違った情報を若い人に与えないようにするために、もっともっとケアしなきゃいけない。この情報社会において、実は「遮断力」っていう力は非常に、大切で、自分の関係ないものをですね、ビシャッと切ってしまう。これなかなかできないんですよ。みなさん逆に、(遮断)されてるわけで、ある意味尊敬できる部分はある。だけどやっぱりその中で、痩せたいという願望をお持ちの方も、まそれについてはだんだん話をまとめていきたいと思うんですけれども、今の社会のあり方はどうなっているかっていうと、まあものの見事にですね」
(板書)肥満推進社会
現代社会は太りやすい
「人類史上ここまで、肥満推進社会はないと思うんですよ。でそしてこの肥満推進社会のパラドックス、逆説として、お金がない方が太るんですよ」
(川田さん拍手)
「拍手いただけましたか」
「肥満推進社会の要素。まあとにかく、うまいものが増えました。でうまいものは、だいたいカロリーが高いんですよ。ま僕はその知り合いのね太った奴は、知り合いはこう言ったんですよ。さっぱりしてうまいもんなんかないって言い切ってそれは言い過ぎだろと思うんですけど。でもまあおいしいもんは基本的にカロリーが高いと」
「でそういうものがですね」
川田さん「値段も安い」
「あーいま書こうと思った。低価格化なんですよ」
川田さん「値段が安いんですよ」
「簡単に手に入る。もう一丁。(板書)24時間化なんですね」
- 肥満推進社会
- 美食化=高カロリー化
- 低価格化
- 24時間化
「もちろんいろんな勤務形態があるからこれ(24時間化)が悪いことばっかりじゃないですよ。24時間やってるから助かるって人たくさんいるんですけど、ただ肥満ってことで考えるならば、今おっしゃられたように、あんなおいしいものがあんな値段で買えちゃっていいのっていう」
火曜日のコンビニはパラダイス!?
「火曜日のコンビニってめちゃめちゃ魅力的でしょう? これご存じの方いらっしゃいます? 火曜日に新製品のデザートが出るんですよ。月曜、あ僕余分なこと言いましたこれ? 月曜日から新しく流通が動いて、店頭に並ぶのは火曜日なんですよ」
生徒ら「ほぅ~」
「ああこれ完全に余計なこと言いましたね。まあ僕火曜日のコンビニ、やっぱり楽しくてつい覗いちゃうんですね。特にあの、1億個かなんか売れたっていうローソンのプレミアムロールですか。あれは、22日だけはイチゴが載ってるんですよね。イチゴが上に載ってるんです。なんでかわかります? カレンダー見ると、ね、22日で15(イチゴ)が上にあるでしょう」
生徒ら「あぁ~」
「まあどうでもいい情報でしたね。だからプレミアムロールやっぱり22日に買いに行くんですよ」
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「プレミアムロールケーキ」にいちごを乗せて販売!(ローソン・ニュースリリース:2013年4月19日付)
※毎月22日は「プレミアム ロールケーキ」にいちごがのっている日
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現代社会は太りやすい
「もともとずっと、貧困、ご飯が足りない食事が足りない食料が足りないって時代が続いてきました。昔ですね、アジアの国の象を守る人々っていう番組を見たんですよ。全員頬こけてるんですよ。誰一人太ってない。てことはやっぱりあの社会は、肥満推進社会ではないんですよ。あの社会で太る人は出てこない」
「明治の政治家の写真を何人かお見せしますが、これ、伊藤博文です。僕の大好きな、大久保利通です。あと高杉晋作とかいろんな人を持ってきてもいいんですけど、みんな頬こけてるんですよ。食糧事情が悪かったと言えばそれまでですけれども、あの西郷隆盛は、あれ本人の顔かどうか、顔ではないんで、ちょっとわからないんですよ」
(スーパーインポーズによる説明)
西郷隆盛
有名なこの肖像画の作者は西郷と面識はなく
聞き取りを元に描かれた似顔絵
「明治の元勲と言われる人で、太っている人はいないんです実は」
「今の日本はこういうこと(肥満推進社会)が起きてて、でその一方で、少女たちをですよ、拒食症に追い込むような情報で蔓延してるっていうのがこの現状なんですよ。この矛盾する社会状況っていうことを正面から言った人ってあまりいないんで、これ僕いちばん言いたかったんです、ここで」
「ですからどなたかがですねダイエットが、うまくいかない理由として、お金がないからというふうに書かれてたのはですね、これはある意味納得いくところで、実は先進諸国において、いわゆる所得の低い階級の方が、肥満率は高いんです」
貧しい方が太りやすい!?
「要するにファストフード系の値段が安いものをいつも食べててですね、で上の方の人たちが高くてまあ量が少ないけど満足感が多いものを食べてるから上の人たちは、そういう、特にまあ日本よりもですね、その所得の上下(うえした)、階層の上下、階級の上下が外国の方がはっきりしてますから、と、上層階級の人たちっていうのはスタイルがいい。だから、としたらこういうふうに情報を垂れ流す一方で、こういう社会が実現してしまった。だとしたら国も少し責任取らなきゃいかんのじゃないかというのは僕は考えてます」
「ただそうは言ってもですよ、全部人のせいだっていうのもどうかですよ」
収録前の打合わせにて
「ダイエットに成功している人が山ほどいるのも事実ですよね」
「覚悟決めてやっていくしかないですよ」
「こうやれば痩せられるって方法があるんだったら毎年毎年こんなにダイエット法が、流行のダイエット法が出てくるわけないんですよ」
2時間目 太りやすい現代社会で痩せる方法とは
ナレーション)というわけで2時間目は、太りやすい現代社会で痩せる方法とは
痩せられないのは誰のせい?
「実際にですねマクドナルドは、肥満を推進している企業だということで訴訟になっています何回か」
ナレーション)2002年にニューヨークにて19歳の女性と15歳の男性が、同じく2003年に19歳の女性が、毎日のようにハンバーガーを食べた結果、体重が100kgを超え、糖尿病や心臓病などの健康被害を受けたと、マクドナルドを相手取り裁判を起こした。しかし、訴えは連邦地裁によって、食べ過ぎは個人の責任として棄却された
「2002年2003年はいずれもですね、えー自己責任であって企業側の責任はないと、訴訟社会のアメリカにおいても却下されています。だから一般のお客さんがこんなにカロリーが高いものがあってこれをわれわれが買ってるから、食べてるから太ったということで認められた例は、結局ないんですね」
「で、こういう状況だからといってですよ、まあ僕の好きな言葉なんですが、優秀な人間は環境に不満を言わない。これならこれで、やはり自分ていうもので律していくことも、ある程度できるんではないか。少なくとも僕はそう思ってます。ですから、そういう中でまず僕がいつも言うこととしてですね、こういう状況ではあっても僕が認めないのはストレス太り。ストレスで太ったんですよ、これは僕は認めないですね。これは自分自身が何回も、ダイエットをですねくり返してきた人間として、いつも僕が言い放つのはですね」
(板書)ストレスはノーカロリー
「ストレスはノーカロリー。ストレスにカロリーはないです。ところがストレスで太ったって言うんです。で僕はいつも言うんです。じゃあなに、ストレスを感じたときにどっかから誰かが出てきて君の口をこじ開けて食べ物を突っ込んだのかと。そうじゃないだろう。ひとりの社会人として明確な意志を持っている君が、自分で買いに行って、自分で口を開けて食べたでしょ。そんなもの100%自己責任だ。ストレスで食べたなんて言い訳、これは認めないよと。ただまあそういうものが手に入りやすい社会状況については、まあ僕としては先ほど申し上げたようにですね、若干問題はあるとは思うんですが」
「で僕自身の太り始めたときに、いつも思うことがあるんですよ。贅肉は、最初ある場所につくなっていつも思うんです。(板書しながら)まあちょっと比喩ですよ」
贅肉が
最初につくのは
__である
「太ったり痩せたりをくり返している僕の、感想です。どこにつくか」
生徒「お腹?」「顔?」「頭?」
「そういうことですよ」(「心」と板書)
贅肉が初めにつくのは心
「ちょっと食べよ。あ新製品出た。ご飯食べたばっかりだけど試してみよ。これ1個ぐらいいいや。自分を甘やかすんですよ」
「これがダイエットしているときは、もうさっき食べたばっかり、このカロリーは余剰、このカロリーは余剰っていう(ふうに)、自分でピシャッと切れるのに、ちょっと太ってくるとまあいいやっていうことで、もうどう考えても、僕自身はですよ、太ってるときの自分はだらしないんですよ」
「あともうひとつ言えることは、目で食べる。見た瞬間自分がもう満腹であるのに、ちょっと食べてみたい。でもそのカロリーも余剰なんですよ。だから、やはり、自分のことを考えてみるとですね、太ってるときの精神状態が実は許せないんですよ。肉体の状態以上に僕は自分をそうやって甘やかして、そうやって目で食べたりとかですね、その、心がたるんでる。僕はやはり、自分が、痩せてて律してるときの方が、精神的に、自分で好きなんです」
「歩き食いをする。コンビニで必要もないものをですね、試食を重ねる。チロルチョコの新製品が出たらとりあえず全部食べてみなきゃ気がすまないとかっていう、そういう自分の精神性がやっぱり自分では、あまり好きではない」
ナレーション)これは、かつて100kgオーバーだった林先生が実感した、痩せるための極意
収録前の打合わせにて
「突破口はひとつしかないんですよ」
「生きてくのに必要のないねカロリーをね食べてる自分がねだらしない。みっともない。ここは、どんなに辛くてもやめようと思えるかどうか、そこしかないんですよ」
「どんだけ自分が好きかですよね」
「俺はもっとできる人間だっていうふうに自分に期待できるのか。でそういう自分が好きでいるのか。それともできない自分でいいやって自分で自分を、見限るのか」
自分を好きになることが痩せる原動力
「何か食べてないとさみしいから、そんなにおいしいという意識もないのにポテトチップスをポリポリポリポリ、ポリポリポリポリポリポリ食べる。自分でもどっかこのカロリーはいらないよなと思ってるのに、止まるスイッチがない。それが結果的に体重になってる」
「たとえばカップラーメンなんかでも、大盛りとかってありますけど、味のグラフで考えてみたら、恐らくこうなるはずなんです。僕はカップラーメンとかまず食べない。ポテトチップスも食べないです」
「(グラフを描きながら)最初うまーいってなりますよね。こうなってる(なだらかに減少)はずなんです。なのにもう、やめることができないからってこのあたり食べて、ここを何とかすることはできると思うんですよね」
「明らかに最初ほどおいしくないんでしょ? 皆さんこっちが上?」
生徒「いやおいしい」「おいしい」「両方」
「おいしい? キープし続ける?」
阿左美さん「まあある分は確かに食べちゃう感はあるというか」
生徒「おいしさとしては一緒じゃないですか」
ナレーション)そもそも、いまの太った現状に諦めているのか、林先生の力説は、生徒たちには今ひとつ響いていない様子
「ただですよ、ひとりで生きてるならまあ、それでいいとも思うんですよ。でも人間はやっぱりひとりで生きてるわけじゃないんですよねぇ」
収録前の打合わせにて
「明らかに迷惑かけてるんですよ。それも事実なんで」
「別に俺は自分の健康のことなんかどうでもいいし、いいんだよって開き直れない部分もあるわけですよね」
「やっぱりその太っている人が改善しなきゃいけない部分ていうのが当然あると思うんで、そのあたりが一体どこが落としどころになるのかとか」
つづく。
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