女の社会で必要な2つの能力―7月14,28日「あすなろラボ」林修さん授業感想

こんばんは。林修ナイトの時間です。

7月14日、28日放送の「あすなろラボ」で、林修さんが「子育てに悩むお母さんたち」に行った授業の感想、または、シリーズ「汝の名は女」その2です。

The Queen in “Hamlet” (1895) /Edwin Austin Abbey
※画像はThe AMICA Library より

このシリーズでは、番組内の生徒を「女」と表記します。

女の社会で必要な2つの能力とは

林さんはヤンキーたちへの授業で、社会において必要な能力は「解決」と「創造」の2つと言っていました。(6/9 あすなろラボ)

女の社会は全然違います。

林さんになぞらえて言うと、女の社会で必要な能力とは

  • 共有
  • 共感

この2つです。そう言い切ってしまいましょう。

ドン引きされた社長の話

いきなり出典のはっきりしない話ですみません。

たしかサイボウズ社長の青野慶久さんが、自身の育児休業中の笑い話としてインタビューで話されたのを、新聞で読んだように記憶しています。

公園かどこかで“ママ友”らの不満を聞いていて「その原因は3つあって、それぞれの対策はこう」みたいに話し出したら、喜ばれるどころかドン引きされた。そんな話でした。

ビジネスの世界であれば、青野さんの発想・発言は何も問題ありません。「解決」と「創造」に向かっているのですから。

しかしママ友らのあいだでは、一般化して女の社会では、そんな「問題解決脳」など無力で無意味です。まぎれ込んできた植木等ばりに(たとえが古すぎ)、お呼びでないことこのうえないのです。そう知らされた話なので記憶に残っています。

授業をテキスト化して感じたこと

「ヤンキー」「母親」と、「あすなろラボ」での林さんの授業2つをテキスト化していて感じたのは、「母親」たちのあいづちの多さでした。

「ヤンキー」たちとの定量的な比較はしていませんが、林さんの発言に対してもそうですし、他の「生徒」に対しては特に顕著です。全部拾っていたらきりがないなと思うのに十分でした。

SNSが普及するずっと前から、女の社会の何割かは「いいね!」でできています。

永遠の不協和音

林さんの「解決」と「創造」になぞらえる形で、女の社会で必要な能力は「共有」「共感」の2つと述べました。

7月28日放送の「延長戦」で、両者のコントラストが実によく表れているやり取りがありました。それは、

「えっとうちは、小学校2年生の女の子なんですけど、宿題に対する、やる気とか、先生がさっき教えていただいたような姿勢とかもしっかりわりとして、やるんですけど、とにかく時間がかかるんですね」

と切り出した女への、林修さんと他の女たちとの言葉です。

解決脳 VS 共感脳

放送にそって発言を記載します。女はこう続けました。

「でほかの子が、たとえば3時に下校してきたら、3時半に公園で約束をしてるから、もう殴り書きでもいいから急いで宿題をやって、飛び出していくような周りに元気な子がいっぱいいるのに、自分も約束をしていても、あせ、焦れない。焦らないですごく時間をかけてしまう」

林さんの最初の答えはこうでした。

林「うん、いいんじゃないですか」

この発言は、質問者の女が提示した「問題」への「評価」です。質問する女の話から、「それはいますぐ解決に動くような問題ではない」と林さんが判断しての発言に思えます。

言わば「解決」的発想です。

この林さんの回答に満足しなかったからかはわかりませんが、質問者の女の発言は、こう続きました。

「気が付いたら、もう夕方で、なんか彼女の1日が、なんか、勉強で終わっちゃうのがすごくもったいない気がしちゃって」

これに対しての林さんの発言と、それに続いた別の女の発言が非常に対照的でした。

まず、林さんの発言がこう。

林「早く解くっていうことは、受験でもいちばん最後の最後でいいことですよ」

そして、林さんに続いて出た別の女からの発言がこう。

「その子らしくて素敵だと思う」

そして質問した女と、別の女とのやり取りがこのように続きました。

「でもやっぱり、小学校低学年なんで、勉強漬けよりは」

「まあね」

「そう」

このあとも林さんは、女の特質を知ってか知らずか、「解決」と「創造」の発想で、非常に真摯に回答されていました。

しかし「解決」という言葉を使うなら、質問者の女にとってみれば、上の引用部分で「そう」と言った時点で、自分の「問題」はほぼ解決しているのです。

女は、解決したいから不満を言うのではない

なぜなら、質問者の女は、宿題に時間がかかる自分の娘を「なんとかしたい」から発言したのではないからです。

問題解決脳的に、彼女の「ほんとうの問題」を定義するならば、

  • 自分の娘がこうなんだ
  • それに対し、自分はこう感じている

というのを、「誰も知らないこと」です。

ですので、引き続き「解決」という言葉を使うと、上の2つについて周りのみんなに

  • 知ってもらえたこと
  • 意見がもらえたこと
  • 気持ちに沿ってもらえたこと

これでほぼ解決したのです。

女の社会に問題解決脳はほぼ無用

「問題解決脳」にとってみれば、そこで取り沙汰されている事象や利害関係者に対して何ら働きかけていないわけですから、まったく解決になっていません。もっと言えば、そもそもが問題だったのかも疑わしいケースでもあります。

しかし女の社会では、それでいいのです。重要なのは「共有」と「共感」だからです。

授業の半ばで、林さんの話が「響いてこない」と意見されたのも、話す内容がもっぱら「解決」と「創造」の発想に拠っており、女たちの悩みへの「共有」と「共感」に立脚していなかったことが大きかったのではないかと私は見ています。

私もつい数年前までそれがわからず、嫁とは無用の衝突をくり返してきました。

男たちへ

数年前までの自分へも宛てるつもりで書きます。

女と過ごしていると、女からの不満や愚痴に付き合わされる機会も少なからずあるでしょう。

そんなとき、解決プランを示すのは、最低の対応です。

女は自分の感情をあなたと共有したいだけなのです。

だから女のその気持ちに、沿ってあげてください。

たとえその中身に共感できなくても、もろもろの出来事を経て女がそういう気持ちへ至ったことだけは、汲んであげてください。

それが女にとっての「解決」です。

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