こんにちは。元祖爆笑王です(ウソ)。
「爆笑」っておひとり様からOKなんですね。つい今月(2017年11月)知りました。びっくりです。
あまりにびっくりしたので、「一人でも爆笑できる」の周辺情報をいろいろ集めましたので共有します。ネットでアクセスできるものが中心です。
※画像はいらすとや(2016/02/19付)より
なお当記事では、資料の紹介を旨として主にリンクの提示にとどめ、記述の内容にまではさほど立ち入りません。爆笑「おひとり様OK」の論証は別の記事で行います。
ひとり「爆笑」問題、「できる」で決着ずみだった【リンク集】
くり返します。
「一人で爆笑」できるのか?
できます。「爆笑」は、おひとり様から大歓迎なのでした。
集めた情報を次の3つに大別して整理しておきます。
- 平成の「爆笑」王:飯間浩明さん
- 異端の(だが正当な)「爆笑」国語辞典:三省堂
- その他「爆笑」情報
(1)平成の「爆笑」王:飯間浩明さん
こちらのツイートで知ったのが、ことの始まりでした。
『例解国語辞典』(1956)は、豊富な例文によって価値が高い辞書ですが、私は当時の日本語の雰囲気を知るのにも利用します。「爆笑」の例文に「隣室から主人の爆笑が聞える」とある。「爆笑は1人ではできない」とする今日の説を疑わしめる資料となります(実際、爆笑は戦前から1人でもできた)。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2017年10月31日
マジっすか?と驚いて、思わずネット検索してしまいました。
青空文庫を検索してみると、たしかに1人で「爆笑」している用例が複数ありますね。一例として
”そして彼は陰欝に爆笑した。” 徳田秋声「街の踊り場」(1933)
など。
となると、爆笑「全体主義の起原」は、昭和30年代に求められそう。— ヤシロタケツグ【要出典】 (@yashiro_with_t) 2017年11月1日
本当でした。「一人で爆笑」、全然できますね。
同じく検索結果から知りましたが、飯間さんからは既に再三発信がされていたのですね。世情に疎くてすまん。
たとえばエッセイでも。
「居眠り・うたた寝」「爆笑」|分け入っても分け入っても日本語(18)|Webでも考える人(2017/05/11付)
ツイートでも。
「◆爆笑」は大勢で笑うことで、「ひとりで爆笑」は誤り、とよく言われます。たしかに最近の辞書は「大勢で」とするものが多いけれど、あれは「(大勢で)」とカッコに入れるべきものです。「ひとりで爆笑」の例は昔からあります。昔の辞書は〈高く、朗らかに笑ふこと〉(『言苑』)と説明しています。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2012年4月8日
「◆爆笑」は、昭和30年ぐらいまでの辞書を見ると〈高く、朗らかに笑ふこと〉〈大きい声でほがらかに笑うこと〉などとあり、以前は必ずしも「大勢で」と説明してません。その後、有力辞書が「大勢で」と書いたために、それが広まった疑いがあります。RT @k_kazama: 「爆笑」とは大勢…
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2012年6月11日
ある民放番組から連絡があり、「爆笑」は「大勢が大笑いすること」という認識でよいかとのお尋ね。ツイッターをご覧くださっている方はご承知のように、1人でも爆笑できます http://t.co/ipazQHB4 http://t.co/s3De6UDU 。正しく放送してくれるか不安だ。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2012年9月19日
『三省堂国語辞典』第7版で「誤用でない」とした表現に「1人で◆爆笑」があります。爆笑は大勢でするのが正しい、と(最近)言われるが、昔から1人でも爆笑していたことはたびたびツイートしました。今回の版では、例文と説明をつけて、注意を喚起しました。テレビの制作会社の人にも見てほしい。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2013年12月15日
「爆笑」が一人でもいいというのは、「一人でもいいことに変化した」のではなく、昔からのことです。これは『三省堂国語辞典のひみつ』第2章に書きましたのでご覧いただければ。「乱入」は改めて確認しましたが、やはり大勢のようです。@kotobamichiura 私も今読みました!爆笑、一…
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2014年2月9日
そして著書でも。
そんな飯間さんは、さながら平成の「爆笑」王です。
ちなみに文庫版にはサンキュータツオさんによる素敵な解説が寄せられているのですが、実はWebで読めてしまいます。
『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』三省堂国語辞典の行間|HONZ(2017/01/29付)
そしてさらに、当該の《ひとりでもできる「爆笑」》の段が、Yahoo!知恵袋の回答としてがっつりコピペされて読めてしまいます。おい。
「大笑い」と「爆笑」の違いは?(2016/04/14付)
(2)異端の(だが正当な)「爆笑」国語辞典:三省堂
飯間浩明さんも編集委員を務める『三省堂国語辞典』第七版での「爆笑」の語釈は
ふき出すように大きく笑うこと。
〔笑う人数が問題にされることが多いが、もともと、何人でもよい〕
となっています。
三省堂 Web Dictionaryでの「爆笑」(デイリーコンサイス国語辞典)もまた、
どっと大笑いすること
と、言外に「おひとり様からOK」を含めている書きぶりでした。
「大勢で」がそれこそ大勢を占める日本の国語辞典界ではかなりの異端です。
くどいですがくり返します。もともと、「何人でもよい」爆笑こそが正当な「正統」なのでした。詳しい論証はまた別の記事で。
(3)その他「爆笑」情報
参照してよかったリンク集です。
「爆笑」から「爆買い」までの90年史(もりひろし)|日経ビジネスオンライン(2015/08/22付)
↑「強調表現としての爆」に注目した記事。『日本国語大辞典』の「爆笑」を参照しています。
「爆笑」誤用説|黌門客(2016/05/26付)
↑辞書その他の引用が多く載っています。先ほどの『三省堂国語辞典』第七版の「爆笑」の引用はここからの孫引きで間に合わせました。書店で参照はしましたが(買えよ)。
爆笑の用例|さようなら、私の夢も希望も(2013/05/12付)
↑青空文庫を検索しての引用と思われる用例が多く紹介されています。ただし年代情報が初出ではなく一部で底本の刊行年になっていそうなので注意が必要です。
「日本語、どうでしょう?」第122回 “爆笑”問題(神永曉)|JapanaKnowledge(2012/08/20付)
↑こちらも『日本国語大辞典』を参照しての「一人で爆笑」の考察です。そこまでいけてるのに大勢での爆笑を「本来」とはき違えてるのが残念です。披瀝されている「勝手な想像」の飛躍がひどかったのでリストアップしました。
これらを援用しながら、続編で「一人で爆笑は誤用」と不可思議千万な指摘をしてくる「爆笑警察」を取り締まります。
つづく予定
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