再び、景凡社の藤岩です。
※@jimisugoより
ウソです。なりすましのおっさんです。
前の記事「地味にスゴイ!「事情聴衆」「事情徴収」たち(2)」の後半をこちらへ切り出しました。シリーズいちおうの最終回でございます。
地味にスゴイ!校閲ガール・事情チョウシュウDX
前の記事で
- テレビ局の番組案内
- 国家機関の公文書
と、ネットの「地味にスゴイ」各領域から、「事情聴衆」「事情徴収」の用例を集めてきました。
どちらも、Googleで探すと1度目は自動で「事情聴取」の検索結果が返ってくるワードです。
以下がつづきです。同じく、引用テキストの強調表示は、すべて引用者によるものです。
(3)出版物 9件
Googleブックス収録の書籍がちょいちょいヒットしてくるんで、「書籍」検索でめぼしい用例を集めることにしました。
12月の雨
chay
¥250
全部で9件のラインナップを、出版年の古い順に並べています。掲載ページその他書誌関連の情報はすべて検索結果そのままコピペです。
あと、Googleの書籍検索のくせに書誌情報のリンクはAmazonというアフィリエイト地獄なので、そのつもりで。
手塚千砂子『警察官の性暴力』(三一書房, 1990)
六日目の事情聴衆が終って一週間後、警察に呼ばれて行ってみると、(p.24)
岩崎博充『官僚統制列島日本が危ない』(ごま書房, 1994)
各省庁の圧力が激しく、結局事情徴収のためのヒヤリングさえも満足に(後略)(p.184)
久禮義一『現代地方自治の諸問題』(勁草書房, 1998)
区から事情徴収した結果,ひとり暮らし高齢者実態調査時における収入調査に誤りがあったことが分かり,(p.34)
「世界」第763号(岩波書店, 2007)
二月末現在、福永市長が代表理事の「人吉球磨広域行政組合」は、官製談合の疑いで事情聴衆を受けている。(p.280)
マーガレット・ウェイ 逢坂かおる(訳)『孤高の大富豪』(ハーレクイン, 2012)
ジョシュは警察の事情徴収を受けていたので、緊急治療室の前で待たなければならなかった。
酒井深雪『理系のための恋愛論 Season 01』(マイナビ出版, 2013)
と、まるで事情聴衆のように、雑誌のインタビュー取材のように、彼女を質問攻めにしてしまったのです。
古田智子『地方自治体に営業に行こう!!』(実業之日本社, 2014)
そこで事業部門の予算編成担当者に対して、いわゆる「事情徴収」のようなものを行います。それが「ヒアリング」と呼ばれるものです。
神尾直人『熱海殺人事件 木村伝兵衛の最後』(22世紀プロジェクト, 2015)
お芝居の台本風なスタイルでした。上演用かも。
西浅草の売春宿 鶴亀楼 を経営している砂田亀吉に重要参考人として事情徴収にいってきました。
古屋治子・工藤アリサ『クレーム対応の全技術』(かんき出版, 2016)
ただ、メモをとられていることにお客様が好意をもつかどうかは半々です。
「そこにいったい、何を書いているのか」「事情聴衆されているみたい」「何か気になって話ができない」など、話す側のイライラ感にもつながります。
まとめ
事情チョウシュウ数え歌、前後編でまとめるつもりが3回のシリーズになってしまいました。
今回の書籍検索からわかったことは、「校閲にお金をかけられるのは、相当な贅沢」です。どこかのラインを下回ると、資金的にも労務的にも、校閲できる体力はもう残っていない様子。
事情チョウシュウについて
単体レベルの議論であれば、事情「聴衆」「徴収」「長州」その他、どれもあっていいかなと思います。誤用かどうかもよくわからんし、よしんば間違っていても、糾弾すりゃいいってもんでもないし。私は使いませんけど。
裏事情的な何か
最後に、裏事情的な何かを。
実はこのシリーズを始める前に、Twitterでアンケートを取ってみたのです。
【パワーホール全開の漢字テスト】
事情チョウシュウされる— ヤシロタケツグ【要出典】 (@yashiro_with_t) 2017年8月28日
これに嫁が内緒で投票していたらしい。後でいわれて知りました。
どれに投票したかは聞いてませんが、総合して判断すると、(その他)でしょう。
嫁いわく、「事情聴衆」も「事情徴収」も少し難しいのだとか。使い方がわからないと。
「事情聴取」
「調書とられた」
「チキショウ」
と、メッセージいただきました。
そんなところです。ご静聴ありがとうございました。
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