【シン・ゴジラ】新幹線の「2」「1」「ゼロ」にマジ感動

こんにちは。出典マニアが、映画「シン・ゴジラ」に出てくる東海道新幹線の「2」「1」「ゼロ」を語ります。

単位等まで付けると

  • 2編成
  • 1号車
  • ゼロポイント

です。まず結論を言います。感動しました。

出典マニアが「シン・ゴジラ」の全編を貫くテーマと目する「継承」と「反転」が、ここにも込められていたからです。

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※画像は、photozou.jp(2012/04/30付)より

継承と反転に感動!新幹線の2・1・ゼロ

順に語ります。ネタバレ前提です。

  • 2編成の「継承」
  • 1号車の「反転」―御社と弊社の事情
  • ゼロポイントの「感動」

陽動開始!

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2編成の「継承」

ヤシオリ作戦の段では、N700系新幹線(無人運転)が2編成並んで走っていました。

たぶん、「新幹線大爆破(1975)」を継承したかったのだろうなぁと思っています。

この映画に、新幹線の2編成が上下線を並走するシーンがあります。

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※画像は、新幹線大爆破 ちょっとした感想|お前それ、ゾフィーにも同じこと言えんの?(2014/05/02付)より

これをやりたかったのかなと。

なお、なんでこうなるかは内緒(上のブログには書いてありますが)。

「新幹線大爆破」は、「シン・ゴジラ」の脚本・総監督等を担当した庵野秀明さんの愛する作品の1つです。奥様の安野モヨコさんがマンガでいじっていました。

出典:安野モヨコ「監督不行届 (FEEL COMICS)」(2005)第四話

安野さんの「監督不行届」は、シン・ゴジラ調査研究に際しての特級資料となっています。ありがたい。

1号車の「反転」

東京駅上のゴジラへと向かうN700系新幹線2編成の先頭は、両方とも1号車でした。反転しています。

この世では、東海道新幹線が東京駅へ入ってくるとき、先頭は16号車です。念のため、画像でも確認しておきましょう。

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「あら?先頭1号車なの?」とうっかり目に留まってから、気になってしまいました。なぜこうなっているんでしょうか?

ひとつは、これもまた「新幹線大爆破」を「継承」したのかなと。継承したのは、当該映画の主な舞台である、東京発博多行き「ひかり109号」の先頭1号車です。

「“大爆破”の新幹線は1号車を先頭に走る」のが庵野さん樋口さんのルールじゃないかと。

余談:列車名の番号付与ルール

余談ですが、東海道・山陽新幹線の列車名の数値は、

  • 下り(東京駅から遠ざかる方向)が「奇数」
  • 上り(東京駅へ向かう方向)が「偶数」

で付けられています。なので名前だけで、「新幹線大爆破」のひかり109号は下り列車だとわかります。

さらに真偽不明情報ですが、ひかり32号で上京した《大阪で生まれた女》は、「最初31号だったのを『それは下り』と指摘されて直した」というエピソードも聞いたことがあります。本件裏づけを探しましたが、不調に終わっていますので、うっすら情報をお待ちしています。

以上余談でした。話を戻します。

「東海道新幹線」対「ゴジラ」の事情

「1号車の反転」に気づかれた方のツイートもありました。

わざと「ない情景」を描いた。が、当ブログでの結論です。作劇上の必然性は見つけられませんでした。

指摘のとおり、リアルに描くなら先頭は16号車が正当です。1号車へ入れ替えるのも物理的にできない相談ではないでしょうが、「そうまでして」の必然が見いだしにくい、という趣旨です。というのも、劇中の状況で無人運転用にN700系車両を使うとなると、駅単位で言えば品川近辺のものに限られるためです。

東海道新幹線に注目して、簡単に劇中の経緯をふり返りましょう。

  • 11/3(木) 蒲田くん(通称)上陸。離岸時に大井車両基地への連絡線を破断
  • 11/4(金)~ 新横浜駅で折り返し運転
  • 11/7(月) 鎌倉さん(通称)上陸。武蔵小杉に至る過程で品川-新横浜間の本線を破断
  •  東京駅付近で活動停止。その過程で周辺の架線・車両・駅その他設備に損傷

ざっとこんな具合でした。よって使用機材は品川周辺のものに限られていたと言えます。言わばゴジラに「外堀を埋められた」形になっています。別の言い方をすれば、大井の基地あるいは新横浜以遠の車両を使うには、作戦現場へ運ぶのにいったん線路以外の場所を経由させないといけません。

作戦遂行のためには、「仮設架線・軌条の復旧」はじめ、先頭を1号車へ反転させるよりも優先順位の高い作業はたくさんあります。そんな状況下で、わざわざそんな線路への載せ直しをやるかなぁと。

御社と弊社の事情も

そしてときどき、こういう誤解をされている人もいますが、

取ってません。

JR東日本やJR東海に確認したところ、両社とも「制作協力は行っていない」という。

出典:なぜ「シン・ゴジラ」で鉄道が大活躍するのか(大坂直樹)|東洋経済オンライン(2016/08/21付) 2/4ページ

となると1号車の「反転」は、公開後JR東海サイドからあれこれ言われた場合に「実在しませんから」とかわすための布石であるようにも受け取れます。

このあたり、御社と弊社の事情も見え隠れするところです。どこか、ものまね芸人とマネされる有名人との関係にも似ています。

ゼロポイントの「感動」

ヤシオリ作戦に入るシーンで、科学技術館の屋上に設けられた作戦指揮所にこんな報告が入っていました。

新橋より連絡。全車切り離し完了、ゼロポイント通過。

細かな言葉遣いは違うかもしれませんが、こういう趣旨の報告でした。

「切り離し完了」の文言からは、新幹線のアレは新橋付近まで有人で力行(加速)させ、切り離し後は惰性で走らせたんだろうと推察できました。

わからないのは「ゼロポイント」です。

「ゼロポイントって何だろう?」。東海道新幹線の距離を起算する0km地点なら、東京駅にあるはずです。

疑問なんで「ゼロポイント 新橋」で検索してみると、なんとなんとなんと。驚きました。

これだったか。

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「0哩標」= ゼロポイント  往年の場所の真上にある
本当の場所は この真下  地下2m位の所である

出典:旧 新橋停車場|千住閑人帳(2015/06/09付)

日本最初の鉄道は、明治5年(1872年)、新橋-横浜間に開通しました。歴史の時間で習いました。

その起点かよ!

先に引用した「なぜ「シン・ゴジラ」で鉄道が大活躍するのか(大坂直樹)|東洋経済オンライン(2016/08/21付)」に、こんな記述もありました。

「シン・ゴジラ」では、これまで”やられキャラ“だった鉄道車両が終盤に大活躍する。

あのN700系2編成がどういう形で新橋ゼロポイントを通過したのかは想像で補うしかありませんけれども、ともかく庵野さんは「シン・ゴジラ」の脚本で、ゴジラシリーズや他の特撮作品で終始やられ役だった鉄道の「反転」のスタート地点を、文字どおり日本の鉄道発祥の地・新橋のゼロポイント=原点に置いたわけです。

あの連絡は、直接「攻め」に転じたJRの東海道新幹線・在来線のみならず、鉄道すべての「反撃ののろし」でもあったのです。そう受け取りました。えぐいな。

マジ、感動ですよ。

シン・ゴジラ、新幹線の「2・1・ゼロ」の話でした。

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“抗菌”は“攻菌*”へと進化する。

攻菌ラボ|アタック公式サイト|花王 より

*除菌するわけではありません。

これもまた、奇妙な符合を見せていました。

おわり

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