早わかり・厚切りジェイソンさんの「二足のわらじ」【SWITCH風まとめ】

こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。

「Why Japanese People!?」で大ブレイク中の厚切りジェイソン。日本語や日本人に容赦なくツッコむお笑い芸人に“国語の神様”金田一秀穂が挑む!

という「SWITCHインタビュー 達人達」(Eテレ 2016/01/30 OA)を見ました。面白かったです。

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番組サイトより ※放送後3か月で消えるようです。

「昼は芸人、夜はIT企業役員」という厚切りさんの「パターンパターン」がより鮮明に見えてきたので、同番組の内容ではなく、「二足のわらじ」についてまとめておきます。

以下、敬称略でまいります。

前半は「IT企業役員」です。

部長 ジェイソン・ダニエルソン

ツイート画像の彼はCMタレントではありません。この会社の従業員です。

肩書きは、同社の「グローバルアライアンス部長」です。(2015年7月現在;出典は後述)

こんな会社

(株)テラスカイが何の会社かをつかむには、オフィシャルな情報よりも

が好適でした。

笑うところが一切無い手堅い会社です。すごい真面目にクラウドやSFの導入とシステムインテグレーションの会社でびっくりしましたよママン。

SkeyVisualEditorというSalesForceの画面作成ツールが月額2,000円/ID~で売ってるみたいなんですけど、たぶん、それだけではなく支援とか、開発とか、納品とかしている基幹系システムの開発導入会社とかシステムインテグレーションしている会社みたいでした。

「なるほどそっちね」と理解できました。

話題のジェイソンがものすごく真面目なグローバル展開のプレゼンをしていました。笑うところが一切ないのに、声だけがテレビでよく効くあの声だ。なんかシュールすぎる。

決め台詞は最後までありませんでした。スーツオジサンばかりでそういう雰囲気の会ではありませんでした(笑)。

ははは。「以上!」もなかったってことかな。

○○とは違うのだよ

とにかく、こちらのパターンとは違うってことです。

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※画像は、スーパーセキュリティZERO 機能比較|ソースネクスト より

無闇に引き合いに出してみました。

ダニエルソン部長の「Why Japanese people?」

2015年7月9日、株式会社テラスカイ主催によるプライベートイベント「TerraSky Day 2015」が開催されました。

そのもようを伝える、「IT企業役員」ジェイソンとしてのツッコミが読める記事です。

社内の肩書きはこちらでの記載に基づきました。

5名の登壇者による

「グローバルで勝ち抜くマインドセット」をテーマに行われたスペシャルパネルディスカッション

でした。

文中、ダニエルソン部長の代表的ツッコミはこちらです。※下線は引用者

ショベルカーが効率よく穴を掘れるんですけど、日本でIT部門がやってるのは、そのショベルカーがせっかくあるのに、そのショベルカーでまたショベルを作ろうとするんですね。新しい技術があるのに、それをあえて昔のままのシステムをもう1回作り直そうとしてるのは、効率生産性がせっかく上がるはずなのに、上がらないわけなんですよ。

もうショベルカーは……カタカナ難しいよ!

(会場笑)

和製英語ですものね。Why ジャパニーズ英語!?

余談ですが、「マイク1本なんで、ちょっと近くに」からの絵づらが面白かったです。

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ソファでパネルディスカッションやるのは初めてです。どこかのスナックみたい(笑)。

これを含め、全3回のシリーズ記事となっていました。

役員一覧には不在

ひとつ怪訝に思うことがあります。彼は「IT企業役員」のはずですが、テラスカイの役員プロフィールを見ても「Jason Danielson David」の名前が出てきません。

Why Japanese people?

なんでだよ! お笑い芸人だからってスルーかよ!? 厚切りにもちゃんとスポット当ててやれよ!

テラスカイだけに。

って、ダジャレかよ。

真相はこうだ

その真相は、「子会社の役員」です。役員をしているのはその子会社らしいです。

林修・世界の名著」(BS-TBS 初回OA:2015/09/17)出演時に本人がそう言っていました。

「事務所の先輩」の冠番組での発言ですから、所属事務所の公式発表として受け取っていいと思っております。

既に自己申告での「答え」が出ていたのに故意に論ったのは、テラスカイ照らす会と言いたかっただけです。

ダジャレでーす。

ジェイソン「僕はパンダ」

IT側の声をひとつ紹介します。

総合してハッピーなことです。ハッピーなんですが、「パッと明るくなる」Whyに考えが至れば、そうでもないと思います。

番組内でジェイソン自身が、自分は「パンダ」だと非常に的確に分析していました。そのくだりを採録しておきます。


(「SWITCHインタビュー 達人達」2016/01/30 OAより)

ジェイソン
「言い方を気をつけないといけないんですけど、たとえるんだったら動物園のパンダなんですよ、僕は。パンダです」

「パンダを見るのはみんな楽しむし、すごいなんかやってるなあと思うんですけど、そのパンダが檻を出て、みんなと普通に暮らしてたら違和感を持つよね」

「みんなと一緒にいるとちょっと違和感なんだけど、見に行くものだったらまだいいみたいな。そういう違いだと思いますね」

「ちょっと嫌な真実なんですけど、それはあると思います」


知性を感じます。

後半は、そんな「パンダ芸人」に舞台をスイッチ

芸人 厚切りジェイソン:パンダの気持ち

私が芸人厚切りジェイソンを認知したのは、R-1ぐらんぷり2015(2015/02/10 OA)でした。初見は確かもう少し前でしたが、こういう芸人さんねとの認知はそこでした。

以来彼には、「R-1決勝への進み方」のモデルケースとして関心を持っています。どこかで講義したい。

で、今回の放送からは、いろいろとミッシングリンクをつなぐ新情報も得られました。

「どっちが本業?」にマジギレ

自身には既出ネタでしたが、厚切りジェイソンは、「本業」という言葉が嫌いです。

その後もさんざ聞かれ倒したかして、ある日ジェイソンは“マジギレ”します。

リアル「Why Japanese people?」です。

生き方が本業

「本業」嫌いの理由は、こんな具合でした。

厚切り「本業以外のことはできないでしょうという意味が込めている。僕は仕事じゃないんですよ。僕は人間です。ジェイソンはジェイソンで全てのことは本業です」

金田一「ジェイソン業?」

厚切り「そう、生き方が本業です」


彼が言い表そうとしているそれに近いものを、私はさしあたり「魂」と言っています。

この年になってようやく、その人の「人間」や「生き方」ではなく「魂」を見ることができるようになりました。

初めて知った厚切りジェイソンの8つのこと

初めて知ったことを箇条書きのリストにしておきます。

  • 大学を1年休学し19歳で初来日
  • 日本企業でインターンを経験(コンピュータサイエンスの研究所)
  • ネタ番組のテロップで日本語とお笑いを勉強した
  • 日本語が分かる喜びでお笑いを目指すように
  • 日本にいたかったが新卒給与が安すぎ、5倍のオファーの米企業に就職
  • 再来日後、ザブングルのイベントの腕相撲大会で舞台上へ。壇上で加藤歩に名刺を渡す

これで、Why彼が選んだ養成所が、ワタナベエンターテインメントの「ワタナベコメディースクール」だったのかの謎が解けました。つづき

  • 最初はコンビだった
  • ピン芸出世作の「漢字ネタ」は、当初いきなり「四」と書いていた

一 二 三の「フリ」を加える修正ができるところに、彼の知性を感じます。

「再放送があればチェック」のおすすめ番組

先ほども触れたBS-TBS「林修・世界の名著」のことを少し。この番組で取り上げる「世界の名著」は毎回ゲストが選ぶ趣向になっていて、彼はドストエフスキーの『罪と罰』を取り上げていました。

これもまた「かしこ」同士の会話でした。ちょいちょい再放送もあるので、その機会に一度見ておくのも面白いです。(他にもっと面白い回はありますが)

まとめ:「スクール優等生」へのクソバイス

さて、ピン芸人としてR-1決勝まで非常に効率よくかけあがった厚切りジェイソンさんですが、技術的にはまだまだ未熟です。

番組の途中途中で差しはさまれていた、DVDからと思われるネタ映像は、それ用に収録したせいか微妙に間が狂っており、「伸びしろ」を感じました。

今後厚切りさんにおかれましては、世間の「一発屋」に対するレベルの低い誤解に屈せず、当分の間「漢字ネタ」に象徴される「一発屋」エリアに必ず片足を置いてピボットする形で新ネタ開発を進めるのが最良に思います。

「リー5世」という先行事例

というかまあ、「キレるアメリカ人」といったら、リー5世さんですよ。

日常の出来事で起こる悲劇で「しばいたろか〜!」と怒るアメリカ人を演じる一人コントネタ。(Wikipedia

をYouTubeで探して久しぶりに視聴しましたが、「マジかいや」「しばいたろか」の関西弁のキレ、厚切りさんより2倍は面白いです。

それではなぜ、かつてのリー5世さんはさほどブレイクを果たせず、比べてしまうと今さら感も否めない厚切りさんはブレイクできたのでしょうか?

ここらの「面白い」「売れる」の相関については、一度真剣に考察を加えたいテーマです。

ピン芸レベル頭打ち?なそっち路線

厚切りジェイソンさんはこんな本も出していたんですね。知りませんでした。

「ポジティブな人生相談」だそうです。「二足のわらじ」が偉業に見える層を狙っているのでしょうかね。

「ウケる方に集中する」というのはビジネス戦略として間違っていませんのでそこに文句はありません。ただ私には「ズバリ言うわよ」系の(読者にとって)その場限りで消費されて終わりの芸風はもうさんざん既出ですし、必要ありません。

ワインバーグの箴言

厚切りさんには、クソバイス芸人が20年近く愛読する『コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学』から、「プレスコットのピックルス原理(Prescott’s Pickle Principle)」を贈ります。

引用は原書から。

Cucumbers get more pickled than brine gets cucumbered.

【拙訳】漬け水がキュウリになじむ以上に、キュウリの方が漬け水によくなじむ。

つまりこういう話です。

A small system that tries to change a big system through long and continued contact is likely to be changed itself.

大きなシステムを、長期に渡る継続的接触を通じて変えようとする小さなシステムは、むしろ自分の方が変えられてしまう可能性が高い。(邦訳 p.135)

怖い。実に怖い。

日本社会という大きなシステムに長く漬かり続けていると、お笑いもITビジネスも、つまらなくなるぞ。気をつけろ。

以上!!

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番組サイト
より

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