こんにちは。
名前を研究している者として、物言いをつけます。
この記事で言いたいこと
縁なき衆生の認知能力の低さは、本当に度し難いです。
それでもお互い、どうにかし合いましょう。
要約:Executive Summary
仕切り時間に琴奨菊関が見せる動作に対して与えられかけている「琴バウアー」という名前は、誤解の上塗りです。
その度し難さが、聞いていて恥ずかしいです。やめてほしいです。
琴奨菊 TV生出演でルーティン命名!「琴バウアー」|ライブドアニュース(デイリースポーツ)(2016/01/25付)より
対案も出ていた
優勝した大相撲の大関琴奨菊(31)が24日深夜、フジテレビ「すぽると!」に生出演し、取り組み前のルーティンについて語った。
このなかで、琴奨菊さん自身が言及したもうひとつの候補「元気玉」なら、別にいいです。
漫画「ドラゴンボール」に由来するのですかね。よく知りませんが。
ドラゴンボールヒーローズ/第2弾/H2-11 孫悟空 元気玉 UR
画像検索結果で見比べてみると、比較論としてまだ適切ではあります。
私の結論:アレに名前は要らない
けれども「特段これと言った名前は要らない」が、私の結論です。
「一日の中でいくつもあり、そのひとつ」と当人が語るルーティンの、そのひとつだけに名前を付けるというのは、思慮の足りない、皮相的で浅ましいやり方です。
ひどい「誤解の上塗り」命名
「琴バウアー」を「誤解の上塗り」と述べました。世間の誤解の総量がさらに増えてしまっているからです。
この名称は、フィギュアスケートの「イナバウアー」が元になっていると思われます。2006年のトリノで女子シングルの金メダルを獲った荒川静香選手の演技で、一躍流行語となりました。荒川さんの演技は大変印象的で、神々しさすら感じるほどだった記憶があります。
しかしここに、大きな誤解があります。
「イナバウアー」とは、足に関する技の名前であって、上体を反らせる意味は含みません。
要はこういう話です。
image based on Shizuka Arakawa Ina Bauer (2006) from commons.wikimedia.org
最も目立つところに惑わされてしまう縁なき衆生の認知能力は、ほんとにどうしようもないです。
その先の詳しいことは、別の記事で述べる予定です。
その先の、また先へ
ひとつ無益な「マウント合戦」をしておきます。
探してみると、「何手か先」まであれこれ織り込んだツイートが出ていました。
イナバウアーは足を前後に開き、つま先を180度開いて真横に滑る技で、体を反らすこと自体は本来関係ないから、体を反らす様子を見て名付けられた琴(菊)バウアーという名称は誤解を増長するだけだという面倒くさい意見がそろそろ出てきそう。
— 福田晶平 (@kanbou) 2016, 1月 25
「面倒くさい意見」というのは、ですよねと思います。異存ありません。
それでもあれこれ検討して、次の結論に達しました。
面倒くさい意見でも、努めて指摘し続けないといけない気もしたりします。 https://t.co/h5vCDlFgJS
— ヤシロタケツグ「デザインや」 (@yashiro_with_t) 2016, 1月 25
うかつでいいかげんでどうしようもない一般大衆に向かって私のような者が物言いを付けたところで、どうにかなるとは思いません。加えて、衆生のうかつさいいかげんさをどうにかしようとすること自体も誤りです。それでも、黙るのは違うと思いました。
「琴バウアー」なんてセンスのかけらもない名前はご当人にも気の毒でほんとにやめてほしいわけですが、ややもすると、この先この浅はかな名前が定着してしまう恐れすらあります。それでも、抵抗を放棄するのは違うと思いました。
ここで沈黙し「物言い」を放棄することは、言わば、五輪エンブレム問題でただひとり勇気ある告発を続ける平野敬子さん(hiranokeiko.tokyo)を見殺しにするのに等しい行為です。
え?ぜんぜん違う? そうかなあ。
この先も、同じく別途詳しく述べる予定です。
つづく
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