こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。
用件はタイトルのとおりです。認定できる事実として記録しておきます。
要約:Executive Summary
- 五輪エンブレムの審査は、2014年11月17、18日の2日間にわたり行われました。審査委員は全部で8名でした。
- 審査委員のひとりだった平野敬子さんは、初日は1名が欠席し、7名での審査だったとブログに書いています。
- 会見で組織委員会が公表していた審査時のスナップ写真を確認すると、初日分には真鍋大度さんが写っていません。
- 真鍋さんは前日16日のお昼すぎまで(※日本時間)、ニューヨークにいました。
- 以上から、「初日は7名での審査だった」ことは事実で、欠席した1名は真鍋大度さんだと認定できます。
Hammerstein Ballroom @ Manhattan Center, New York City(2006) from commons.wikimedia.org
だからなに? と言われても、別にありません。
0.【レファレンス】五輪エンブレム審査に関する会見テキスト・映像
最初に、レファレンス情報です。
大会組織委員会からの情報として、次のサイトから取った素材(テキスト・キャプチャ画像)を使用しました。
8月28日 東京2020エンブレム 選考過程に関する記者ブリーフィング・質疑応答(全文) 『東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会』|聞文読報(2015/08/28付)
「佐野エンブレム」に関する「原案公表。」の3rd会見です。
また、適宜こちらのYouTube動画も参照しました。
(全録)五輪エンブレム問題 組織委が会見し原案公開|FNNsline(2015/08/28付)
公開されている各位にお礼申し上げます。
1.審査概要
五輪エンブレムの審査に係る事項として、当記事では次の点だけおさえておけばよいかと思います。
日程
審査委員会は、昨年[補注:2014年]11月17日、18日の2日間、実施いたしました。
初日は8時間、2日目は4時間かけて審査いただきました。
絞り込み過程
初日に104作品を37、それから14まで絞り込みまして、2日目に14作品を4作品にまで絞り込みました。
残す数を決めてやったわけではなく、(略)シンプルに残したいもの[にチップ]を置いてく、置いてくっていうことを繰り返し、結果37―14、14―3というプロセスになったということでございます。
2.平野敬子さんの証言
審査委員のひとりだった平野敬子さんは、ブログに次のように書かれています。
初日の審査は、審査委員1名が事情により急遽欠席したため、7名での審査となりました。
出典:014 最終の審議|HIRANO KEIKO’S OFFICIAL BLOG(2015/11/19付)
本当でしょうか。会見の席で映し出されたスナップ写真を見て確認してみました。
3-1.欠席者は誰?
先に結論を書きます。本当のようです。審査の初日(11月17日)に出席していないのは、真鍋大度さんです。
初日の写真に真鍋さんが出てきません。
2日目(2014年11月18日)に撮影
こちらが、五輪エンブレム(第1期)の審査委員8名です。
片山正通 高崎卓馬 長嶋りかこ 真鍋大度
細谷巖 永井一正 平野敬子 浅葉克己
の皆さんです。(敬称略)
平野さんの記述にしたがえば、この写真は2日目(2014/11/18)に撮影されたことになります。
最終審査の様子とも整合が取れます。
画面奥から、着席のメンバーをテーブルに沿って反時計回りに書くと
高崎 真鍋 細谷 平野 永井 片山 浅葉 長嶋
の8人です。なお右端に立っている人は事務局の人と思われます。
初日(2014年11月17日)に撮影
一方こちらは、
審査初日(2014/11/17)の様子と考えられます。テーブル左奥から反時計回りに、
(槙) 高崎 細谷 平野 永井 片山 長嶋 浅葉
の順で座っています。(敬称略)
先ほどの集合写真と見比べると、審査委員の皆さんの服装が少しずつ違います。わかりやすい順に書きますと、具体的には、次の色・形が違っています。
- 浅葉さん:ジャケット
- 長嶋さん:トップス
- 平野さん:スカート
- 永井さん:シャツ(初日は白)
- 高崎さん:ジャケット(初日は着ていない)
- 片山さん:インナー(初日はハイネック、2日目は襟つきシャツ)
- 細谷さん:ジャケットの色合い
真鍋大度さんがいない
初日と推定される写真に、真鍋大度さんは写っていません。
会見当時は、写真の左側いちばん奥が真鍋さんかなと思っていました。しかしあらためてよく見ると、組織委員会マーケティング局長(当時)の槙英俊さんです。
3-2.初日? 2日目? どっちの写真ショー
審査の様子を写したスナップについて、初日か2日目か、どっちの写真かを判定してみます。ファッションチェックで仕分ける「どっちの写真ショー」です。
いちばん違いがわかりやすいのは、浅葉克己さんのジャケットです。
下半分がオレンジ色の、大胆な配色です。作品も数多く並べられていますし、これは初日の様子ですね。ここには6名の方が写っています。
次は、会見で「審査委員代表」と紹介されていた、永井一正さんの服装です。
↑これは初日です。シャツが白です。ひとつ前の写真と同じ色です。
↑こちらが2日目です。黒いインナーです。
永井さんの服装から、下↓の写真は2日目のスナップだとわかります。
永井さんの後ろ、ほとんど重なっていますが、ニット帽の人物がいます。これが真鍋大度さんです。
↑こちらも2日目の様子です。真鍋さんの集合写真の服装とも一致します。
という具合に、真鍋さんが写っているのはすべて2日目の写真です。初日のカットに、真鍋さんは一度も写り込んでいません。
ここまでの情報を総合すると、「その日はいなかったから」と考えるのがいちばん自然です。
4.真鍋大度さんはどこにいた?
審査の初日(2014年11月17日)に出席していなかったとすると、真鍋大度さんはその日どこで何をしていたのでしょうか?
ニューヨークでの仕事を終え、帰国の途についていたと考えられます。
審査会日程前後の真鍋さんのTwitterアカウント(@daitomanabe)を探すと、こんなツイートがありました。
— daitomanabe (@daitomanabe) 2014, 11月 14
after Perfume’s live show in NYC pic.twitter.com/8XH7gDVKBb
— daitomanabe (@daitomanabe) 2014, 11月 16
Perfumeのワールドツアーに同行されていたようです。真鍋さんらの会社であるライゾマティクスがPerfumeの映像演出を手がけていますから、そのからみでしょう。
しかし2015年末のNHK紅白歌合戦での彼女らのステージには、度肝を抜かれました。
Pick Me Up(2015)
Perfume
¥250
どうでもいいですね。
さて、Perfume WORLD TOUR 3rd(perfume-web.jp)に、開催情報がありました。
これを見ると、ライブの開始は11月15日の午後8時(現地時間)です。ニューヨークと東京の時差は14時間ですから、スタート時刻を日本時間で書くと、16日の午前10時です。
17日の、おそらくは午前中に始まったであろう審査委員会に間に合わせるには、ライブ終了直後に急いで帰国して、なんとかという感じです。
ちなみに、現地の夜間帯にニューヨークJFK国際空港を出発する東京直行の定期便はありませんでした(flyteam.jp の情報による)。翌日午前の最も早い便でも、東京(NRT)到着は翌々日の午後になります。
これを当てはめてみると、NY時間で11月15日の夜には便がなく、16日朝最初の直行便でJFK空港を発っても、成田着は日本時間で17日の午後です。間に合いません。
あるいは17日朝に間に合う裏ワザ的な乗り継ぎルートを選ぶか、プライベートジェットでも使えば話は別でしょうが。
真鍋さん側が「間に合うように帰国していた」と反証するのは簡単です。実際の帰国ルートか、パスポートの入国記録を示せばすみます。
5.結論・まとめ
五輪エンブレムの審査初日に真鍋大度さんは欠席し、残る7名で審査が行われました。初日の選考、すなわち、104→37→14作品へと絞り込んだプロセスに、審査委員であったにもかかわらず、真鍋さんは一切関与していないことになります。
この事実は、組織委員会の調査報告書(2015/12/18 報道発表)でもまったく触れられていません( 「アイデア」誌による全文の写しを参照)。また「初日から8名で審査した」とも書いてありません。そう書くと嘘になるからでしょう。
だからなに?と言われても、別にないです。認定できる事実関係を述べているだけです。
真鍋さんの検証を希望
真鍋さんには、報告書を読んで出てきた次の各疑問点について、数学的に検証してほしいなという気持ちはあります。どう検証したものか、見当がつかないので。
- 「1作品に1票」という最終選考の方式は適正だったか?
- 次のような条件で行われる審査の結果は、公正と言えるか?
- 審査する8人のうち1人だけ対象に関する情報量に差があるとき
- 途中で審査員が1名増えたとき
お金に困ってもうじき家賃の払えなくなるデザイン芸人ですが、23,200円(審査の日当1日分に相当)までなら報酬を出す用意はします。
こちらからはひとまず以上です。
2016年も、あらゆる角度から五輪エンブレム問題を考えていきます。
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