こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。
忙しくて平野敬子さんの「HIRANO KEIKO’S OFFICIAL BLOG」を読み通す時間のない人のために、国内トップクラスのヒマ人が要約しておきました。
2015年分です。
小沢健二「超LIFE」(2014)
はじめての方へ:「HIRANO KEIKO’S OFFICIAL BLOG」基礎知識
- 2015年10月に開設されました。URLは、hiranokeiko.tokyo です。
- 同じ内容で、日本語、英語の2か国語でエントリが綴られています。日英「バイリンガル」にしている意図はわかりません。当記事では、日本語記事のみを要約します。
- ファビコンの画像、およびエントリのURL形式からすると、JUGEMのブログシステムを使っているようです。
- ほか平野敬子さんの活動に関する情報ソースとしては、彼女が所長を務めるコミュニケーションデザイン研究所(CDL)公式サイトでのCDL newsがあります。
- 念のため付け加えます。平野さんは白紙撤回された五輪エンブレムの審査委員8名のうちの1人でした。
【ダイジェスト】平野敬子ブログ(2015/10-12)
日付順に、「各エントリのタイトル(リンク付き)」「要約」を記していきます。
要約の文言は記事筆者(ヤシロ)によるものです。原文はこの通りではありません。不審点はリンク先をご確認ください。
パート1【001-010】
- 001 責任がとれる方法で(2015/10/10付)
エンブレム問題について、直接書き記すことにした。 - 002 公募期間の短さ(2015/10/13付)
国際的な規模で展開するシンボルマーク開発の場合、少なくとも半年から10ヶ月、最低でも3ヶ月の開発期間を設けるのが常識的。 - 003 『展開』『展開性』『展開力』(2015/10/17付)
高崎卓馬さん、「展開性」ってなに? - 004 知らされなかった招待作家(2015/10/20付)
招待デザイナーがいてびっくり。公表しなかったのはなぜ? - 005 ブログを読んで下さっているみなさまへ(2015/10/22付)
取材お断りです。産経新聞の女性記者許さん。 - 006 利害優先の土壌(2015/10/23 最終更新:11/28付)
デザイン団体の審査も不公平。 - 007 修正案承諾拒否の経緯と理由 – vol.1(2015/10/28付)
8月28日に組織委が開いた会見では、私(平野)の言葉を創作しており、修正案を拒否した理由も正しく説明できていない。 - 008 修正案承諾拒否の経緯と理由 – vol.2(2015/10/30付)
2015年5月と7月に高崎卓馬さんと打ち合わせの機会を持った。なおパラリンピックエンブレムの修正理由は、ここには書けない。 - 009 『公』の仕事(2015/11/03付)
組織委員会からの事実の公表を諦め、このブログで記録することにした。オリンピック関係も「公」の仕事とちゃいますのん? - 010 専門家の盾(2015/11/04付)
永井一正さんの「審査委員代表」って、なんなの?
【Break】「グラフィックデザインの良心」
別の記事にも書いていますが、重複を厭わずくり返します。
永井一正さんは、平野敬子さんを評して「グラフィックデザインの良心」と書いています。2008年に出た『平野敬子 (世界のグラフィックデザイン) ggg Books 86』の巻頭に寄せた文章でのことです。引用します。
平野敬子はグラフィックデザインの良心といえる存在だと思う。平野の信念は常に揺るがない。それは(略)精神性を自己の核に置くという精神の作用であると思う。それが現在成果主義や拝金主義、また礼節の乱れなどによって崩れていく様は日々随所に見られるようになってきている。平野はデザインによって、人間としての思いやりや品格、そして社会性や公共性の重要さを示そうとしてきた。
出典:「平野敬子のデザイン思想と美学」(永井一正, 2008)
永井さんの文章はこう締めくくられています。
平野の静謐で明澄な美しいデザイン群を見ているといつもすがすがしく豊かな気分になる。
作品集の巻頭に寄せる文章なのでほめるのは基本ですけれど、いま改めて読み返してみると、まあなんというか、なんですね。
パート2【011-020】
- 011 秘密保持誓約書という密室(2015/11/08付)
審査直前(2014年11月11日深夜)に秘密保持誓約書がメールで送られ、同意と署名を要請されたが、承諾を拒否した。この内容こそが「密室」。 - 012 いまこそ、私心なき専門性を問う(2015/11/11付)
今回のような広告代理店主導のデザインワークを「デザイン」業界の姿と思わないで。 - 013 判断の論拠(2015/11/15付)
エンブレムの最終審査では1位案(佐野エンブレム)に投票した。こういう根拠で判断しました。 - 014 最終の審議(2015/11/19付)
引きつづき、審査委員として体験した審査内容を記録します。あと、1日目は1人欠席して7名での審査でした。2日目参加予定のオブザーバー2名も欠席でした。 - 015 金銭感覚と敬意の相対性(2015/11/21付)
実働2日なのに審査員謝礼(69,600円)はなぜ3日分? 納得できず返した。組織委からはいまだ返事がない。それから、エンブレムの発表イベント(7/24)に6900万円ってなんなの? - 016 表現におけるモラリティと表現者のモラル(2015/11/25付)
イメージやアイデアのパクリは罰せられないが泥棒と同じでは。しかしインターネット怖い。諸刃の剣。本質のみが通用する時代に突入した。 - 017 言葉のちから(2015/11/29付)
お読みいただきありがとうございます。ヤン・チヒョルト含め、いろいろ知らなすぎたのは反省点。これからもよろしく。 - 018 何のための調査なのか、調査の目的は何なのか – vol.1(2015/12/04付)
組織委員会の調査の依頼を辞退した。その理由。 - 019 何のための調査なのか、調査の目的は何なのか – vol.2(2015/12/05付)
調査依頼を断るまでの経緯を、メール送受信の記録から。9月18日から10月29日分まで。 - 020 何のための調査なのか、調査の目的は何なのか – vol.3(2015/12/10付)
ひきつづき、10月30日~11月17日のメール送受信記録から。
パート3【021-026】
- 021 何のための調査なのか、調査の目的は何なのか – vol.4(2015/12/13付)
組織委員会の調査の依頼を辞退するまでの経緯を、11月18日から30日までのメール送受信記録に沿って。 - 022 願い(2015/12/17付)
12月1日のメール送信内容の概要。調査結果が誠実な分析でありますように。 - 023 摩訶不思議な調査報告書(2015/12/22付)
組織委員会が12月18日に公表した調査報告書、調査範囲も結論も偏っていて摩訶不思議。 - 024 負の遺産とならないように(2015/12/27付)
netgeekうざい。誰々が悪いとか、そういう次元の低い話ではないのに。せめて「本人無許可の非公認記事」と付けといて。 - 025 出口なき迷路(2015/12/31付)
組織委の質問事項と私(平野)の回答を公表します。しかし調査報告書マジムカつく。 -
026 届かぬ思い(2015/12/31付)
調査報告書への疑問13項目。
※補注 「疑問-3」には4点、「疑問-4」には3点疑問が書かれていますので、合計で平野さんの疑問点は18あります。
【Break】「ものわかりよさ」vs.「ものわかり悪さ」
この場を借りて私的な随感を述べます。
平野敬子さんの新たなブログエントリを読むたび、宮本百合子が1940年に著した「ものわかりよさ」という文章を思い出します。青空文庫版で無料で読めます。
つくづく、平野敬子さんのある意味「ものわかりの悪さ」が貴重に感じます。
いろいろと通底するくだりをいくつか抜粋します。
女のものわかりよさが求められたのは、昔ばかりのことだろうか。(略)男の側からいえば、そういうものだよ、というようなとき、それがすらりとうなずけない女の心を、わからない女と表現することの方が多い。
平野さんの場合「ものわかり悪さ」を女性性に帰結させるのは違うでしょうけれど。
しずかに考えてみると、ものわかりのいいということと、物の理解が正しくて深いということは全く別である。
大体に、ものわかりのよさの本質は、発見の精神ではなくて適応の精神であり、創造への感情ではなくて、従属への感情である。ものわかりよさは、高い人間の明知とはちがった性質のものである。
一方に深い質問を抱いてそれを追究して新しい何かの価値を人生にもたらして来るような、そういう建設の意力を、ものわかりよさはもっていない。ものわかりよさは、いつでも現在その人の生活する世間で通用している型どおりのものの上手なとりあわせを心得ているということである。
宮本の最後の啖呵も利いています。
餌をまかれてそれに支配されて来た男たちの游泳術を、それなりに追随したものわかりよさを、女も社会に出るにつけて身につけてゆくというばかりでは、あまり悲しくはないだろうか。
女のいつわりない女心は、ものわかりよさが腐臭を放っていることをよろこばないのである。
まとめ
「HIRANO KEIKO’S OFFICIAL BLOG」の2015年分を要約しておきました。
今はもっぱら静かに耳を傾ける時期と心得て、平野敬子さんのブログの更新を襟を正して待ち続けることといたします。ただ率直に申し上げると、記述の内容に1割ばかり異論や疑問も抱きますので、そのあたりを別途ちょぼちょぼと綴ることにします。
こちらからはひとまず以上です。
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