こんにちは。用件はタイトルのとおりです。
『論争と「詭弁」』(1999)で香西秀信が「現代の奇書」と言及していた本、村田宏雄『オルグ学入門』(1982, 新装版2011)を読んでみました。
内容紹介より:
大衆を組織化し、より強力なパワーを発揮させることがオルグの目的である。勘や経験のみに頼る試行錯誤から脱し、普遍妥当な学としてのオルグ技術の開発を目指す画期の書。
なるほど現代の奇書かもしれません。
オルグ技術の一環としての「感情に訴えるいいまわし方」が面白かったので、メモがてらまとめておきます。
感情に訴えるいいまわし方―『オルグ学入門』より
第7章 感情オルグの技術(9)pp.157-160 のくだりです。
感情に訴えるポイントは
- 接続詞の過剰挿入
- 再表現
- 反対結合
- 強調点反復
- イメージ語の使用
だそうです。
以下に、記述内容を再構成してまとめました。
接続詞の過剰挿入
「そして」という接続詞を意識してオーバー気味に使用する。
そうすると、聞き手の感情に訴える衝撃力が、それを使用しない場合より、より強力になる。
<例>「彼は私利私欲に目のくらんだ悪徳漢である」
→「彼は私利に目がくらんだひとです。そして、私欲のひとです。そして、彼は悪徳のひとです」
というように告げた方が、彼の悪を印象づけるにはより強力となる。
以上、p.158
再表現
ひと言でいえばすむところを、わざわざ冗長度のあるわかりきった言葉でくりかえす。
<例>「私は彼の悪の事実を見聞きしている」
→「彼の悪を私はこの目で見ました。また彼の悪を私はこの耳でききました」
感情に訴える場合、重要な部分は、冗長だと思っても再表現する必要がある。
以上、p.159
反対結合
対象の語句に、常日頃は結びつかない形容詞を結びつける。
<例>「おそろしくきたない」
→「おそろしくきれい」
<例>「彼はロクな仕事をしたこともなく、遊んでばかりいた」
→「彼は真面目に遊んでばかりいて、熱心に仕事をサボった」
以上、pp.159-160
強調点反復
強調したい語句を定め、反復する。
<例>不潔
「不潔のひと」「不潔の彼」「不潔の士」
こうすると、この言葉のみが聞き手の印象に深く残り、理由はともかく、そのひとがそのようなひとに思われてしまう。
反復は宣伝の常套手段である。
以上、p.160
イメージ語の使用
感情に訴える場合は、理論的説明は省略して、その感情を抱くようなイメージを聞き手にどうすれば与えることができるか、という点に専念すべきである。
<例>
「今これこれの理由で危機である」
→「今やわれわれは、ノアの洪水以来の危機である」
<例>(相手を評価する場合)
「不誠実な男」
→「まむしのような男」
動物と対比したほうがよい。
以上、p.160
考察
でも考えてみれば、人の心を打ち、感動を呼ぶスピーチとは、すべからく
- 接続詞の過剰挿入
- 再表現
- 反対結合
- 強調点反復
- イメージ語の使用
ででき上がる気がします。
キング牧師の「I have a dream」「Let the freedom ring」しかり、スティーブ・ジョブズの「Stay hungry, Stay foolish」しかり。
まとめ
「現代の奇書」を著したマッドプロフェッサー村田宏雄によると、感情に訴えるには、
- 植えつけたいイメージと、
- そして、強調したい語句を定め、
- それを冗長な言い方で、
- 斬新な修飾語と結びつけて表現を彩りつつ
- そして、くり返しくり返し、
- 何度も何度もくり返し、
- 実直に、誠実に訴えつづける
ことが有効だそうです。ちょっと取り入れてみました。いかがですか?
みんなでマッドプロフェッサーが遺した素敵なノウハウを活かして、まじめに人を貶め、一億総ハッピーライフを目指しましょう!
以上です。
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