やらかした佐野研二郎さんへの激励メッセージ―亀倉雄策賞・受賞のことばより

こんにちは。デザイン芸人「デザインや」です。

当ブログは、だいたい物事重視の「コト系」スタイルで書いていますが、この記事は「ひと系」です。

佐野研二郎さんという「ひと」に向けて書きます。

「幻」の公式エンブレム

ことの背景として、9月に入っての経緯を簡潔に記します。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、
本日、大会エンブレムの取り下げを発表いたしました。

東京2020エンブレムについて|tokyo2020.jp(2015/09/01)

20150902_mrd_comment_800px_20150901

今の状況はコンペに参加した当時の自分の思いとは、全く別の方向に向かって
しまいました。もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました。

www.mr-design.jp(2015/09/02閲覧)

佐野研二郎さん「受賞のことば」

ある意味「原点」から確認したくて「亀倉雄策」を検索すると、こんなテキストが目に入りました。

いいたいことはたくさんあるが、それはデザインで還す。

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JAGDA:第17回亀倉雄策賞 佐野研二郎 受賞のことば より

総合すると、2015年のはじめごろに書かれたテキストのようです。今年(2015年)の亀倉雄策賞、受賞者は佐野さんだったのですね。

それはさておき、現在の彼の状況と照らし合わせると、いろいろ感じ入るところのあるテキストでした。

このテキストにからめて、佐野さんにエールを兼ねたメッセージを送っておきます。

(ひねりすぎて伝わりにくい)佐野研二郎さんへのメッセージ

引用は「受賞のことば」からです。

亀倉雄策の仕事で一番好きなのは1964年の東京オリンピックのエンブレムだ。

これですね。

20150902_263px-Tokyo_1964_Summer_Olympics_logo

commons.wikimedia.org

シンプルで力強く、唯一無二のデザイン。

はいぃ。

いつの日かこのようなシンプルで骨太な仕事がしてみたい、と思うようになった。

憧れだったのですね。

ニッポンを、世界を、あっといわせる仕事。一生に一度でいいからそういうデザインをしてみたい。

できましたね。佐野さんの今回の仕事をめぐる顛末には、私もあっといわされました。

ところで、「世界」は漢字なのに、なんで日本は漢字じゃなくてカタカナの「ニッポン」なの?

細かいことが気になってしまうのが、僕の悪い癖

シンプルであること。明快であること。太くあること。Simple. Clear. Bold. ある日から僕のデザインの指針となった。

なるほど。例の原案によく表れていました。

そんな指針があらぬ盗用の疑いを招いてしまうとは、運命の女神も罪つくりです。

去年、あるきっかけがあり、亀倉雄策の本を読み漁った。

これは意外でした。

私も昨日、亀倉雄策の『曲線と直線の宇宙』を読んだばかりです。感想は「佐野さんもこれ読んでおきゃあ、ちょっとは違ったろうになー」だったものですから。

そうそう。亀倉の本って読み「漁れる」ほどありましたっけ? 私の知らない本がまだあるのかな。

忙しいなんて絶対に口にしない。言い訳はいわない。

その意気やよしです。

目の前の画面は世界に確実につながっている。

そういうとこ、また誤解されますよ。

デザイン芸人もひとつこの場を借りて、佐野さんのように過去のパクリ事案を探られる身となる前に懺悔しておきます。

ン年前に倉敷のお客様向けに作ったプレゼン資料に、マスカットスタジアムと大原美術館の外観とエル・グレコの「受胎告知」の画像をネットから無断でコピーし使用したことは、間違いありません。

20150902_El_GRECO(Domenikos_Theotokopoulos)

El Greco “The Annunciation” (c.1590-1603)

利用法としてセーフなのは、この「受胎告知」だけです。

デザインはシンプルで深い。考え、それを超えるべく手を動かし、また考え、また手を動かす。邪念はいらない。

うん。

デザインは思想だ。

そうだ。

簡単に。深く。明快に。太く。でも簡単に。

それが佐野さんの思想であり、流儀だということですね。

ストレスはある。でもいつも朗らかである。そういうデザイナーでありたい。デザインの道はまだまだ続くのだ。負けない。

いいですね。その意気買いますよ。

「あかんやつ」も多くやらかして、その責めは負わなければなりません。ですがそれはそれ。私はこれからの佐野さんを応援します。

僕には亀がついている。亀はゆっくり、確実にやってくる。

亀倉雄策の亀とかけているんですね。センスはいまいちに思いますが、承ります。

まとめ

後づけの誹りを承知でひとつ申し添えておくと、私には、「作品」よりも「作者」が前面に出てくる五輪公式エンブレムの報じられ方が、どこかすわりが悪かったのです。

そこで、エンブレムのデザイン周辺であれこれやらかしてしまった佐野研二郎さんに、亀倉雄策の次の言葉を贈ります。

デザインっていうのは、もともとアノニマス(無名)なもんだよ。

出典:「デザインが見えない」(1983) 『曲線と直線の宇宙』所収

しばらくの間、当ブログの記事は直接間接に、佐野さんへのエールのつもりで書いてゆきます。

ゆる~い今後の予定

記者会見での発言とその後の声明を分析した範囲で言うと、佐野研二郎さんという人は、よくも悪くも、正直な人なんだなあという印象を持っています。

私としては、佐野さんが嘘のない言い回しによって言及を避けているところをきっちり検証しておきたいです。

というか、人の検証とか応援とかしてる場合じゃない。

お金がない。

おわり

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