こんにちは。デザイン芸人の「デザインや」です。
小林秀雄の、全部まるっとお見通しだ!
ベルギー・リエージュ劇場のロゴに「酷似」しているとして、国をまたいだもめごとになっている東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレム。
この騒ぎの構図を、小林秀雄(1902-1983)が、1974年の講演ですべて言い尽くしていました。
小林秀雄 「なぜ徒党を組むのか」|YouTube
もうほんとこれにつきます。なんだこれ。見てたんですか?
テキストに起こしてみました。
小林秀雄の「知る」と「信ずる」
本題に入る前にひとつだけ。
小林は「知る」「信ずる」の手段をこう定義しています。
- 「知る」は、万人のやり方
- 「信ずる」は、自分のやり方
ここをふまえておきます。
1974年の小林秀雄が語っていた「東京五輪エンブレム盗作騒動」の構図
講演音声の中からピックアップして、適宜見出しその他を付け加えながら進めます。
大事なところには線を引いておきました。
今日の無責任
(小林)
今日(こんにち)は非常にねぇ、その、無責任だっていうことをいいますね。実に無責任ですよねえ。今日の一般ネット民ってのは。ベルギーのデザイナーを救え! きみ責任取んの? 取りゃしないよ。責任なんか取れないものばっかり人は言うんですよワーワーワーワー。
よく見てご覧なさい。ほんとに責任を取ってるか? 自分の言うことに。
注:
最初の下線部は「インテリ」を、つづく下線部は「韓国のある青年」を書き換えてみました。
信ずる=責任を取る
(小林)
[そう]じゃないんです。信ずるってことは責任を取ることです。ぼくは間違って信ずるかもしれませんよ。万人のごとく考えないんだからねぼくは。
ぼく流に考えるんですから、もちろんぼくは間違えます。でも責任は取ります。それが信ずることなんです。
信ずる力を失うと、責任を取らなくなる
(小林)
だから信ずるという力を失うと、人間は責任を取らなくなるんです。そうすると人間は、集団的になるんです。会がほしくなるんです。
クラブ流に信ずるからイデオロギーってものがあるんじゃないか。そうだろ?
自分流に信じないからイデオロギーってものが幅をきかせるんです。だからイデオロギーは匿名ですよ常に。責任を取りませんよ。
責任を持たない力は恐ろしい
(小林)
そこに、恐ろしーい力が、力がまあ、あるじゃないか。それが大衆、集団の力ですよ。責任を持たない力ってのはまあこれは、恐ろしいですね。
だいたい集団っていうのは責任取りませんからね。どこにでも押しかけますよ。自分が正しいといって。
こういう時の人間なんてものはまあ恐ろしいことになる。でもその恐ろしいものは、集団的になると表れるぼくらが持ってる精神ですよ。悪魔ですよ。
捕注:
次のリンク先で、その様子が確認できます。
結果的に徒党を組んでいます。
なぜ徒党を組むのか
(小林)
ぼくも[本居宣長のように]インテリってものを嫌い抜いてますよ。それでジャーナリズムってものはインテリの言葉しか載っかってないんです。こんなものと日本と間違えちゃいけませんよ。
サヨクだとかウヨクだとか、みんなあれイデオロギーですよ。あんなものに私(わたくし)なんかありゃしませんよ。信念なんてありゃしませんよ。どうしてああ徒党を組むんですか、日本を愛するんなら。日本を愛する会なんてすぐこさえたくなるんですよ。バカですよ。
日本の在り処
(小林)
日本というのはぼくの心のなかにあるんです。諸君の心のなかにみんなあるんです。気がつかないだけだよ。
こんな古い歴史を持った国民がねえ、自分の魂の中に日本を持ってないはずがないですよそんなもん。ただ諸君は知らないんです。知らないんだ。
信ずる心・能力の欠如
(小林)
インテリっていうのは知らないんです。自分の都合のいいことだけ考えんのがインテリってもんなんだ。反省がないんですね。インテリには反省がない。
反省がないってことは信ずる心、信ずる能力を失ったっていうことなんです。
信ずることの責任
(小林)
信ずるってことは常に危険なんです。危険だから、その責任はぼくが取らなきゃあならないんです。
<練習問題>
問. 上の文章を読んで答えましょう。
文中の下線部「インテリ」を適切な語句に入れ替えて、東京五輪の公式エンブレムをめぐる騒動の話にしてください。
正解は2020年に発表します(ウソ)。
まとめ:秀雄小林のすべらない話
ほんと、このまんまです。鳥肌が立ちました。
小林秀雄はほんまに、すべらんなぁ~
無責任なみなさんへお願い
ですから無責任なみなさんへお願いです。
みなさん酷似していますよ!
小林秀雄をパクるのは、やめてください!!
出典情報
元の音声はこちらのCDに収録されています。
アマゾンでは在庫切れでした。丸善&ジュンク堂ネットストアで注文しました。honto などでも購入できます。
書籍化版がこちらです。
こちらは入手済みです。単独で読むぶんにはいいですが、「出典」を知っていると、原稿に手が入って書き言葉になっている部分で語りの魅力が削がれていて物足りない気もします。
以上が「それ、違法です。」なファイルからテキストにした、自分流の責任のとり方です。
おわり
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