こんにちは。入り口は《丸の内サディスティック》(椎名林檎, 1999)だったクチです。
「ベンジー」こと浅井健一さんが出演された2月2日の「The Covers」(BSプレミアム)が、トークから曲から何からとにかくもういろいろとすごかったです。いまここで「2015年に見たテレビ番組ベスト1」に1票入れてしまっても悔やまないかもしれません。「音楽番組」部門なら間違いなく1票です。
グレッチ amazon.co.jpより
別居する嫁のためにテキストにしておきます。
番組基本情報
The Covers「浅井健一」(NHK BSプレミアム 2015/02/02 23:15-23:45 OA)
過去3ヶ月の放送より ※放送後3か月で消えるようです
浅井健一が、井上陽水の「紙飛行機」(1972年)、GARO「学生街の喫茶店」(1972年)をカバー!更に、井上陽水の「紙飛行機」に影響を受けて作ったという浅井健一のオリジナルナンバー「紙飛行機」も披露!貴重なトークと共にお楽しみ下さい
MC:リリー・フランキー、夏菜
The Covers「浅井健一」
適宜情報を補いつつ、進行に沿って記していきます。
オープニング
ナレーション(リリー・フランキー):
歌は、歌い継がれていくことで、永遠のスタンダードになっていきます。今夜、あの名曲に新たな息吹を。
カバーズ
今日のゲストは、浅井健一
MCトーク
リリー「今日ね、スタッフが、大道具さんとか、いろんなスタッフの人が、もうあの結構テンション上がってます」
夏菜「おっ。この人来ないのこの人来ないのって」
リリー「そしてその方がやっと来ていただいて」
夏菜「はあー」
リリー「もうカリスマですからね」
夏菜「そうですね」
浅井健一登場
夏菜「それではご紹介しましょう。浅井健一さんです。どうぞ」
浅井登場
夏菜「はじめまして」
浅井「こんにちは」
夏菜「こんにちはよろしくお願いします」
浅井「こんばんは」
座りトーク #1
リリー「でもなんか浅井さんがこういうトークをしたり人の曲をやるっていうこういう番組になんか出られている印象はなかったんですけど、今日はなんで出ていただいたんですか」
浅井「うーんと、何かと、出た方がいいかなと思って」
紹介VTR
ナレーション(高山みなみ):
浅井健一さんは1964年愛知県出身。1990年BLANKEY JET CITYを結成、カリスマ的な人気を博しますが2000年に解散。
♪「ガソリンの揺れかた」BLANKEY JET CITY『POPJAM』(1997)
その後は並行して活動していたユニット、SHERBETSや、歌手のUAさんと2001年に結成したAJICO、JUDEなど、多彩な音楽活動を展開します。
♪「BLACK JENNY」SHERBETS ※2001
♪「美しいこと」AJICO ※2001
2006年からはソロでの活動をスタート。音楽以外にも絵本の出版や個展を開催するなど、絵の才能も高く評価されています。
♪「紙飛行機」浅井健一 2014
座りトーク #1(承前)
リリー「絵描いてらっしゃるっていうのは知ってたんですけど、こんなにたくさんの」
夏菜「えーっ、びっくり」
リリー「画集があるんですね」
夏菜「すごい。色遣いといいこの絵の雰囲気といい、日本人が描かなそうな絵ですよね」
画集「Jet Milk Hill to Sherbet Street」(2007)
リリー「うん。なんか無国籍な」
夏菜「ねぇ。かわいい。これ何で色づけしてるんですか?」
浅井「えっと、あの、リキテックスっていう、絵の具みたいなやつと、とか、色鉛筆とか、水彩の」
夏菜「それでひとつ気になったのが、ここここ、これ」
浅井「ああー」
夏菜(絵の中のセリフを読む)「今日はナスのトマトソーススパよ」「死んでもいい?」
浅井「違う違う違う。逆逆」
夏菜「逆?逆?」
浅井「逆」
夏菜「死んでもいい?」
浅井「死にたい人がおったんだけど、ナスのトマトソーススパがこの人は好きだったもんだで、引き止めてるの」
リリー「俺は、今日ナスのトマトスパよって聞いてナスが嫌いだから死んでもいい?って言ったのかと」
浅井「ああ全然、全然違う」
リリー「でもあれですよ、作曲してる時間とこの絵を描いている時間とどういう自分の中の、なんか面持ちというか…」
浅井「音楽は自分の本業というか、そのほんとにやることだと思っとって、で絵は、その、その合間に、暇なときに描くって感じですよね」
リリー「でも相当な量ですよ」
夏菜「ねえ」
浅井「全然、うまくないけどね」
Cover Song #1
GARO「学生街の喫茶店」
詞:山上路夫 曲:すぎやまこういち(1972)
ナレーション)今日のカバー1曲目は、1972年に発表された《学生街の喫茶店》
♪「学生街の喫茶店」『第24回NHK紅白歌合戦』(1973)
ナレーション)フォークグループGAROが歌ってラジオから火がつき、大ヒットしました。
リリー「ちなみにこの曲俺今も、これ初めて知ったんですけど、これGAROの3枚目のシングルで72年に発売した《美しすぎて》っていう曲のカップリング、B面だったんですね」
夏菜「うーん、A面じゃないんですね」
リリー「A面じゃなかったんです」
リリー「あとなんかこの歌詞の中に、ボブディランって固有名詞が入ってくることとかも、なんかちょっと日本の歌謡曲のなかですごく…」
浅井「それは、あったんですよね。ボブディランって何なんだろう?って、思った覚えはありますね」
夏菜「哀愁がすごい、漂ってましたね」
浅井「哀愁漂ってたね」
夏菜「浅井さんは明るい曲好きですか?」
浅井「大好きだよ」
夏菜「あっほんとですか」
浅井「うん」
夏菜「明るいですかご自身は」
浅井「めちゃくちゃ明るいよ」
夏菜「あははほんとに? なんか…」
リリー「人に『明るいですか』って質問も斬新ですね。暗い前提で話してるじゃない」
夏菜「ごめんなさい。いやいやいや」
選曲の理由
夏菜「どうしてこの曲を選ばれたんですか?」
浅井「えっと、たぶんその、俺が小学校1、2年生ぐらいのとき? 違うかな。何年ぐらいですね近いですよね年ね」
リリー「でも1つ違いなんで、でも子供の頃にGAROがテレビで歌ってるイメージはすごくありましたね」
浅井「そうです」
リリー「なんか強烈に見えたと思うんですよ」
浅井「そう何か、世の中が、の歌がさ、なんかちょっと趣が違うじゃん。なんかちょっと暗くて。だからそれは、なんか、おっ!とか思ったんかな」
浅井「この、曲が、持ってる世界観だったら、自分でもあの、表現できるかなと思いましたね」
The Covers 学生街の喫茶店
(GARO/1972)
Vo. G. 浅井健一
Dr. 椎野恭一
Pf. 皆川真人
Vl. 岡村美央
Cho. 福士久美子
アフタートーク #1
リリー「これ、でもその浅井さんの曲、が歌うとなんか、GAROの人たちがこの曲がすごくフォーキーで抵抗があったっていうけど、なんかちょっとフレンチな感じっていうか」
夏菜「うん。オシャレ感がすごい」
リリー「ヨーロッパのなんかこう、そういう退廃的な感じがします。意外とあれなんですよ、今回はアレンジはけっこう原曲に近い感じで」
浅井「近いですね」
浅井「曲がさあ、その言ってることが、すごいあの、単純明快なんだけど、なんかまっすぐでいいじゃん」
夏菜「うん、うん」
浅井「この番組に出る、出さしてもらうっていうことになって、それですごい、何を歌ったらいいのかなってほんと、真剣に考えたらこれが浮かんできたかな。なぜか」
初めて買ったレコード―浅井健一
夏菜「浅井さんが初めて買ったレコードって何です?」
浅井「エアポート’75っていう映画があったんだけど、そのサウンドトラック盤をジャケ買いしたんだけど、激しい音楽だと思って買ったら全然なんかムードミュージックで」
夏菜「へへへへぇー、そうな(んですか)」
浅井「ずっこけたっていう」
夏菜「へぇータイトルがすごい」
浅井「ジャケットはすごいなんて言うの、かっこよかったんで」
リリー「最初に買ったレコードがジャケ買いってすごくないですか」
浅井「そうですね。…全然すごくないけどね」
姉が聴いていた音楽を吸収
夏菜「邦楽だと何ですか?」
浅井「姉がいたんで、姉が聴いてたレコードを、聴いてましたね。フィンガー5とか」
夏菜「あっ、フィンガー5」
浅井「この、このレコードはありましたね。家に」
♪「恋のダイヤル6700」フィンガー5(1973)
夏菜「へぇー。うわーはははは」
浅井「すごいヒットして」
夏菜「やっぱりお姉さんの影響っていうのは大きかったですか」
浅井「絶対でかいですね」
夏菜「あーそうなんだ」
浅井「姉はえっと、はじめはフィンガー5とか聴いてたけど、すぐになんか洋楽行って、ミッシェル・ポルナレフとか、デヴィッド・キャシディとか、そこらへんから始まって、デヴィッド・ボウイとか、になってたかな」
リリー「女性のミュージシャンとかで好きになった人っていうのは、思春期時代とか」
浅井「あー、中森明菜とか好きですけどね」
夏菜「あ、中森明菜さん、かっこいいですよね」
浅井「かっこいいですよね。歌が、すごいいいと思う」
リリー「ギターはいくつからだったんですか?」
浅井「ギター中1」
夏菜「へぇー」
浅井「ギター上手くなってそのバンド組んで、で有名になろうかなとか。有名になろうかなじゃなくて有名になろうと思い、思い始めたのかな」
リリー「最初はフォークギターだったんですか? もうエレキだったんですか?」
浅井「フォークギターで、教則本買って、で自分でやり始めて」
リリー「そのときにいちばん最初に練習した曲とかって」
浅井「神田川」
夏菜「神田川!」
リリー「あーでも教則本にはだいたい出てきますよ、神田川」
夏菜「そうなんだ」
夏菜「歌謡曲以外ではなんか邦楽で聴いてたミュージシャンの方とかっていらっしゃるんですか?」
浅井「シーナ&ロケッツは大好きで、今でも。で鮎川さんをすごい尊敬していて。でそんときまだ、その日本にかっこいいロックバンドあんまいなくて、シーナ&ロケッツはすごいかっこよかったんだよね単純に。それで聴くようになって、歌詞もすごくよくて、大好きでしたね」
♪「ユー・メイ・ドリーム」
アルバム『真空パック』(1979)
※画像はrokkets.com/Disc/より
シーナ&ロケッツ(1978~)福岡県出身
鮎川誠(Gt. & Vo.)が妻シーナ(Vo.)と結成 代表曲に「ユー・メイ・ドリーム」「LEMON TEA」など
エルヴィス・コステロをはじめ世界的ミュージシャンとも共演
リリー「でもやっぱシーナ&ロケッツなんかこうずーっと力強さとかエネルギーが変わらないし、そしてなんかどんどんこう、熱くなっていってる感じっていうのかな、なんか勇気出ますよね」
Cover Song #2
ナレーション)次にお送りするカバーは、井上陽水さんが1972年に発売したアルバム『陽水II センチメンタル』に収録されている〈紙飛行機〉です。
「紙飛行機」
詞・曲:井上陽水(1972)
浅井「井上陽水はだから、19とか、そんときに、たまたま紙飛行機っていう、曲を聴いて、なんかいい歌だなと思ったんだよね」
夏菜「へぇー」
リリー「このアルバムの中にはほら、〈東へ西へ〉とかだったり、こうけっこういろんな人がカバーしてる曲があるんですけどこう、〈紙飛行機〉をカバーしてる人っていうのはあんまりなんかこう、印象がないですよね」
夏菜「そうですよね。なかなか」
夏菜「井上陽水さんの魅力ってどんなところですか浅井さんにとって」
浅井「俺は… 天才なんだと思うよ」
リリー「浅井さんの、なんか歌詞とか陽水さんの歌詞の、なんだろうその、説明しすぎないなんか美しさみたいなものがすごく共通してるとは思いますよね」
浅井「説明ね」
夏菜「嫌いですか?」
浅井「好きだよ」
夏菜「あ、そうですか。(笑) 絶対好きじゃない感じですけど」
リリー「好きな流れじゃなかった(笑)」
浅井「全然好きじゃない。歌詞で説明しとってはいかんわね」
リリー「この当時の人はね、みんなベルボトムにこういうちょっとチリチリパーマをが多いですよね」
浅井「パーマなのかな」
リリー「パーマだと思いますけどこれ」
浅井「天然だと思いますけどね」
夏菜「え、ほんとですか?」
浅井「自分も天然なんで」
夏菜「え、天然ですか?」
浅井「うん」
リリー「うまいこと天然ですね」
浅井「昔子供のとき直毛だったんだけど、中学校のときに坊主にしたら、天然になっちゃったのかな」
夏菜「え、なんで中学校のときに坊主にしたんですか?」
浅井「さっぱりしたかったから」
夏菜「ふはははははは。ドッヒャー、ドヒャーですよ。それだけですか」
浅井「そうだね」
選曲の理由
夏菜「この曲のどんなところがお好きなんですか」
浅井「その… こういうテレビでもそうだけど、その目に入ってくるのはさあ、すごいなんか明るい、なんか、その表面というか、表面は…社会の表面、日本の社会の表面はさあ、すごい、楽しそうに見えるんだけど、実はみんないろいろ問題とかあるわけじゃん。で、そういう、すごいなんか、まあ落ち込んでる人もいるだろうし、すごいノリノリの人もいるだろうけど、だからその、人間の、その社会で生きている人たちのなんか、気持ちをよく表してるのかなって思ったんだけどね」
The Covers 紙飛行機
(井上陽水/1972)
Vo. G. 浅井健一
Dr. 椎野恭一
Ba. 皆川真人
Vl. 岡村美央
Key. & Cho. 福士久美子
#2 アフタートーク
リリー「陽水さんの紙飛行機はもうちょっとなんかこう澄んでるところを飛んでるイメージだったけど浅井さんのを聴くと乾いた空気のほこりっぽいとこを飛んでいってるような、こう」
後半につづく
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