勘違いしていませんか? 国語辞典の見出しにある(造語)の意味

こんにちは。

びっくりしました。

要約:Executive Summary

国語辞典の見出し語に付けられている

(造語)

とは、「新しく造り出された語句」のこと、昨今の例で言えば「壁ドン」みたいな語句のこと、ではありませんでした。

簡単に言うと、「パーツになる語」という意味だったのです。

小学生時分に国語の辞書を使い始めてから半世紀近く、ずーっと勘違いしていました。

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※画像は、commons.wikimedia.orgより

知らなかった! 辞書の(造語)

始まりは、タイムラインにやって来たツイートからでした。

いがい【以外】(造語)

え、本当?

ほんまかいなと、手元の「新解さん」を開いて「以外」の項目を見てみると、確かに(造語)と書いてあります。

「以外」って造語か?

手持ちの電子辞書も引いてみました。収蔵の2辞書(広辞苑、明鏡国語辞典)とも「造語」とは付けられていませんでした。

「以外」って造語なんでしょうか?

そりゃ、どこかの時代に作られたことばであるのは間違いないでしょうけど…

疑問は残ります。

凡例をあたる

「疑義が生じたらなるべく原典をたどる」のが、出典マニアの流儀です。

そこで「新解さん」がどういうつもりか探るべく、『新明解国語辞典』巻頭の「凡例」を読んでみることにしました。

すると思いもしなかった、とんでもないことが書いてありました。

衝撃の新事実!

下に引用するテキストは、Webにある第六版の「品詞などの指示」です。※強調・下線は引用者

23 品詞以外で( )を用いたものは次のごとくである、

(造語)造語成分

※後略

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えっ、見出し語に付いている(造語)って、新語の仲間的な「造語」のことじゃなかったの?!

衝撃の新事実です。

ところで、造語成分ってなに?

しかしながら「造語成分」とは、わかったようなわからないような言葉です。というか、わからないです。

どういう意味?

「造語成分」とは

『明鏡国語辞典』での語釈が具体例をまじえてあってわかりやすかったので引用します。

ぞうご-せいぶん【造語成分】

《名》
単語を構成する要素で、意味をもった最小の単位。「観梅」の「観」と「梅」、「春めく」の「春」と「めく」の類。造語要素。

「他の語と組み合わせた複合語をこしらえやすい、パーツ的なことば」と理解しました。

なお『明鏡―』でも同じく、(造)という表示は造語成分を表す旨、「凡例」に書いてありました。

まとめ

今回初めて、国語辞典の見出し語の後ろに付いている

(造語)とは、

  • 「新しく造り出された語句」という意味ではなく、
  • 複合語を形成するパーツ的なことばである「造語成分」を意味する

ことを知りました。

知らんかったわー。

ただそれでもなお、「新解さん」が「以外」にわざわざ(造語)を付けて「造語成分だぞ」と“造語成分推し”している意味は、理解しあぐねています。

謎です。

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