11月15日の「SWITCHインタビュー 達人達」(NHK・Eテレ)をテキストにしています。(3)のつづきです。
Vol.59 ふなっしー力 アガワ力
ふなっしーが学ぶ!「聞く力」
ふなっしー「へぇー。すごいなっしなー」
阿川「話なくなっちゃったでしょ。ね。かわいそうだよね」
ふな「ううん、なんかね、そうやって。こうふなっしーね、なかなかね」
阿川「大変なのよ次の質問を探すってなかなか難しいことなんですよ」
ふな「確かに聞く力、なしな」
阿川「私も長くインタビューしてるけどね、やっぱりこう聞いていながら…」
ふな「おい質問させてくれなっしー!」
阿川「あっ質問したい? だって質問なさそうだからかわいそうに」
ふな「そんなことないなっしー」
阿川「そんな私に興味ないでしょ」
ふな「その、テレビの企画全部否定しちゃダメなっしー」
ふな「やっぱりこう、あの本が売れたっていちばんの理由は、人に対して興味を持って聞くっていうのはすごい難しいことだと思うなっしな」
阿川「割にね、みんな自分の意見を主張しないと相手に理解してもらえないと思っている人が多いらしいんだけども、実は、人間は、自分の話を聞いてほしい人の方が多いと思うの」
ふな「あ、あ、そうなしな。特に女性はそうなしな」
阿川「女はそうですよ。女と男の違いわかるふなっしー?」
ふな「あー、ぼんやりわかるなっしー」
阿川「男の人はね、人の話を聞いたら何でお礼をっていうか、リスポンスをするかっていうと、その話の解決策を相手に伝えることが、その人に対する親切だと思ってるんだって。割にそういう人が多いんだって」
ふな「なるほどなっしー」
阿川「だけど女は、聞いてよちょっと~」
ふな「うん聞くなっしー何なっしー」
阿川「太っちゃったんだー、なんて」
ふな「そんなことないなしよー」
阿川「あ、いいねいいねそういうのね」
阿川「だけど『ご飯、炭水化物ダイエットでもしたらどうだお前』って、男の人はもう早く話を切り上げたいから解決策を言うんだけど、女は、聞いてほしいだけなの」
ふな「ああなるほどなしな」
阿川「ちょっともう信じられない。先週だってね、2食も抜いたのに全然痩せないの」
ふな「2食も?信じられないなっしー!」
阿川「あ、そういう反応がいいのそういう反応が」
ふな「なるほどなしな」
阿川「うん、そうオウム返しが大事なの。わかった?」
ふな「うんうんうん、同調するってことなしな」
阿川「そうそうそうそう。わかってんじゃない」
ふな「わかってるなっしー」
阿川「聞く力あるね」
ふな「そうなしなー」
阿川「このあいだ石田純一さんという人に会って聞いたらね、男はね、過去を語りたがるって。自分の実績とか、自分の手柄とか、自分の自慢とか、なんかそういうことを語りたがるんだけど、女はちっとも聞きたくないっていうね」
ふな「なるほどなしな」
阿川「だからおじさんがモテるようにするためには、その女の子に興味を持って、女の子の話を聞くようなおじさんになるとモテるよって、だから石田さんはよく話聞くらしい」
ふな「なんかあの、女性は過去よりも未来の方に興味があるって」
阿川「そうそうそうそう、そう。見たな」
ふな「ちょっと見ちゃったなっしー」
阿川「あの番組見たな」
/* サワコの朝 2014/09/27 OA */
ナレーション)聞く力でいちばん大切なことは、目の前の相手に集中し、好きなところを見つけることだという。
『聞く力』より
声の出し方、ちょっとした反応、表情、仕草、躊躇、照れ、熱意 下らぬ話の隙間にもその人らしさや人格が表れていて、そこに共感したくなるようななにか小さな魅力があればそれだけでじゅうぶんです
阿川「ふなっしーは、動くし、表情も変わるし、そうするとこう感情がこっちにこうバンバン飛んでくるっていうのかな、そういうことがやっぱり対したときにうれしいんじゃないかなと、悲しそうな表情」
ふな「(悲しそうな表情) どうなっしー?」
阿川「じゃさびしい表情。あーちょっとカメラ、はい、はい。じゃ怒った表情」
ふな「…ムキーッ!」
阿川「はははは。なるほど。で、うれしい表情」
ふな「にこにこにこー」
阿川「ああ、けっこうあるよね。そういうしゃべり方とか質問のしかたとか、いうのだけじゃなくて、そんな大した質問してなくても、表情で、あ、この人には話したくなるなって思う場合があるんだなって最近気がついたんだけどね。ふなっしーを見て思いましたよ」
ふな「あ、ほんとなっしー。へーこんな梨ごときを見てそんな大層なことを言っていただけるなんて、うれしいなしな」
阿川「そうですか」
ふな「うん。うれしいなっしー」
阿川「はい。それで私に質問するんでしょ」
アガワがモテる理由
ふな「ああごめんなさいなしな。なんかね、あのーすごいいろいろなことに本書いたりとか、司会でね、ご活躍されたりとか、いろんなことにチャレンジしていくなしな。そのチャレンジしていくことの秘訣みたいなものはあるなっし?」
阿川「チャレンジっていうか、基本受注産業ですからね」
ふな「あ、受けた仕事は与えるみたいな」
阿川「ないのよ軸が、私。だから書く仕事なんて好きじゃないし、インタビューの仕事もいまだにそんなに好きじゃないんですけども、仕事っすから。仕事っす」
ふな「あのね、たぶん阿川さんもそうだと思うんだけど、なんか何かを経験してみたいっていう気持ちが常に、好奇心を」
阿川「ああ、そうそうそうそう。なんかね、恥ずかしながら、映画にも出演したことが何回かあるんですよ」
ふな「ああー女優さーん!」
ナレーション)阿川、今年の出演作
ニシノユキヒコの恋と冒険
/* 公式サイト:ニシノユキヒコの恋と冒険 */
ナレーション)竹野内豊演じるモテ男と恋に落ちる役
阿川「なんでそういう図々しいことすんのアンタって、言われるの。別に私は演技を極めたいとか映画で女優になりたいっていうんじゃなくて、映画を作る制作現場っていろんな人がいるでしょ。主演女優さんとか男優さんだけじゃなくて、小道具さんとか大道具さんとか照明さんとかそれこそいろんな人がいて、それぞれの職人さんが働いているという現場の、仲間になったときにどういう気持ちになるのかっていうのを経験してみたいっていうのを」
ふな「あーわかるなっしー」
阿川「思うわけ」
ふな「うーん」
阿川「これで私はデビューしようとかいう気はあんまりないし、でも評判よかったらいいなとは思ってんだけどねちょっとね、たいていだめなのよね、全然、全然ヒットしない映画ばっかりなんですけど」
阿川「でもそういう、好奇心というほど高尚なものじゃなくて、のぞき心っていうんですかね」
いよいよ核心へ ふなっしーの正体
阿川「だって好きでこんなとこ入ってないんでしょ」
ふなっしー「えなに?」
阿川「本業はなんなの?」
ふな「本業? 梨の妖精なしよ。なんでそう、いきなりこう内角ストレートをガーンと、投げ込んでくるなっしー。危険なっしー」
阿川「本業っていうものがあって、これを副業と思ってやっているとか、そういう意識はあるかなと思って」
ふな「あんね、基本的にふなっしーは、何をやっても生きていける自信だけはあるなっしー」
阿川「あ、そうなんだ。え、たとえば?」
ふな「いやあもう別に、ね、梨の妖精やめて、スイカの叩き売り妖精でも構わないなっしー」
阿川「スイカの叩き売り妖精でも大丈夫」
ふな「なんでもOKなっしー」
ふな「あのまあ、何やっても生きていける自信だけはあるから」
阿川「なんで何やっても生きていけるだけの自信があるんですか?」
ふな「あ!… なるほど!」
阿川「なんで?」
ふな「なんだろう、なんか、昔からなしな。大前提にそんなに、お金がなくても生きていけるっていう」
阿川「はぁ~」
ふな「ほんとにね、3~4年間、自分で5万円ぐらいで作った小屋に住んでいたことがあるなっし」
阿川「ふなっしー?」
ふな「そうなしよ」
阿川「5万円?」
ふな「あのDIYで買ってきた木材とかで」
阿川「出たね初めて現金の話」
ふな「ここカットなしな。ダメなっしー」
阿川「あ、そう。じゃなんていうの、貧乏苦にならないっていうタイプ」
ふな「ああ全然ならないなっしー」
阿川「あー。今貧乏なの?」
ふな「ああ今ね、少々梨持ちにはなってるけど、でもそれだから幸せかっていうと微妙な話なしな」
阿川「あ微妙な話?」
ふな「もちろん幸せなしよ。幸せだけど、それがいちばんの幸せかっつったらたぶん違うと思うなしな」
阿川「じゃふなっしーにとっていちばん幸せな状況ってどんな感じ?」
ふな「やっぱねえ、死ぬまでにどれだけ楽しい思い出を作れるかってことなしな」
阿川「おお~」
ふな「それに、もしお金が必要なら死ぬほど仕事をすればいいし、学問が必要なら死ぬほど勉強すりゃいいと思うなっしー。必要ないんだったら、遊んでいればいいと思うなっしー」
阿川「うん。みんなに嫌われちゃったらどうしようっていう心配なんかすることはありますか?」
ふな「最初の頃ね、どちらかって言うと嫌われてたから、あんまり。気づいたのが、嫌ってる人が好きになってくれる確率の方が高いなしな」
阿川「あ、最初嫌いだって言ってた人が、なんだいいヤツじゃん、みたいな」
ふな「結局、好きの裏返しは嫌いじゃなくて無関心だってよく言うのは、そういうことだなって思ったなっしー」
阿川「ほうー」
ふな「無関心な人を振り向かせるのは難しいなっしな。関心がないからそもそも」
阿川「ふなっしーは」
ふな「とりあえずふなっしーは嫌われても平常でいられるなっしー」
阿川「あ、嫌われても平常でいられるんだ。そのコツはなんですか?」
ふな「まあ嫌われてもしょうがないなっていう点は多々あると思うから」
阿川「あ、自分の中の理由が、ちゃんと」
ふな「そうなしな、うん」
阿川「え、たとえばどんなとこ?」
ふな「いやその、うるさいとか、騒がしいとかなんか、うん、気持ち悪いとか、よく言われることだけど、それはしょうがないかな」
阿川「でもそれやめようとは思わないのね」
ふな「そうなしなー」
アガワの本音 ふなっしーの本音
ふな「え、なんか言われて傷ついてやめたことってあるなっしー?」
阿川「うん、やっぱり子供の頃、なんちゅうか、阿川はいつもなんかこう人目を気にしておどおどしてると言われたときに、あ、自分そういうとこあるなって思って直そうと思うんだけども、人がなんかこうひそひそ声で話してたりすると、あ、何か私の悪口言ってんのかなまたっていうふうに、すごく人目を気にして否定的に考えてた時代はありますよ」
ふな「へぇー」
阿川「ある時から、そういうのも含めて阿川だね、みたいな友達がいたの。私はすごく隠してたつもりなのに、あ隠れてないんだっていうことがわかったときに、これはもうね、人に迷惑がかかんないようにしなければいけないけども、直らない性格だからもうしょうがない、自由にしようと思ってから楽になった。でも傷つくことは傷つきますよ」
ふな「ああそうなしなー」
ふな「そのね、最初阿川さんとこうやって対談する?って言われたときに、正直そんな話すことねえんじゃねえかなって」
阿川「私もそう思った。私はふなっしーに興味あるけども、ふなっしーは私に興味ないだろうと思ったの」
ふな「いやいやそんなことないそんなことない。むしろその」
阿川「正直に言いなさい。正直に正直に、正直に」
ふな「そんなことないなっしー。そんなことないなっしー」
阿川「そうでしょ、対談成立しないんじゃないかと思ったの」
ふな「そう。でも意外となんかこう、なんか、同じような気持ちを持ってるってとこもあるんだなって思ったなっしー」
阿川「どういうイメージを持ってたんですか」
ふな「すごいね、たぶんみんなそう思ってる、強い女性のイメージが強いと思うなしよ」
阿川「ああそう。ぷんぷん」
ふな「でもほんとは乙女なんだなって気づいたなっしな。めっちゃ乙女なしな」
阿川「そう。誰も気がついてくれない。つらいのよ」
ふな「でもやっぱほら、自由と孤独ってこう表裏一体な感じするなしな」
阿川「急に哲学的になるねぇ」
ふな「1人でやって自由なんだけど、やっぱ孤独感はあるなしよ常に」
阿川「ああ、あるんだ」
ふな「もちろんなっしー。でもなんかね、その孤独感がね、自分を強くしてるような気がして自分に酔っちゃってるなっしな。だから全部1人でやっちゃうなっしー」
阿川「あ、本当?」
ふな「そうなっしー。グッズなんかも全部監修してるなしよ」
阿川「ああグッズを、えっ全部?」
ふな「全部やってるなっしよ」
阿川「それは無理でしょ、どっか事務所入った方がいいんじゃないの。マネージャー付けるとか」
ふな「うーん、と思ったんだけど、やってみたらできちゃったから。もういいやと思って」
ふな「阿川さんこれからなんかやりたいことってあるなっしー?」
阿川「ない」
ふな「ない!」
阿川「目の前に来たら、ああ面白そうだなって思うけども、その人生の目標とか夢とかいうのはないの」
ふな「ああほんとですか」
阿川「目の前のことしか見えないんだもん」
ふな「じゃあこれどうですかって面白い仕事が来たら、興味を持ったらまたやる、みたいな」
阿川「やってこうかな。引き受けて後悔するときもあるんですけどね。できなかったこれとかね」
ふな「ああ、わかるなっしー。それがやっぱねぇ、阿川さんの若さの秘訣だと思うなっしー」
阿川「なんでそこで急に強い、強い言い方を」
ふな「なんか生き生きしてるもん。目がね、キラキラしてるなっしー」
阿川「私見えないんだけど」
ふな「ふなっしーもキラキラしてるなっしよ。ピカピカピカー」
ナレーション)ふなっしーは最後に、とっておきの秘密兵器を用意していた
阿川「なんか、熱い空気が出てきてる。ここから」
ふな「ピカピカピカピカー」
ふなっしーの両目が光る
阿川「あ、あ、ほんとだ。すごい」
ふな「目がキラキラしてるでしょ」
阿川「いつそんな、小道具を。初めて見た。あー消えた」
阿川「わお。もうずっと隠してて」
ふな「そうなしな。このくだりのために今までの話を積み上げたなっしー」
阿川「はははははははははは… 全然私に興味ないじゃんやっぱり」
ふな「そんなことない、そんなことない、そんなことないなっしー!」
阿川「それ点けるために私の目の輝きがいいとか言っただけでしょう」
ふな「夢を一緒に語ったじゃないかなっしー!」
番組サイト:SWITCH INTERVIEW 達人達
コメント
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