11月15日の「SWITCHインタビュー 達人達」(NHK・Eテレ)をテキストにしています。(1)のつづきです。
Vol.59 ふなっしー力 アガワ力
知られざる下積み時代(つづき)
ナレーション)地上に降り立って1年、ふなっしーには当時どうしても出場したいイベントがあった。全国各地のキャラクターが一堂に会しアピールし合うゆるきゃらサミット。出場条件は自治体や観光協会などからの推薦状があること。ふなっしーは船橋市に推薦してもらおうと市役所を訪ねる。
船橋市長・松戸徹「突然お見えになって、それで、公認してくださいみたいな、ちょっと、そういうやり取りだったらしくて、やっぱり役所的に言うと、やっぱりひとつのお墨付きをやるためには正式にきちんと仕事をするから役所が成り立っているんで、そういったちょっと行き違いはあったのかなと思いますね」
松戸「こんなにブレイクするとはね、思いませんでしたけどね」
ナレーション)イベント参加は無理かと諦めかけた矢先、秋田のニャジロウから救いの手が差しのべられた。ニャジロウのデザイナー、やなぎはらともみにそのいきさつを聞いてみると
やなぎはら「推薦状が欲しくて市役所に行ったんだけどもたらい回しにされてるんだーなんて笑ってたんで、じゃあニャジロウのブースにお手伝いでバイトということで来てもらえないっていうふうに、話したんですよ」
やなぎはら「お店の前で、お客さんに商品の説明をしたり、あとはニャジロウのグッズを買ってくださったお客様に缶バッジをさし上げたり、ふなっしーの缶バッジを、はい、プレゼントしたり、かなり働いてくれました」
ナレーション)その時の映像が残っていた。
YouTubeより
撮影ohiko2000(2012年11月24, 25日)
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期待に答える、ふなっしー ゆるキャラさみっとin羽生2012(2013/02/13付)
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ナレーション)ふなっしーは船橋市のキャラクターを名乗っているにもかかわらず、秋田県のブースを一生懸命手伝った。
ナレーション)ふなっしーにも地道な下積み時代があった。
阿川「ゆるキャラとしても、なんていうの、正統なゆるキャラじゃないんでしょ」
ふなっしー「ふなっしーはそもそもゆるキャラじゃなくてご当地キャラなっしー」
阿川「あご当地キャラか、ごめんなさい。ご当地キャラね、はい」
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さりげなく大人の軌道修正を行うふなっしー
「ゆるキャラ」は(株)扶桑社と(有)みうらじゅん事務所の登録商標だからですね(4821202-1ほか)
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ふな「正統ってか、いわゆる税金で動いているキャラクターではないなっし」
阿川「あ税金… あっ、そうか」
ふな「いわゆる町おこしで、税金使ってご当地キャラをやられてる団体さんは結構いるなっしな」
阿川「あ、あ、あちこちにね。あ、それとはちょっと種類が違うの?」
ふな「いわゆる、有志でやってる方なっしな。けっこうね、それが少ないかっていうとそうでもないなっしよ」
阿川「え、全国に?」
ふな「全国には、けっこういわゆる、非公認とか、勝手にやってるキャラクターさんってけっこういるなっしー」
阿川「あ、そうなんですか」
ふな「そうなっしそうなっしー」
阿川「じゃあ、そういう人たちにも向けても、どういうふうに生きていけばいいと思ってますか? 今後」
ふな「どういうふうにっていうか、やりたいようにやるのが一番ベストだと思うなっしな」
「芸」を磨いた?下積み時代
阿川「な、何がやりたいの?」
ふな「いちばん根底にあるのは、その、郷土愛と人を喜ばせることと思うなっし。やっぱりねあの、コミュニケーションを取るとすごいみんな喜ぶなっしな」
阿川「反応が違うのね。ただ見てかわいいとかいうのよりもさらに、みんな近づいてきて」
ふな「そう。みんな『私のこと覚えてる?』とか言ってくれるなっしー。98%ぐらい覚えてないけど、ちゃんと覚えてるって言っちゃうなっしー。そこはやっぱりね」
阿川「うん、そこはやっぱりね」
ふな「大事なしな」
阿川「人気稼業ですもんね」
ふな「そうなしな」
阿川「で、そうなってみたら、呼吸するだけじゃないいろんな芸は、増えてきたの?」
ふな「あ、それを芸と言っていいのかどうかちょっと微妙なしな」
阿川「あ、芸という問題じゃないのね」
ふな「でもなんかあの、みんなが喜んでくれることをちょっとどんどん取り入れてってはいる、今でもそうなしな」
阿川「たとえばどんな、喜んでもらえること」
ふな「(梨顔を二つに折って)マンボウ!」
阿川「※◇※ぁ! びっくりしたぁ!」
ふな「あとね、ぷりっ! ってやって。みんなね、お尻大好きみたいなしな」
阿川「お尻ね、お尻… おならしたりすることもあるんですか?」
ふな「ふなっしーはね、あんまりおならはしないけど、したときはね、地獄なっしー」
阿川「はははは… したときは」
ふな「もうなんかね、あのぅ逃げないっていうか、こもっちゃうなしな。軽い拷問器具みたいになってるなっしー」
阿川「そうだね」
ふな「気を付けるなしな」
阿川「風邪も引けないですね、そういえば。鼻かめないでしょ」
ふな「風邪はあんまり引かないけど、引いても、このテンションは落とせないから」
阿川「ねえ」
ふな「たまに動き鈍いときは、あーあいつちょっと体調悪いんだなって思ってくれると、これ幸い」
阿川「はははは」
ふな「これ幸い」
空前の大ブレイク!
ナレーション)空前の大ブレイクを果たしたふなっしー。ふなっしー効果で船橋市にふるさと納税する人が大幅にアップ。一度は公認を断った船橋市も感謝状を贈呈した。
感謝状贈呈
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2013年10月30日のことです。船橋市のアカウントから動画がアップされています。
【船橋市】ふなっしーへの感謝状贈呈式 1/4(ふなっしー入場~感謝状贈呈)|船橋市広報課(2013/10/31付)
*/
ナレーション)ご当地キャラ界に革命を起こしたふなっし-、人気は海外にも飛び火
Will Ripley(CNN, Tokyo)「One of Japan’s biggest star is about to take the stage.」
(字幕)
日本で最も有名な人物の1人が登場です
ナレーション)ふなっしー現象は海外メディアにもたびたび取り上げられている。
Will「Mascots are money-making machines credited with bringing in billions of US dollars in Japan alone. The most popular of [???] internationally.」
(字幕)
「ゆるキャラ」は大きなマーケットとなり
ふなっしーは その代表格です
Will「Thank you for talking to us, ありがとうございます」
ふなっしー「ふぁっ?」
Will「Funassyi is reigning hearts and opening wallets all over Japan and perhaps someday, the world.」
(字幕)
ふなっしーは日本の心をとりこにしています
次は世界かも
ふなっしー「ヒャッハー!」
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東京発の記事と動画がこちらにありました。
How a hyperactive, dancing, talking pear became a Japanese obsession|cnn.com(2014/06/11付)
聞き取りきれない箇所を補っていただければこれ幸い。
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CNNキャスター(Kristie Lu Stoutさん)「hahahaha…… sorry, there. Oh my god」
Kristie「Mascots are big business in Japan but Funassyi, I can’t get out of Funassyi…」
ナレーション)このキャスターは国際報道賞を受賞したバリバリのジャーナリスト。ふなっしーのせいで進行不能に陥る事態に。
Kristie「Japan is [???] mascots like Funassyi because they are listed to promote the country’s many prefectures.」
(字幕)
日本にはふなっしーのような
キャラクターがたくさんいて
各県をPRする役割が与えられています
Kristie「And that is News Stream (laughing)… CNN. WORLD BUSINESS TODAY(laughing) is next. (laughing)」
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キャスターのKristie Lu Stoutさんは、香港を拠点とされているようです。こんなツイートをされていました。
Never in my 12+ years on @CNNi have I lost it on air like this. I blame @funassyi. And @WillRipleyCNN. https://t.co/4kzviqmTtH ht @mipesom
— Kristie Lu Stout CNN (@klustout) 2014, 6月 12
(大意)12年以上CNNのキャスターをやっていて放送中にこんな失態見せたことなかったのに。勘弁してよふなっしー。
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ナレーション)いまや全国で3000以上のキャラクターが活動中と言われている。空前のキャラクターブーム。ふなっしーの後を追うように奇抜なキャラクターも続々と誕生している。
茨城県非公認キャラ
納豆の妖精
ねば~る君
ふなっしーに続け?!
阿川「こんなに日本で全国各地にご当地キャラができるとは、思ってもいなかったけど」
ふなっしー「ああそうなしな。ひとつの」
阿川「どうなんですかこれ」
ふな「文化みたいになってきたっしな」
阿川「もう日本これ、ないと各地活性化できないみたいなことになってるじゃない」
ふな「ああー まあでもひとつのアイデアとしてはいいのかなって思うなしな」
阿川「あそこはダメだと思うとこある?」
ふな「… 何を言わせようとしてるなっし」
阿川「もうちょっと考えた方がいいんじゃないかっていうこう、先輩としてのアドバイスっていうのかな」
ふな「ああー」
阿川「あそこはこうした方がいいんじゃないかとか」
ふな「そうなしな、中部の方の、言うかぁ!!」
ふな「嘘なしな今の 全部カットなしな ガッシャン」
ふな「びっくりしたぁ。うっかり中部とか言っちゃったし」
阿川「中部ね」
ふな「冗談なっしー」
最強のインタビュアー ふなっしーの真実に肉薄!
ナレーション)既に22分が経過。タイムリミットまであと8分。
阿川「ふなっしーになる前は何だったの?」
ふなっしー「ふなっしーになる前ってどういうことなっしー!」
阿川「何屋さんだったの?」
ふな「ふなっしーに、なる前は、梨の妖精界でインターネットいじってたなっしー」
阿川「インターネットいじってたの。あ、そうなんだ。この、この、ふなっしーの、えーとデザインっていうんですか、デザインっていうんですか」
ふな「デザインってどういうことなっしー」
阿川「じゃ顔立ちっていうの? 顔立ちとこの、ブルーのパンツ? これはどういうふうに考えられたものなんですか?」
ふな「これはねえ、最初に、船橋の特産を考えたときにいろいろ調べたらけっこうあるなしな。港が近いから、魚のスズキとか、ホンビノス貝っていう貝も獲れるし、でも、いちばんこう農産物で出荷高が多かったのは梨だったなしな」
阿川「意外って言っちゃなんだけど、梨っていうと」
ふな「鳥取とかのイメージが強いなしな」
阿川「そうだ、鳥取だ。立派な梨が」
ふな「でも、梨の発祥ってやっぱ千葉なしな」
阿川「そうなっしー?」
ふな「そうなっしー。20世紀も松戸で作られたなしよ」
阿川「へぇー。それで?」
ふな「それで、やっぱり特産物と、地名を合わせて、ふなっしーっていう名前を梨神様が考えたなっしー」
阿川「梨神様が。自分で」
ふな「それで最初デザインしたときに、こう梨のね、こういう褐色な感じの、くすんだ色にして、ブツブツいっぱい付けたら、ちょっと気持ち悪かったなしよ」
阿川「なるほど、それはそうだね。ちょっとね、リアルすぎるっていうかね」
ふな「そうなっし。ちょっと、なんかあの、ニキビの痕みたいになっちゃったなしな」
阿川「肌荒れ的な」
ふな「肌荒れがひどかったから、ちょっとこれじゃあ子供たち逃げちゃうなと思って、ちょっと真っ黄色に、ちょっとポップな感じにしてみたなっし」
阿川「もっときれいな」
ふな「そうなっしなっしー。パキッと」
阿川「パキッと」
ふな「それに合う、ちょっとね、船橋の港のイメージでブルーを取り入れてみたなしな」
阿川「あ、そうか、これは海の色っていうことなんですね、この、ここらへんはね」
阿川「この、唇がハートマークっていうのは?」
ふな「あ、これねあのぅ、マウスで描いたらブレちゃったなしよ」
阿川「最初マウスで描いてみたんだ」
ふな「そうなっしー」
阿川「あ、あ、そうなんだ。じゃ全然デザイナーとかいないんだ、くまモンみたいに」
ふな「でも梨神様いわく、お前の表情は30分ぐらいで作れたってなっしよ」
阿川「あ、そうだったんですか。ここにちょっとこうほら、こうやってちょっと、恥ずかし屋さんみたいな」
ふな「ああこれなしな」
阿川「うん。これは? 何を意味する」
ふな「ああこれねえ、返り血」
阿川「返り血ってなに?」
ふな「ちょいちょいあの、熊とかと戦っているときに」
阿川「くまモンと」
ふな「ブシャーッとこう、返り血が くまモンって言うなっしー。くまモン先輩は戦わないなっしー。お仲間なっしー」
阿川「こ、ここにあるネームプレートも考えたのね。かわいいね」
ふな「あ、これねぇ、最初付いてなかったけど、ファンの方が作ってくれたなしな」
阿川「ファンの方が作ってくれたのこれ。そうだったんだ、『ふなばしし ふなっしー』ってなんか幼稚園の、ね、ネームプレートみたいな」
ふな「そうなっしー。最初ねぇ、リボンじゃなかったなっしー」
阿川「ここ、前ね。ここね」
ふな「最初船橋の、漁港をイメージして魚を描いたなっしー。それが、ちょっとねぇ、伝わらなかったらしくてリボンになって返ってきたなっしー」
阿川「ははははははは。あ、ちょっとインパクトが弱かったんですかね。いろいろじゃあ試行錯誤の結果なんですねこれ」
ふな「そうなっしそうなっしー」
阿川「へえー。足はどうなってるんですか?」
ふな「足? …どうって?」
阿川「だってさあ、私身長150ちょっと欠けるぐらいなのね。そうすっと、ねえ、ふなっしーもそんなに大きくないよね」
ふな「…… そんなことないなっしー!!」(伸び上がる)
阿川「ああ梨がつぶれる、梨がつぶれる。ほら、ほら1個落ちちゃったよ。1個落ちちゃった」(転がる梨を追って拾い上げる)
ふな「ごめん!ごめん!梨よ!梨よ!ごめん梨よ」
阿川「大事な梨を。はい」
ふな「ごめん痛かったなしな。よーしよしよしよし」
阿川「ここ開けちゃおうかな-。ここ開けちゃおうかなー」
ふな「駄目なしよ。何言ってるなっし。放送事故になるなっしー」
ふなっしーのホントのキモチ
ナレーション)既にふなっしーの活動可能時間の30分を過ぎている。がんばれ、阿川佐和子。
阿川「今までで、いちばん辛かった仕事は? ま、台湾の暑いのもあるけど、悲しかったとか切なかったとか」
ふなっしー「ああ~…切なかった、かあ。でもなんかあの、喉元過ぎれば何とやらで、けっこう、忘れちゃうものなしな」
阿川「忘れちゃうんだ」
ふな「でも、やっぱりあの、長時間拘束された割にこれ?みたいな、テレビの仕事とかたまにあるなしな」
阿川「これみたいなね。これ見たらね、どれほどカットするかね」
ふな「あ、これねぇ結構短い方なっしー。ほんとにね、8時間ぐらい回されて、で映ったのは5分ぐらいとかそういうのもあるなしな。意味がわからないなしな」
阿川「意味わからないね。あとはなに、要望とか、ちょっと悲しいこととか、辛いことってなんですか?」
ふな「ああ悲しいこと…」
阿川「ふなっしーいつも明るくしてるから、本当は辛かったりすることあんじゃないかと心配している子供たち多いと思うけど」
ふな「ああそうなっしー? まあでも、とりあえずねぇ、みんなから喜ばれるうちはがんばろうかなって思ってるから、迷いがあんまりないなっしな」
阿川「迷いがない?」
ふな「あんまりないなっしー。とどのつまりやりたいことをやってる最中に死ねればいいかなってぐらいの感じてやってるなっしな」
阿川「あそう」
ふな「そうなっしー」
阿川「あと何年ぐらい続けられると思ってますか?」
ふな「とりあえず、まあペースは落ちてくと思うけど、まあやれる範囲ではやっていきたいと思ってるなしな、それこそ…」
阿川「なんで、ペースが落ちていくと?」
ふな「たとえばこうやってテレビ局さんが来てくれるっていうのはそんなに長い期間じゃないと思うなっしー」
阿川「冷静だねえ、考えが」
ふな「で、それが終わった後も、なんかその辺の、ね、学校とか幼稚園とかに、ちょっと気楽に行けるようになれればいいかなと思ってるなっし。あの、喜ばせるっていう活動は、ペースが落ちたとしても続けていきたいなと思ってるなしな」
阿川「ご自身の結婚とかそういうことは?」
ふな「あ、ふなっしーね、残念ながら、戸籍がないなっしー」
阿川「あ戸籍がないの」
ふな「そうなっしー。住民票も船橋市調べたらなかったなっしー」
阿川「あ、そう」
ふな「結婚っていうのはねぇ~」
阿川「好きな女の子のタイプは? いや、男の子のタイプは? 異性?あ同性?好きなタイプは?」
ふな「あー… 強いて言うなら、洋梨」
阿川「洋ほほほほほ梨、洋梨。洋梨のどこがいいですかね」
ふな「あのくびれ具合がたまんないなしな」
阿川「あははははは。ちょっとくびれてるもんね。あの曲線がたまらない?」
ふな「もう言うなら外タレなし、外タレ。レディーガガ的な存在なっし。マドンナとかそういう感じなしな」
阿川「ああそうだね」
ふな「ぷりっぷりなしな。負けてられないなっしー!プリッ!」
阿川「もう限界に近づいておりますので、それではこのインタビューはこれでおしまいに」
ふな「おしまいなっし? ありがとなっしなー。マンボウ!」
ナレーション)ここで前半戦タイムアップ
ふなっしー「けっこうね優しい顔してギリギリのライン攻めてくるなっしな。危なかったなっしー。うっかりなんかあのぅ夢を破壊するよなこと言っちゃいそうで怖かったなしな。大丈夫だったなっしー、セーフ!」
ナレーション)このときふなっしーはさらなる攻撃が待ち受けていることなど知る由もなかった
ナレーション)後半は舞台をスイッチ
つづく
コメント
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