リッケン620頂戴
19万も持って居ない 御茶の水《丸の内サディスティック》(椎名林檎, 1999)
Rickenbacker/620 FG (Fireglo) 2013|立件620
こんにちは。最近は銀座で警官ごっこです。
「立件」がバラバラすぎて困ってしまいました。
そんなサディスティックな話です。
「立件」サディスティック
「立件」の使い方を確認してみたら、参照先ごとに解釈が違いすぎるのです。
弁護士ドットコムの質問
こんな質問がありました。
”刑事事件として立件”の定義について教えてください。
弁護士ドットコム > ”刑事事件として立件”の定義について教えてください(2011/03/27付)からです。
「立件」はどの時点?
質問者がどれですか?と尋ねているのを、コトの時系列順に並べ替え、文言を整えておきます。
- 警察が事件として受理し、捜査を開始した時点
- 捜査書類が検察に送付された時点
- 検察が起訴した時点
どれが「立件」なのか?が論点です。
飛んじゃって大変さ
この答えがまあ、あちこち参照すればするほど、見事なまでにバラバラなのです。
飛んじゃって大変です。
それぞれの説ごとにまとめておきます。
1.捜査着手(警察)説
弁護士ドットコム
前掲の”刑事事件として立件”の定義について教えてくださいに対する回答からです。回答者は、萩原猛弁護士です。
※下線は引用者 以下同じ
普通は、警察が事件として取り上げたことを指していると思われます。貴方が上げた例では、「…警察が事件として受理し、捜査を開始した時点」というのが最も近いでしょう。
「主体は警察」という説です。
2.司法機関で事件を受理(検察)説
広辞苑
要件が備わっているとして、裁判所や検察庁などに事件が受理されること。
「裁判所」が入っているのは民事や家事の事件も想定してのことでしょう。
要はこういう話に理解しました。
- 「立件」成立時点 according to 広辞苑
- 裁判所による訴状の受理(民事/家事)
- 検察庁による捜査書類の受理(刑事)
刑事の場合は、訴訟前
刑事に絞ると、「主体は検察」という説です。
検察官が起訴の判断をするわけですから、公訴提起の前段階という話になります。
2’.ふわっとあいまい説
大辞林 第三版
公訴を提起する前提条件または要件が成立すること。
出典:コトバンク > 立件
主体のはっきりしないあいまいな書き方です。
これも訴訟前
ただ、公訴提起の前段階であり、起訴には至っていないもようであることは読み取れます。
3.公訴提起(検察官)説
デジタル大辞泉
同じく、コトバンク > 立件 からです。
刑事事件において、検察官が公訴を提起するに足る要件が具備していると判断して、事案に対応する措置をとること。
明鏡国語辞典
こちらも、近い立場です。
刑事事件で、検察官が公訴を提起する要件が備わっていると判断すること。
「判断」のみで「措置」を含まないという違いはあります。
法的定義は存在しないらしい
冒頭に掲げた質問への、萩原弁護士の回答からもうひとつ抜粋します。
「立件」という「法律用語」はありません。また、「立件」は、刑事法学における講学上の概念でもありません。従って、「定義」もありません。
法の言葉ではないというお話です。
既出の話だった
ネットを探してみると、既に同じ話がありました。
前回の繰り返しになるが、「立件」は法律用語ではなく、刑事訴訟法上の手続に存在しない。警察行政上も明確な定義がなく、統計用語にもなっていない。
出典:「立件」この不可解なマスコミ用語ーPC遠隔操作事件・5か月目の報道検証(下)|個人 – Yahoo!ニュース(2013/06/25付)
この「立件」という単語、国語辞典で引くと、定義・要件が実にバラバラなのである
上で引用したものも含め、合計10種の辞書の語釈が引かれていました。詳しかったです。
食えない話です。「もうやってたんですね」という点も込みで。
弁護士なんて…
筆者のクレジットには「楊井 人文 | 日本報道検証機構代表・弁護士」とありました。
たまらず口をついて出てきます。
♪税理士弁護士なんて就いて居ない 後楽園
食えない話だけに、後楽園。
まとめ:イッて頂戴
「立件」の解釈が見事にバラバラでした。
裏を返すと、「立件」とは、その定義づけがあいまいであるがゆえに使い勝手のよい、都合のいい女のような用語だということになります。
困ります。
しかしどこかに訴えたくても、立件は困難です。
終電なのでとりあえず帰ります。
罪な話です。
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