こんにちは。用件はタイトルのとおりです。
この記事で言いたいこと
歩道上についても自転車の右側通行を禁止して、左側通行に徹しませんか?
というお話です。
つまりこういうこと
つまりこういうルールにするのです。
- 自転車が走れる歩道は、車道から見て左側となるものだけとする。右側の歩道走行は禁止。
- 右側の歩道を通行する場合、自転車を降りて押して歩く。
- 歩道上を走りたい自転車は左側へ渡ること。
※写真と本文は関係ありません
現状:自転車交通ルールのカオスぶり
はじめに、自転車をめぐる交通ルールのカオスぶりを確認しておきます。
車は左
日本では、車は左側通行です。道路の左側を走ります。
道路脇の無法地帯:歩道
ところが道路の「脇」「端っこ」に目を向けると、無法地帯が広がっています。歩道です。
- 「クルマ」が歩道を走れます。
- 「車は左」なのに、歩道なら道路の右側も走れます。
これが時として、無政府状態とも呼べる混沌(カオス)を生みます。
無法な車:自転車
ここでの「クルマ」「車」とは、自転車のことです。
自転車も車両です。なのに歩道を走っています。
合法な無法
驚いたことに、これらはすべて合法です。
無法が生んだ死亡事故 in 旭川
この無法が生んだとも言えるのが、9月15日に旭川で起こった死亡事故です。
事故概要
自転車どうしが正面衝突 女性が死亡|NHK NEWSWEB(2014/09/16付)より引用します。
15日午後6時すぎ、旭川市東旭川町旭正の道路沿いの歩道を走っていた70代とみられる女性が乗った自転車と、市内の高校に通う16歳で2年の男子生徒が乗った自転車が正面衝突しました。
この事故で、双方の自転車が転倒し、このうち女性は道路に頭を強く打って病院に運ばれましたが、およそ6時間半後に死亡しました。高校生も鼻の骨を折るけがをしました。
痛ましく、やるせない事故です。
北海道新聞の口だけ社説
この事故を受け、北海道新聞は19日付でこんな書き出しで始まる社説を出しています。 ※下線は引用者
運転免許はいらず、気軽に乗れる。自転車は健康によく、環境にやさしい乗り物だ。
だが、一歩間違えると、自動車と同じように人を傷つけ、命を奪う。その認識を新たにし、社会全体で事故防止を考えたい。
出所:自転車と安全 ルールの浸透図りたい|どうしんウェブ(2014/09/19付)
しかし私は決めつけます。この社説の筆者は絶対に考える気などありません。口だけです。
同じ社説から抜粋します。 ※下線は引用者
なぜ、自転車同士がぶつかり、惨事に至ったのか。警察は原因を解明し、今後の対策に役立ててほしい。
自転車をめぐる社会の変化を利用者は自覚しなければならない。
警察や自治体は交通ルールの周知活動を強化する必要がある。
提示されている諸策の実行主体に、この文章の筆者も、これを社説にしている北海道新聞も、まったく出てきません。
「社会全体で事故防止を考えたい」くせに、具体的なアクションの数々をやるとは言っていません。全部人まかせです。
口だけです。
どうやら北海道新聞は、社会の一員ではないようです。
事故現場の「ネット検証」
北海道新聞は口だけでやる気がないのが明らかなので、先述のNHK発の記事に加え、
現場の歩道、自転車よく走行 交通量多く路側帯は危険 旭川の衝突事故|どうしんウェブ(2014/09/17付)
【旭川】旭川市東旭川町旭正の道道の歩道上で15日に発生した自転車同士の正面衝突事故。市内の女性(79)が頭を強く打ち死亡し、当麻町の男子高校生(16)が重傷を負った。
での記述や映像も参照しながら、この死亡事故の現場を「ネット検証」しておきます。
事実1:発生現場は、道道37号線
まず、事故発生現場を特定します。
上のページでの動画キャプチャです。
この画像の背景を頼りに、現場の「旭川市東旭川町旭正の道道」をGoogleマップで探してみました。
道道37号線
ほぼ同一地点からのストリートビュー画像を貼っておきます。
※Googleマップ より(南方向を望む)
道道37号線です。旭川市郊外の田園地帯をほぼまっすぐ貫いて通っています。
上のストリートビューの画像は、現場付近で南北方向に走る37号線を、北から南に見たものです。
歩道があるのは「東側」のみ
歩道は道路片側にあります。歩道があるのは、南北方向に対して「東側」です。
周辺状況
現場付近はほぼ平坦な直線で、標識の示す車両の制限最高速度は時速50kmでした。
事故発生地点を広めの地図上でも示しておきます。(赤矢印の地点)
人家のまばらな田園地帯です。蛇足ながら、近くには行動展示で人気の旭山動物園もあります。
事故発生状況の推定
この正面衝突事故の2人の当事者、79歳女性(死亡)と男子高校生(重傷)について、次の3点を推定していきます。
- どちらがどちらの方向に走っていたのか?
- 衝突の瞬間、歩道上のどちら側を走っていたのか?
- 高校生の負傷(鼻骨骨折)の原因
推定1:男子高校生は「右側歩道」を走行
79歳女性(死亡)、男子高校生(重傷)の両者が運転していた自転車の走行方向を推定します。
- 死亡した79歳の女性は、「北から南」(車道から見て左側)に
- 鼻の骨を折った男子高校生は、「南から北」(車道から見て右側)に
走行していたものと考えられます。
推定根拠
以下の各点より、上のように推定します。
- 報道によれば、重傷を負ったのは「当麻町の男子高校生」とあります。当麻町は、事故現場の北東にあります。
- 「午後6時過ぎ」という発生時刻から、この男子高校生は帰宅途中だったものと推定できます。
- 現場の歩道は、南北に走る道路の東側だけにあります。
推定2:歩道上「右側通行」で衝突
事故当事者の70代女性と男子高校生それぞれの運転する自転車は、歩道上を「右側通行」で衝突し転倒したものと推定します。
なぜなら、車道から見て左側となる向きで歩道上を走っていた(cf. 推定1)死亡女性は、正面から対向してきた男子高校生の自転車と衝突した結果、車道側(推定上、進行方向右側)へ転倒しているからです。
※画像は、どうしんウェブ(2014/09/17付)動画より
警察による現場検証の模様を撮影した記事内の動画では、車道の端に、チョークで円が描かれていました。頭部を打った地点を示すものと思われます。
「左側」対向では結果と矛盾する
このとき、男子高校生がどちらの方向に転倒したかは定かでありません。
しかし、先に推定した両者の走行方向を前提に、歩道上での対向方向を「左側」とすると、両者がどちら向きに転倒したにしても、次のとおり、現場の状況や結果と整合が取れません。
- 歩道上「左側通行」 & 衝突後双方が「反対方向へ転倒」
→ 女性は道路外方向へ転倒するはずです。現場の状況と矛盾します。 - 歩道上「左側通行」 & 衝突後双方が「同一方向(車道側)へ転倒」
→ この場合、女性が男子高校生の上に折り重なる形になるはずです。この状況で頭部を道路に打ちつけたとしても、衝撃は弱まりそうです。
ここから、双方の衝突後の転倒方向が「反対方向」「同一方向」のどちらであったかに関わらず、対向する相手を左に見る「右側通行」の状態で衝突したものと推定するのが妥当と考えます。
推定3:高校生の骨折原因は、車体との衝突
男子高校生が折ったのは鼻の骨です。ここはたとえば、正面からパンチを受けたときに折れる部位です。
鼻骨の骨折は、正面から顔面に衝撃を受けた結果と考えるのが妥当でしょう。転倒により生じた怪我とは想定しづらいです。
骨折は、時間軸上でそれよりも前、すなわち、正面衝突した瞬間、または、衝突から転倒までのあいだに、自転車の車体に顔面をぶつけたことによって生じたものと推定できます。
事実2:当日の日没時刻は17:44
発生時の環境についても1点付け加えます。
事故が発生した当日(9月15日)、旭川の日の入り時刻は17時44分でした。(keisan.casio.jpによる)
前提知識として付記すると、「日の入り」「日没」とは、太陽の上縁が地平線の下へ進み、太陽全部が隠れた瞬間を言います。
そこそこ暗かっただろう
事故発生時刻は「午後6時過ぎ」といいますから、日没後15分は経過し、現場周辺は相応に暗かったものと推定できます。
まとめ:最大原因と対策
この事故にはまだ不明な点もあります。たとえば、当事者双方の
- 灯火の状況
- ほか、発生した場所と時刻における、服装や車体の「見られやすさ」の度合い
といった点は詳らかでありません。
最大の事故原因
しかしここまでで、本件の最大の事故原因は明らかです。
究極には
- 歩道上で走行する自転車が合法的に対向できること
これにつきます。
はっきり言います。そんなことができる交通ルール自体が危険なんです。
すべての歩道に潜在する危険
「安全に対向できる歩道の幅」うんぬんは関係ありません。なぜなら「歩道通行可」表示のない歩道も、「七十歳以上の者」は「児童及び幼児」等と同様に自転車での走行が認められているからです(道路交通法 第63条の4、同法施行令 第26条)。
つまり別段の指定がない限り、国内のすべての歩道は、自転車が双方向から走れます。同様の事故が再発する危険が潜在しています。
今回死亡したのも、70歳以上の方です。
自転車の右側歩道走行は、やめよう
このような状況下で、自転車による双方向の歩道走行を認めるのは、いいかげんやめた方がいいです。
次のように、自転車のルールを改めることを提案します。
- 自転車が走れるのは、そこが歩道であっても「車道の左側」だけ
- 右側歩道は押して歩く
目標は、「自転車もクルマ」の徹底
歩道が道路の右側にしかないなら、車道の左側を走ればよろしい。
それよりまず大原則として、歩道はクルマが走るところではありません。いろんな要因でその車道の左側を走れないなら、別の道を通るか、あきらめて歩道を押して歩くことです。
自転車も車です。
「自転車もクルマ。ゆえに左だけ」の理想世界
ルール改正後の理想状況を描けば、当記事で取り上げた旭川での自転車事故のような「双方走行状態での正面衝突」はゼロにできます。
もちろんルールが遵守されなければ同じことですが、徹底して守れる人を少しずつでも増やしていけば、対車両にしろ歩行者にしろ、自転車が当事者となる事故の件数もその被害程度も、もっともっと減らせるはずです。
隗より始めます
偉そうに言いましたので、「隗より始めよ」にならい、法制化を待たず自分自身が実践することを宣言します。
私自身について述べると、自転車ではこれまでも基本的に車道を走っていました。障害者の嫁と一緒の時は歩道走行が主ですが、その際の歩行者優先と徐行も徹底しています。
加えて、今後自転車で右側歩道を通行する際は、乗らずに押して歩きます。
「違反」を見つけたら証拠画像を添えて通報していただいて結構です。
「でも」「しかし」に対しては
- 不便
- 車道を走るのは怖い
- 車道を走られると危ない
などなど、「でも」や「しかし」の声もあるものと予想できます。
のちのち、個別に反論、対案提示していきます。
つづくかも
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