こんにちは。用件はタイトルのとおりです。
この記事で言いたいこと
「よく知られていることですが」とか「有名な話だが」とかいう前置き後置きは、文章にまったく必要ありません。
デメリットばかりです。必要ないです。
※Wikimedia Commons(Taken by fir0002 | flagstaffotos.com.au)
例文
わざとちぐはぐに作った文例で考えてみます。
(例文ここから)
よく知られていることですが、「必要ない必要ない」というブラックスワンが登場するアフラックの医療保険のCMシリーズを手がけているのは、ワンスカイに所属するCMプランナー、福里真一さんです。
福里が企画しております、アフラック「ブラックスワン」シリーズの新CMのオンエアがはじまりました。あの丈夫そうなブラックスワンが、まさかの病気に。その時、本田翼さんとアフラックダックがとった態度とは?こちらでもご覧いただけます。 http://t.co/wPZGpcWlc8
— ワンスカイ (@oneskyinc) 2014, 5月 8
有名な話ですね。
(例文ここまで)
――という具合に、デメリットしかありません。
「よく知られている」と前置きすることのデメリット
何らかの「周知の事実」に対し、その前や後ろに「よく知られていることですが」と付けても、何もいいことがありません。それどころか、こんな弊害があります。
1)知らなかった読者に無用の疎外感を与えます。
書き手が思っているほど、それはよく知られていることではありません。
事実、こちらの調査(by俺)では「よく知られていることですが」と書かれているうち、7割が知らないことという驚愕のデータが出ています。
- 検証:「よく知られていること」をお前は知っているのか? (2014/05/19)
書き手の認識と読み手の事実が違うことで、読者の心は波立ち、時には心証を害します。
それが目的なら、止めませんが。
2)次の2つの意味で、書き手の信用を損ないます。
「よく知られている」が事実でなければむろんのこと、事実であっても結果は同じです。
(その1)
思うに、なぜ、周知の事実である「よく知られていること」をわざわざ持ち出すのかというと、それが情報として文章の中で必要だからです。言い換えると、その情報は文章の中で何らかの役割を果たしているはずです。
その文章にとってそれがインフォマティブな役割を果たす「必要な情報」であるならば、そのまま示せばいいだけです。それがどれだけ知られているかなど、関係ありません。どうでもいいことです。
よって、省いてしまっても、なんの問題も生じませんし、むしろ省くことで、前置きがあることによる諸問題が解消されます。
なのにそこで「よく知られていることですが」などと前置きしていると、読み手に無用の判断・比較考量を強いる結果となります。
そして読み手は、その文章の書き手を「しなくていい前置きをする、頭の悪い人」と思います。
あえてそう思われたいなら、止めませんが。
(その2)
きわめて限られた読者層に向けた、クローズドな文章であるケースも想定してみます。
上でこしらえた例文でも、それが「周知の事実」である集団は、たぶん実在します。
しかしその場合でも、そういう前置きを含めて述べられているくだりそのものについて、その文章における必要性が認められず、なんの役割も果たしていないと、読み手はそれをどう受け取っていいか困ります。
ネットスラングでいう「お、おう…」ってやつです。
「この人はなんで、ここで言わなくてもいいこと、(特定の読者層にとって)当たりまえのことを言っているのだろうか?」と、書き手の能力が疑問視されます。
低能・無能と思われたいなら、止めませんが。
まとめ
以上から、「よく知られていることですが」みたいな前置きは、アフラックの医療保険と比べても、まったく必要ありません。
付記:ボケへの布石なら「必要あり」だが
ただし、「よく知られていることですが」「有名な話ですが」の後に、逆にほとんど知られていないだろうことを続けて書いてボケる。そういうパターンなら成立します。そのボケへの「フリ」として前置きの役割が出てくるからです。
考えうる認められる価値としては、唯一それぐらいです。
ご静聴ありがとうございました。
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