こんにちは。
世の中には、自分の気に入らない言動をする相手を、朝鮮人とか三国人とか言って中傷する人がいます。幸い経験はありませんが、あってもいいように言い返し方の練習をしておきます。
中傷とは
まず、辞書での「中傷」の説明を確認しておきます。
無実のことを言って他人の名誉を傷つけること。 (広辞苑)
根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を傷つけること。(明鏡国語辞典)
中傷が成立するのに必要な条件は、次の2つだと言えそうです。
- 事実でない、でたらめであること
- 悪口であること
いまいちな例
以上をふまえると、次のような言い返し方はいまいちです。
あるいは、「鄭宏」という名前に見覚えのある人がいるかもしれない。ここ5年くらいの間、インターネット上で勝手にそう名づけられているのだ。
しかし、私は生まれたときから日本国籍を持つ、れっきとした日本人だ。先祖代々の戸籍を遡っても日本人なのだが、なぜか私は第三国から帰化した人物なのだと流布されている。
週刊誌の記事と同様、これはまったくのねつ造である。『政治家の殺し方』(中田宏, 2011)p.4
目にしたので例として引用しました。他意はありません。
どこがいまいちかを考えてみましょう。
いまいちな理由
どこがいまいちかというと、上の例では、中傷を中傷たらしめている2つの条件のうち
- 事実でない、でたらめであること
の方にしか応答していないところです。2要素を含む中傷へ言い返したいところを、結局は「それは事実ではない」としか述べていません。
- 悪口であること
の方はまったくスルーしてしまっています。そこがいまいちです。
中傷の持つ悪口の部分をスルーし、片方の事実でない部分にのみ反応して「それは事実でない」としか言い返さないと、形式上ではありますが、それが悪口であることを自分の側も認めてしまっていることになります。相手が作った「悪口」の土俵に乗っての反論になってしまっています。
すなわち、形式上ながら、朝鮮人や三国人が悪口であるという認識を相手と共有してしまっているのです。いかんです。
先に問題にすべきは「悪口」
順序が逆だと思うのです。
朝鮮人とか三国人とかいう中傷(と思われる発言)に対しては、まずは「悪口」の側を問題にすべきです。
- なぜそれが悪口になるのか
さらにさかのぼって
- 悪口のつもりなのか
そこを問わなければいけません。
それを一足飛びに「中傷された」と半自動的に悪口と認定することは、言動が気に入らないことを理由に在日認定する相手と、知的レベルで変わらない行為と言えましょう。
こう返せばいいと思う
ですから、朝鮮人とか三国人とかいう中傷(と思われるもの)には
- 事実ではありませんが、どういうつもりでしょうか?
とか、もっと丁寧に進めるなら、「事実でない」部分は問題にせず、まずは「悪口」のみに特化して
- それで何を言いたいのでしょうか?
のような具合に問い返し、ひとつひとつ足場を固めるように論議を詰めていかないといけません。
付記:在日認定に対しては
似たケースに「在日」があります。在日認定というそうです。
一見、朝鮮人や三国人のケースに似ていますが、これを中傷と受け取るのはなおのこと早計です。というのも、単なる「在日」であれば、中傷の条件のうち「事実でない」という部分もまた留保しなければならないからです。
朝鮮人・韓国人に限らず、各国の大使館も、米軍も、スパイも、さらには日本国民だって、日本国の国土上に現存すれば、みな在日です。在日というのは元来そういう意味です。用例として最も頻度が高いからといって、単なる「在日」を在日朝鮮人・韓国人と意味づけるのは短絡というものです。
在日という表現だけでは相手の趣旨がつかめませんので、まずは相手がそれで何を言いたいのかを確かめる必要があります。こちらに行間を読む義務はありません。
よって、自分が日本国内にいるのなら、たとえば
- 在日ですが何か?
と、議論の前提から詰めていくのがよさそうです。
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