こんにちは。
ひとりブルーリボン運動、ひとり「救う会」を始めます。
何を救うかというと、稲垣潤一さんの代表曲《クリスマスキャロルの頃には》(1992)です。
ひとり「救う会」では、《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスから救います。
定番クリスマスソング
世間は《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスソング扱いしています。
たとえば、dミュージックのクリスマスソング人気曲ランキングでは8位になっています。
誤解
誤解されています。この歌は、クリスマスソングではありません。
というか、真逆です。むしろ、クリスマスシーズンにいちばんふさわしくない歌です。
歌詞に耳を傾ければ、それがわかります。
いつ聴くか?
goo音楽から歌詞を抜粋します。
《クリスマスキャロルの頃には》(詞:秋元康 曲:三井誠)
クリスマスキャロルが流れる頃には
君と僕の答えもきっと出ているだろう
クリスマスキャロルが流れる頃には
誰を愛してるのか今は見えなくても
このように、クリスマスシーズンの外側から、その頃に思いをはせている歌です。
この歌の「今」とは、「クリスマスキャロルが流れる頃」でないどこかです。
したがって、これをいつ聴くのがふさわしいかというと、「クリスマスシーズン以外」が正解です。
《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスシーズンになってから聴くのでは、遅すぎです。too lateなのであります。
ならいつ聴くか? 今でしょ!
いちばんダメな答え
にもかかわらず、世間ではクリスマスソング扱いです。いちばんダメなパターンじゃありませんか。
それを知ってか知らずか、みんないちばん聴くべきでないときに《クリスマスキャロルの頃には》を思い出して流して聴いて季節を感じています。
なんということでしょう。
間抜けの構造
それはちょうど、
もういくつねると お正月
:
はやく来い来い お正月
という《お正月》《詞:東くめ 曲:滝廉太郎, 1901》を、お正月になってから
仕組まれた自由に 誰も気づかずに
あがいた日々も終る
この支配からの 卒業
闘いからの 卒業
という《卒業》(詞・曲:尾崎豊, 1985)を、卒業してから
いちねんせいになったら
いちねんせいになったら
ともだちひゃくにんできるかな
という《一年生になったら》(詞:まどみちお 曲:山本直純, 1966)を、1年生になってから
聴いたり歌ったりするのと同じ行為です。
そのような行為を、日本語では間抜けといいます。
といって、クリスマスに禁止するのも筋違い
間抜けとしか言いようがありませんが、しかし《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスシーズンに流したり口ずさんだりすることを禁止するわけにもいきません。
たとえいくら間抜けであっても、間抜けな受容をする自由はあり、それは認めないといけないからです。
たとえばベートーベンの第九交響曲をこぞって合唱したりそれを耳にしたりして年の瀬を感じるのも、考えてみれば奇妙で不可思議な話ですが、そのことをもって《第九》の鑑賞のあり方、利活用方法として間違いだとは言えません。
また、歌詞を偏重することが、楽曲理解の正しいあり方だとも言えません。
たとえば、義憤に駆られたメタリカのロックな叫びを
- バケツリレー 水よこせ~ 《Blackened》(1988)
- 寿司 鳥 風呂 寝ろ 《Through the Never》(1991)
と受容したっていいわけです。むしろ豊かな方法です。
救う方法
ですから一義的には、まずクリスマスシーズン以外の需要を増やさないといけません。
それが《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスから奪還し、救うことにつながります。
制作秘話?
この歌、もともとクリスマスソングの予定ではなかったようです。
孫引きになりますが、ヒルトン東京でのクリスマスディナーショー(2013/12/23)での、稲垣潤一さんご本人のMCから引用します。
『クリスマスキャロルの頃には』は最初、クリスマスソングの
予定ではなかったんですね…曲が先にできていまして、
サビがあまりにも素晴らしく、他とのバランスを数ヶ月
ずっと直していました…曲を書いたのは三井誠くんで、
当時のディレクターが細かく言ったのですが、粘り強く
直しましたよね…
これからも愛して下さい
出所:稲垣潤一さん クリスマスディナーショー2013 挑戦は次の挑戦を呼ぶ|こんにちは、つきのみどりです(2013/12/25付)
このとおりなら、先に曲ができて、後から詞がついたということになります。
作詞は、秋元康さんです。稲垣さんがこんなツイートをされていました。
「1番ソングSHOW」ですよね。秋元君と対立した訳じゃなく、サビの歌詞「クリスマスキャロルが~」が8回出てくるのはくどい、と言ったんです。そしたら、「そのくどさがいい」と言った訳なんです。秋元君が正解ですよね。
— 稲垣潤一 (@InagakiJunichi) 2011, 10月 26
1番ソングSHOWの「ヒットメーカー1番ソング」(2011/10/26 OA)でそんな話がされていたようです。
歌詞のくどさのみならず、クリスマスソングと思われてしまう曲にクリスマスの外側にいる歌詞を付けるというところに、秋元さんって策士だなあと思わされるわけです。ダジャレやないよ。
関連リンク
オリジナル
収録アルバムの例です。
紹介できる公式動画としては、広瀬香美さんとデュエットした再レコーディング盤があります
- YouTube:稲垣潤一& 広瀬香美 / クリスマスキャロルの頃には|UNIVERSAL MUSIC JAPAN(2009/10/09付)
このカバーがいい
iTunes Storeに出てきた《クリスマスキャロルの頃には》を全部聴いてみました。カバーでは、宝塚歌劇団「CHRISTMAS PRESENT」(2007)収録の大空祐飛さんバージョンがいちばんよかったです。
歌い手のクレジットが見える初回生産限定版の方へリンクしておきます。
そんな、長い長いアフィリエイト記事なのでした。
聴き比べ
クリスマスキャロルの頃には
稲垣潤一
¥250
クリスマスキャロルの頃には
宝塚歌劇団・大空祐飛
¥150
オリジナルもいいですが、カバーの方が気に入っています。なんというか、曲想と唱法がよく合っています。
まとめ
《クリスマスキャロルの頃には》をクリスマスから取り戻すため、クリスマスシーズン以外にヘビロテします。
クリスマスキャロルが聞こえる頃まで
何が大切なのかひとり考えたい
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