こんにちは。
出典マニアが黙ってない、または、出典マニアは黙ってろのコーナーです。
白い恋人の名前の由来がおかしなことになっていました。知らなかったので騒ぎます。
白い恋人 ※画像はWikipedia より
序:再放送時間がややこしい件
よみうりテレビで、日曜の昼に月曜から夜ふかしを再放送したりしなかったりしています。
日曜の昼から月曜から夜ふかしです。
周回遅れで引っかかった件
昨日(5/4)の再放送の中で「全国のお土産問題を調査した件」がありました、調べてみると、元は2013/07/08 OAだったみたいです。
そこで紹介されていた、北海道土産の「白い恋人」(石屋製菓)の名前の由来に引っかかりました。正確な文言を覚えていないので、Wikipedia「白い恋人」から引用します。だいたいこんな話でした。
商品名の由来は、ある年の師走に創業者がスキーを楽しんだ帰りに「白い恋人たちが降ってきたよ。」と何気なく言った一言によるとされる。
いやいやいやいや。
「月曜から夜ふかし」はいい切り口の企画が多くて好きなのですが、ことこれに関しては、リサーチが甘いです。製造者の言いぐさ垂れ流しの格好になってしまっていて、残念です。
名前の由来がミスリーディングな件
Wikipediaに戻ります。
これは、紙箱のパッケージ裏面に記載されている。
とありましたので、画像検索してみました。結果からお借りします。
※画像は、「夏なのに・・・、名前の由来にびっくり!北海道銘菓『白い恋人』を食べました!」|plussight.net(2008/08/20付)より
テキストにもしておきます。
白い恋人の名前の由来には、こんな物語があります。
あわただしい師走の街に雪がやさしく降り出していました。
スキーを楽しんだ帰りの中、創業者が何気なく言った運命的な一言、
「白い恋人たちが降ってきたよ。」
この言葉がそのままこのお菓子の名前になって
白い恋人が誕生したというわけです。
いやいやいやいやいやいや。おかしいおかしい。
それ、元ネタあるでしょの件
そのエピソードが本当でも、そこでなんで「白い恋人たち」が出てきたかっていったら、この元ネタがあるからでしょうよ。
内容紹介より。
1968年フランスのグルノーブルにて行われた冬季オリンピックの記録映画。記録映画にとどまらない芸術性の高い作品で、フランシス・レイの担当したメインテーマはフランス映画のサントラを代表する名曲としても知られる。
出典の意図的な隠蔽を疑う件
降り出した雪を見ての創業者の一言は、これが下敷きにあってこそでしょう。
その出典を意図的にカットして隠蔽しているのでは?と疑います。
ネーミングの苦労話からも「隠蔽」が疑える件
「白い恋人たち」を知らなかったわけでもないでしょう。
検索してみると、こんなページもありました。
- ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.37 北海道を代表する銘菓「白い恋人」(jpaa.or.jp)
洋生菓子やチョコレートのメーカーである石屋製菓で「白い恋人」が生まれたのは、1976年のことだ。(略)さくさくしたクッキー(ラングドシャー)でホワイトチョコレートをはさむアイディアは、画期的なものだった。
白い恋人は、1976年の発売といいます。「白い恋人たち」の後です。
このお菓子にふさわしい、雪や北海道を連想させるネーミングに、スタッフは頭を悩ませたという。北国、冬将軍、ツンドラ、ブリザードといった名前も提案されたそうだ。創業者であり先代の社長である石水幸安氏が、雪の降り始めた外から帰ってきてふと口にした「白い恋人たちが降ってきたよ」という一言が決め手となった。
『白い恋人たち』は1968年に開催されたグルノーブル冬季オリンピックの記録映画の邦題である。そのテーマソングもヒットしたことから、石水氏もこのタイトルを記憶していたのだろうという。
誰の証言かよく分かりませんが、このページの末尾には(取材協力 石屋製菓)とあります。
「白い恋人たち」が下敷きにあるとの認識があると解釈できます。なのに、パッケージの「物語」には何も書いていません。
出典の意図的・組織的な隠蔽を疑います。
知らない人がやられてしまっている件
1968年のグルノーブル冬季オリンピックを撮った「白い恋人たち」という記録映画があることは、老人にとっては半ば常識です。そして、1976年発売の「白い恋人」の名前も、この映画から取ったのだろうなとごく自然に推定されます。
しかし世の中、老人ばかりではないので当然に知らない人もいるわけです。
事実、先ほどのパッケージ画像の借用元のページでも、こんな書きぶりです。
なかなかロマンチックなんですね。
創業者の方の、思いを感じました!
やられてしまっています。これはいかんです。
ラングドシャの使用も乗っかったらしい件
白い恋人と言えば、「面白い恋人」とのひと悶着が記憶に新しいところです。こんなブログ記事がありました。
- 吉本を訴えた「白い恋人」さん、そもそもあんたもパクリじゃないの?って話よね|日本一“熱い街”熊谷発コンサルタント兼実業家の社長日記(2011/11/29付)
全体にかなりの言いがかりに思えましたが、ひとつこういう情報がありました。
それとラングドシャ・タイプのクッキー菓子ですが、これが国内で大ヒットしたのは青山ヨックモックの「シーガル」が火付け役で、69年のことです。
「白い恋人」のネーミングに加えて、ラングドシャを使ったのにも元ネタがあるということになります。
なお、正しくはシガールです。
シガール ※yokumoku.co.jp より
いつの間にか自社開発したネーミング面していることに感心しない件
ネーミングを含め、新しいお菓子の開発に石屋製菓の企業努力があったことは認めます。「白い恋人」が商標登録されているのも、適用に新規性があったためでしょう(適当)。
しかし、映画から持ってきたコピペネームを自らのオリジナルと思わせたいかのような姿勢には、感心しません。
由来の物語に改善を求める件
そこで出典マニアからの改善策として、名前の由来の物語に
- 映画「白い恋人たち」にちなんだ
旨の文言を入れることを提案します。たとえば、こんな具合です。
映画「白い恋人たち」にちなんだこの言葉がそのままこのお菓子の名前になって
白い恋人が誕生したというわけです。
しないときは、田舎者企業と差別しておきます。それはすなわち、先人への敬意を示さず、道内にひきこもって内地も海外も関係なしという姿勢だからです。
付記:偶然の一致を主張しても田舎者
いろいろひっくり返して「偶然の一致」と主張するケースも想定できますが、それもまた、田舎者の証左であります。百歩譲ってその主張を認めても、先行事例に「白い恋人たち」がいる事実に変わりはありません。
こちらからは以上です。
コメント
綿密な調査お疲れさまです。
なお商標登録に新規性は必要ありません。
「選択物」という考えですし、
同一カテゴリーの商品内で混同を生じなければOKということです。(面白い恋人は同一カテゴリーで混同を生じるのでアウト)
なお、先行する映画に敬意を表するということは賛成です。
全く持ってその通り。韓国人のしかも低レベルなのと発想が同じ。
周りに違うだろって言えない様子が良く分かる。
社員は恥ずかしくないんだろうか?
映画のタイトルったって、邦題でしょ(「フランスの13日」が原題)。それ自体が商標登録されているのか?
日本の配給会社に断らなきゃならないんでしょうかね。「たち」が付くのと付かないのでは随分違うし、映画のことが出てこない相当こだわってらっしゃるようですが、そんなに大問題なんですか?!
ヨックモックのは、シーガルではなくドゥーブルですね。形と作りは似てるけど、両者の製法はたぶん同じではないと思う。
ラングドシャ・タイプのクッキーは元々日本のオリジナルではなく、最初に開発した仏の菓子屋が製造特許をとったわけでもないので、これをパクりというなら、今や日本中に同じような菓子が数多く存在しています。
国内で最初に作ったと思われるヨックモックの独占製造とはならない。
ちなみにラングドシャーでサンドしているホワイトチョコは67年に同じ北海道の菓子メーカー「六花亭」が国内で最初に製造販売したものだが、別にヨックモックが盗んだとは言われない。
大阪の件は、中身の菓子はゴーフルでラングドシャーまったく違うものだし、「~の恋人」という名称だけが問題なのではなく、パッケージやロゴのデザインもそっくり真似ていたことから悪質な類似商品と見なされたからでしょう。
名前だけ「~の恋人」を使い、パッケージデザインが全然別のものであったなら、別に石屋さんも訴えたりしなかったと思いますよ。