こんばんは。林修ナイトの時間です。
記事の要約:Executive Summary
「いつやるか? 今でしょ!」がブレイクするお膳立てをした「生みの親」といえる人物は2人いる。
- ひとりは、阿部広太郎さん。
- もうひとりは、次の記事に書く。
「今でしょ!」誕生まで (1)発掘編
今さら言うまでもないことですが、「今でしょ!」の流行りっぷりは、2013年のユーキャン新語・流行語大賞のノミネート確実、年間大賞も狙えるほどです。
すべてはこのCMから始まりました。
TVCM 東進ハイスクール 「生徒への檄文篇」(2010)
「いつやるか? 今でしょ!」
この言葉は、どうやって世に出てきたのでしょうか。あらためて確認しておきましょう。
私が見るところ、「今でしょ!」 生みの親と言える人物は2人います。この記事では、そのうち1人目について、調査過程を再現しながら紹介します。
手がかりは、林修さんの記述
もともとの発言の主である林修さんは、2冊目の著書『今やる人になる40の習慣』の中で、このように書かれています。
2009年夏期の、高2東大現代文の中で僕はこの言葉を発したようです。なぜこんな曖昧な言い方をするかと言えば、その状況を覚えているわけではないからです。(略)
予備校講師ならば誰だって、今やれ、すぐやれと生徒を鼓舞するものです。(p.183)
覚えていない。同じようなこといつも言ってるし。といったところでしょうか。
林さんご本人にとっては、確かに自分が言ったのだけれども、それがCMに使われ、さらに大きな話題になるまで、意識的に用いるほどの言葉でもなかったということです。
そして「今でしょ!」のブレイクまでをこう綴られています。(下線は引用者)
しかし、それがCM制作会社のプランナーの目に留まって、社長の決断を経て自社のCMに採用され、さらにはTOYOTAという日本を代表する企業のCMにも使っていただいて、その後、様々なオファーをいただくようになった(pp.183-184)
順序は前後しますが、1冊目の著書『いつやるか? 今でしょ!』でも、このように謝辞を述べられています。(下線は引用者)
次に、そのCMにおいて、この本のタイトルにもなっているセリフを発掘してくださった広告会社の方にも。(p.191)
この「今でしょ!」に目を留めて発掘した「広告会社の方」こそが、2010年のCM制作当時、電通・第2クリエーティブ局所属のコピーライターで、入社3年目だった阿部広太郎さんです。
なお冒頭に述べたとおり、もうひとりの人物については次の記事で書きます。
答えは東進のサイトに書いてあった
東進のサイト(www. toshin.com)には、TOSHIN TIMES on Web というページがあります。「志望校合格を目指す生徒とそのご父母のための大学進学情報紙のWeb版」だそうです。そこに、「今でしょ!」を見いだした「広告会社の方」とは誰か、その答えが書いてありました。
東進タイムズ2010年11月1日号に、「憧れの職業を追え!」と題して、東進のCM制作に携わったコピーライター2人のインタビューが掲載されています。
阿部広太郎さんの部分から引用します。大事なところに線を引いておきました。
「生徒への檄文」篇の制作が心に残っているという。(略)東進の名物講師が次々に登場するこのCMは、実際の講義の中から抜き出された映像を使用している。講師陣の発する印象的なフレーズは、撮影用に用意されたものではないのだ。
「あのCMでは、講義の様子を収めたDVDを1本ずつ、全部で60.70本ほど観たんです。その中から、一人の先生あたり15個ぐらいのシーンを抜き出していきました。肉体的には大変でしたけど、できあがったものを素晴らしいと言ってもらえたので、達成感がありましたね」
のべ数十時間分にのぼるDVD映像の中から、はじめに「今でしょ!」をピックアップしたのは、間違いなく阿部さんです。
阿部さんがかけた労力
阿部さんがかけた労力を、簡単に試算してみましょう。
1回の授業が90分、それが60本だったとして5400分。すなわち90時間分の授業DVDを見て、印象的な言葉を拾い上げていった計算になります(等倍速再生でまる90時間かけたとは限りませんが)。
そして例のCMに出てくる講師は林さん含め7人。林さんの授業分が少なめの単純均等割で8本としても、それだけで12時間分は見ている計算です。
この阿部さんの仕事に、敬意を表します。
生みの親1人目に認定
当ブログでは、阿部広太郎さんを1人目の「今でしょ!」生みの親に認定します。
ご静聴ありがとうございました。
つづく。
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