こんばんは。林修ナイトの時間です。
6月9日OAの「あすなろラボ」が大変素晴らしかったので、研究のベースラインとするために、録画から授業内容をテキストに起こしています。
林さんの発言と注釈は分けて書き、感想は別記事にします。
(1)からのつづきです。「落ちこぼれのヤンキー」が相手では予備校で普段使っている武器が通用しないと知った林さんは、ひとりの人間としてぶつかっていくしかないと、「人間力勝負」に持ち込んでいきます。
事前アンケート「勉強キライ」が大多数
「みんなに見せてもらったよ勉強は嫌いだって書いてあったね」
「わかんないから嫌いだっていうのがたくさん書いてあった。すごくよくわかるそれは。なんでかっていうと、別にこれは自慢でもなんでもなく、オレは自分が、わかったから好きだったから。(や)っぱわかんないとつまんないよね。じゃ勉強って本当に役に立たない?」
勉強なんて役に立たない?
「勉強なんて役に立たないってのも何人も書いてたよね。どう思う?」
北島さん(採石工場)「漢字とかは役に立つかもしんないけど、理科とか、役に立たないでしょ」
「役に立たない? どう思う?」
植村さん(アルバイト)「立たない」
「じゃひとつ聞いていい?こん中でケータイ使う人手挙げて あれ、ケータイ作ったヤツは、勉強したヤツじゃない? 君らが役に立たないって言った理科を。違う? そうでしょ。
うんだから全員がやる必要はないのかもしれないけど、やっぱりそういうふうに一生懸命理科勉強した、ヤツが作ったケータイを君ら使ってるんだよね。そうすると、そんなに役に立たないと言い切れるもんでもないんじゃないの?」
「実際、日常生活の中では使わないかもしれないけど、まやってみて、そうね、面白いもんじゃないかもしれない、直接こうなんかパッとお金が儲かるもんじゃないかもしれないけど、なんか、そんな無駄なものが世の中にあるのかな。僕は予備校っていうね受験勉強っていうまぁ君らにとっては… そうだな、受験勉強ってどう思ってる?」
市川さん(解体屋)「あんまり深く考えたことないっス」
「あなたはどうですか?」
岩部さん(無職)「大変そう」
八木さん(運送業)「オレには無縁です」
入試1か月前 受験生に必ず言う話
「オレねぇ、受験生にひと月前に必ずする話があるんですよ」
「あとひと月だね。別に君らががんばろうががんばるまいがオレには関係ないと。ただこれだけは言えるっていうことがある。ひと月前に必ず言うんだけど、このひと月がんばれるかがんばれないかが一生を決めるよ」
1か月がんばれるかがんばれないかで一生が決まる!!
「どういうことかっていうと、(板書しながら)ひと月がんばる。そうすると、じゃ本番試験です。
- ひと月がんばった結果受かる人が出るよね。
○ → ○ - ひと月がんばった結果落ちる人が出るよね。
○ → × - ひと月がんばんなかったけど受かるヤツが出るよね。まだ受かっちゃった。今までこうね、貯金があったから受かった。
× → ○ - ひと月がんばんなくて落ちるヤツ、まこれはいちばん多いかな。
× → ×
こうやって書くんですよ黒板に。この4つに、分かれる。たときに、そのひと月がんばれて受かったヤツ、あるいはがんばったけど落ちたヤツはいいんですよ。オレはひと月はがんばれたと。だけどそこまでの準備が足りなかったら落ちるからね。
問題はコレ(がんばんなかった方を指す)。受かったけど、なんか最後のひと月でオレはがんばれなかったな。まあまあ受かったけど、オレはひと月もがんばることができない人間なのかっていう思いで生きていかきゃいけない。そうなるかどうかは君らの自由だよって話を、ひと月前にするんですよ。
ひと月がんばれるっていうのは実はすごいことで、ひと月がんばれると、1年がんばれるね。1年がんばれる人は極端な話10年がんばれる。10年がんばれるって人はだいたい一生がんばれるんですよ。でこれを、10代のうちにやっておくことに意味があるんですよ。でそれは、勉強じゃなくてもいい。野球でもいいんですよスポーツ選手だったら野球、仕事なら仕事でもいいけど、やっぱり10代のうちにオレはひと月がんばれるぞっていう自信を持って生きていくかどうか」
社会で必要な力 「解決」&「創造」
「社会において必要なアタマ、能力はどういう能力かっていったら、この2つに尽きる。ちょっと言い切っちゃう。」
- 解決
- 創造
「解決と創造。オレは勉強が好きだろうが嫌いだろうが、なんだろうが、これにぶつからないことはないでしょ。いろんな問題起きてくるでしょ。ね。そして、なんか新しいもん作っていかなきゃいけない。この2つのために、いろいろ頭を使う訓練をするのが学校っていう場所なんですよ。で学校っていう場所でうまくやってこられて、上手にね、退屈もしないで卒業証書がもらえた人は、それはラッキーだ。その点僕はすごいついてるなと思う自分が。どのぐらい運がいいかって君らもちょっとは知ってるでしょ? ちょっとそういう話しようか?」
斉藤さん(施工業)「あー聞きたい」
「今でしょ!」誕生&ブレイクまでの秘話
「なんでこのおっさん、急にこれテレビに出るようになったの?」
生徒「知らない」
「今でしょ!って一言」
北島さん(採石工場)「やってみて 今でしょ!って」
「後でやるから」
「あれ今でしょ!ってね、2009年の授業で言ったらしいんだよ。本人覚えてないの。本人覚えてないのに、2010年のうちの予備校のコマーシャルであれが使われて、で2010年11年と2年連続で流れたんだけど、オレ結構来ると思ってたのね。結構人気出るなと思ったけどそんなに世の中甘くなくて、で2012年っていうのは、非常に失意の年。ものすごい期待感、期待を持ってて2011年ぐらいはひょっとしてこれ流行語大賞ノミネートされないかなとか甘いこと考えてたんだけど、甘かった。で2012年何もなし。
そうこうしてるうちに、ある番組から、「出ないか」って言われて、これはチャンスだと思ったんですよ。でその話が来たから、頼まれもしないのにオレはこういうふうに生きてきたって自分の人生12ページに書いて出したの。これやっぱりね文章書けたからだよ。私の履歴書ってタイトルで12枚出したの。どうだ、ってオレこんなふうに生きてきた、こんなに面白く生きてきたしいろんなエピソードあるぞってポーンって送ったの。なんにも使われず。52分のうち40分キンタロー。。オレ12分。その履歴書意味なし。でもそうしたらその後、このフジのネプリーグって番組で、ちょっと出してもらって、出してもらっていきなりレギュラーで決まって、そっからはなんかもうわけわかんないぐらいポンポンポンポンってなってって。そうしたらその、最初に出して、全然オレのレポートを使ってくれなかった番組が、もう1回やりますと。そんときにはその、最初に出した台本どおりに全部やってくれたんだ。人生ってそういうもんなんだね」
学校の勉強は何のためにするのか
「そういう中で学校が合うか合わないかっていうのは、これ運だよね。ひとりの先生に会えるか会えないかっていうのも運だし、だけどそんなこと言っててもしょうがないんで、学校っていうのはさっき言ったような(筆者、受験生、出題者の図を指して)こういうことができるかどうかを聞く場所。これはこれで価値があると思う。僕自身は自分が生きていくのにここで培ったことがすごく役に立ってる。だけど別にここの世界だけじゃなくてもよくて、これ(解決・創造)ができりゃいい。だから学歴はないけどすごい成功している人いるでしょ。この能力が高ければやっていけるわけだ。でもこの能力を高めるためには勉強はできなくてもいいけど、考える能力は、たくさん持ってなきゃダメだよ。ここは譲らんぞ」
「解決」&「創造」に必要なのは「考える力」
「そこはどう考えてる? 考える能力を今のままでいいと思う?それとも、今より高くしたい? どう?」
斉藤さん(施工業)「もう1回お願いします。」
「わかったもう1回ね。勉強っていうの学校の勉強って成績がいいとか悪いとかはまあいいと。だけど自分の頭でいろいろ考えていく、考えてものごとを解決したり考えてものごとを創り出す能力は、これは、絶対にどんな人でも高くする必要がある、っていうのがオレの考え」
斉藤さん(施工業)「それは思う」
「でしょ」
斉藤さん(施工業)「でその、解決と、なんだっけ、創造の力は、まあどんな場面でも、必要だと思う」
「うん。じゃあそれを高めるために、君は今何をしている? どうしてくこれから?」
斉藤さん(施工業)「それがわからない」
「うーん。じゃわからないままで何もしない?」
斉藤さん(施工業)「それはやだね」
「うんうんうんうん… 過去の人に頼ろうか?」
「オレ勉強をしない人は別に責めないよ。オレ本を読まないヤツは嫌い」
「考える力」は本を読んで鍛える
「本っていうのは、いい本も悪い本もあるけれども、いい本に巡り会えば、やっぱりそこにはね、ひとりの人間がね、知恵しぼって、命がけで刻んだことオレでもそういうふうにして書いたから。そういうものは、もらっておいて自分の材料にしたらいいんじゃないかな。つまんないかな?」
斉藤さん(施工業)「えっ?」
「だからそういう本をね、少し読むような機会を増やしたらどうなのかな。君ら仲間大事でしょ? 仲間だよ、本の作者って。こいつめっちゃいいわ。こいつとは友達だわと思う作者いるもん。でそういうものを、オレはこういう文章を読めるようにまあ、なってるから、読めることでそういうものが自分のものになる。しやすい。だから、もしね、今ちょっと必要だと思ってるんだったら、今でしょ!」
北島さん(採石工場)「…おぅ やっと使った」
「そういうことなんだよ。僕はやっぱりみんなに歴史の本読んでほしいなぁ。歴史の本とかって難しいとかって思うでしょ? 林流の歴史の読み方とか、発表していい?」
斉藤さん(施工業)「聞きたいです」
生徒「聞きたいです」
林先生流 歴史の本の読み方
「歴史ってねぇ、なんか派手に勝ってるヤツの方にイメージがいかない? なんとかの戦いでこうナポレオンが勝ったとか織田信長が勝った、あんまりそこねぇ、見なくていい。勝つときってねぇ、なんかとんでもない偶然が起きる。野球の試合とか見てても思わない?こんなとこでこんなプレーが出て勝つかみたいな。でもねぇ、負けるヤツって意外と共通なんですよ。オレの47年の経験で、負け、敗因は3つだなと。ま他にもあるけどこの3つだね、ほとんど」
負ける人物の3つの共通点
「なんだと思う? 負けるヤツの理由、なんだと思う?」
市川さん(解体屋)「資金がない」
「資金がない。資金がないっていうのも確かに敗因なんだけど、その資金でやるかどうかの判断する前に何がある? 足りないってそう、足りないって感覚合ってる」
市川さん(解体屋)「はい。人をまとめる力」
北島さん(採石工場)「考える力」
生徒「努力が足りない」
敗因
- 情報不足
「結局、情報なんだって。この資金で勝負していいのか。これだけの人数でやっていいのか。情報がきちっとしてれば、まずそこで、この戦いをやったら負けるとかね、わかる。
あと2つは、」
- 慢心
- 思い込み
「これでいいはずだっていう思い込み。と、オレはできるよっていう慢心。今日のオレは正直言って、(黒板を小突いて)これ(慢心)だ。今だってちょっと自信あるわけだ。みんなはどのぐらい知ってるかわかんないけど、けっこう有名なの知ってる?」
生徒「めっちゃ有名」
「このオレが出てけば、それはどんなメンバーでも、カーッって一発できれいに勝てると思ってここへ来たわけ。ところが最初押されたの。頭抱えてたんだよオレ裏で。あ押されたわと。あかんと、最初の勝負で負けたわと。理由は簡単だよこれ(慢心)だよ。ね、自分がちょっと今調子がいいからってさぁ、この勢いでかましにかかったら逆にやられたと。あんだけ歴史の本を読んできてまだやらかすんだよ。いかんなーと思って。でそこでしょうがないからね、もうこれは今日は非常に厳しい戦いになるって向こうでスタッフにも言って、で君たちの、もう1回ね、プロフィール読み直して、情報をもう1回チェックして、で出直してきたんだ。だけどなかなか君ら、手ごわいよ」
“一人の人間”としてぶつかる
「他の生徒だったらもうとっくにねぇ、オレの話聞いてくれてるけど、でもこういう手ごわい相手にこの年で会えること、オレはすんごい楽しいね。だって今予備校でオレの授業聞きに来てくれる生徒はみんな聞いてくれるもん。君らみたいにそんな格好で聞かないから。だからオレ今まで楽な仕事してたんだなって。でも、みんなに、この10代のみんなに、やっぱり考える力を高めるっていうことを今がんばってほしいね」
つづく。
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