こんにちは。出典マニアの調査報告です。
※画像は、岸部四郎 公式ブログ(gree.jp)より
読売新聞に掲載されたという「岸部四郎最大の厄日」(2002)への苦情の投書。そんな話がWikipediaに記されています(詳しくは後述)。
県立図書館に縮刷版があると知り、掲載月日とその内容を確認してきました。
「岸部四郎最大の厄日」とは
「岸部四郎最大の厄日」とは、こちらのテレビ番組で放送された企画のことです。
- ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(日本テレビ系 2002/10/20 22:56-23:26 OA)
※画像は、「読売新聞」2002/10/20付(縮刷版)より
ここで要らぬ豆知識をひとつ。ガキの使いの「ラテ欄タイトル」は、9文字です。
指折りの名企画
料理対決のゲストに呼ばれた岸部四郎さんが、何度も落とし穴に落とされるというものでした。落とされる回数を具体的に言うと、つごう4回です。
「ガキの使い」の長い歴史のなかでも、強く印象に残っている指折りの名企画です。
「この世の至言」も生まれる
帰依したくなるほどしびれたのは、最後、4度目に落とされた穴の底から岸部さんが放ったこの言葉。
「カネしかないな!」
念仏宗徒にとっての仏名、日蓮宗徒にとっての題目に匹敵する、この世の至言です。現世の真理・真実を、これほどまで的確、かつ端的に言い表している言葉を、僕はほかに知りません。
「カネしかないな!」。この一言のみで、僕は岸部さんのことを、崇め奉っていると言ってもいいほど最大級に尊敬しています。
カネしかないな!
Wikipediaにも載っている
指折りの名企画なので、Wikipedia「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」にもちゃんと記載があります。
企画意図を理解できない視聴者が「どこが面白いのか」「あれはヤラセでは」といった疑問や苦情を投げかけるケースが見られる。
その具体例のひとつとして、次のように書かれています。 ※下線は引用者
2002年10月20日放送の「芸能界男と男の手料理対決」でも同様のクレームが発生。内容は、岸部四郎が幾度も落とし穴に落とされ「もう金(で解決してもらう)しかないなぁ!!」と激怒するというもの。これも台本に基づいた芝居であるにも関わらず、真に受ける視聴者が現れ、読売新聞の投書欄に「彼の出演コーナーがなくなってしまった上、落とした側も悪びれる様子がない」などと苦情が掲載されるという珍事となった
出典のないWikiへの不満
ところが、読売新聞に苦情が掲載と述べるこのくだり、出典がありません。Wikipedia名物?の「要出典」も付いていません。まったくの事実無根ではないでしょうけれども、これだけでは確認ができません。
出典マニアの僕には、それが不満でした。
検索してみても、コピペばっかり
こと本件に関しては、検索してもクズ情報しか出てこないことに、さらに不満が募りました。関連のキーワードで検索してみても、出てくるのは上述のWikipediaのコピペばかりです。
なんだこのコピペ天国。
話はそれますが、先ごろ、乗せられてうっかりおかしな論文で世間の耳目を集めたばかりに、そこの画像のみならず、過去の博士論文に至るまで、コピペを暴かれてしまったおぼこい娘さんがいました。さながらひとりコピペ天国です。しかし、ことほどさようにコピペの蔓延する世の中、お前ら彼女に石投げられんのかと、そうも言いたいです。
僕は胸を張って投げられます。
これが出典:腹立った「ガキの使い―」
ということで、ネット界のこの惨状を是正するために、縮刷版から該当する投書を見つけてきました。
全文を引用します。
改行位置は適宜調整しています。投稿者の氏名は伏せ字にしました。
腹立った「ガキの使い―」
日本テレビ系20日「ガキの使いやあらへんで!!」。
岸部四郎さんが登場の際、数回落とし穴に落とされ、彼の出演コーナーがなくなってしまいました。
落とした側が、悪気なさそうに謝る姿も含めて腹が立ちました。(北海道・主婦・****24)(不快3通)
出典:読売新聞 2002年(平成14年)10月31日(木曜日)番組欄(40面)「放送塔」
既述のとおり、縮刷版から取りました。ページ上部には「13版 首都圏」とあります。元の版がそれなのですね。
さらなる衝撃の新事実×2
前段での引用にあるとおり、出典を突き止めてみると、さらなる衝撃の新事実も判明しました。
- 投書の主は中高年ではなく、24歳だったらしいこと
(計算すると1977~78年生まれになります) - ほかにも同様の投書が3通来ていたらしいこと
この世は地獄です。度し難い、縁なき衆生ばかりです。
ついでにWikipediaにも苦言
ついでに出典マニアから細かすぎる苦言を。先ほど引用した、Wikipeida「ガキの使い―」の記述に対してです。
事実関係はほぼそのとおりでしたけれども、出典マニアからすれば書きぶりにやや不満が残ります。文言を「」でくくるなら、その中は元のとおりに引用してほしかったです。
さらに、掲載されたのが「投書欄」と書くのもやや言葉の選択がまずいです。はじめはその記述から、同紙の投書欄「気流」の方を探してしまいました。
あの岸部シローさんは今
ところで、岸部四郎さんは今どうされているのでしょう。最近は、テレビその他でそのお姿をあまりお見かけしません。岸部四郎 公式ブログも、2009年以来更新がありません。
探してみると、直近では東京ドームでのザ・タイガースのライブにサプライズゲストとして登場されたとの情報がありました。2013年12月27日のことです。
それを報じるネット記事から、ひとつ紹介しておきます。
- 岸部四郎 車イスで歌う 手にトラブル|デイリースポーツオンライン(2013/12/27付)
車椅子での登場だったのは、続きのページによると
2003年に患った脳梗塞の後遺症で視野狭窄(きょうさく)となり、歩行が困難な状況。12年1月の沢田の日本武道館公演で姿を見せて以来の公の場となった。武道館公演後に大たい骨を折り、現在はリハビリ中。
であったため。また、見出しの「手にトラブル」とは、こういうことらしいです。
歓声に応えて挙げた左手のひらには、トラブル続きの人生をネタにするように、「トラブル」の文字がマジックで書かれていた。
あらためて岸部さんを尊敬します。
むすび
「ガキの使い」の歴史に残る名企画にまつわる「珍事件」なのに、なぜ今まで誰も出典の確認をしてこなかったのでしょう。依然として憤懣やるかたなく、腹の虫がおさまらない心地がします。
ですが、いちおうは満足のいく調査結果となりました。
お金ください。
せめて8倍、ないし8.5倍で。
カネしかないな! 金持ってこい! 機嫌よう帰ったるよ (フルバージョン)
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