こんにちは。
英語のsamurai は単複同形です。なぜでしょうか。
結論から言えば、よくわかりません。
英語話者のあいだにも厳格なルールがあるわけではなく、最終的にはなんとなくの雰囲気で決めている感じがします。
考察:侍の複数形もsamurai である理由
英語では、なぜ侍の複数形も同じsamurai なのでしょうか。
一義的には、samurai 自体が既に複数形っぽいからだと言えそうです。
では、どのあたりが既に複数形っぽいのでしょうか。
語尾がi だから?
最後が、i で終わるからでしょうか。
イタリア語では、男性名詞の複数形に-i で終わる形があります。本(libro)の複数形はlibri、橋(ponte)はponti です。(参考:イタリア語を覚えよう(geocities.jp))
さかのぼれば、ラテン語にもごく一部ながら同様のパターンがあるようです。(参考:ラテン語名詞の活用(kitashirakawa.jp))
英単語でも、ラテン語由来のalumni(大学の卒業生)はこのパターンです。複数形です。単数形だとalumnus です。
それだけでは不十分
しかし「i で終わる」だけで条件として十分かというと、そうではありません。
たとえばThai もSaudi もi で終わる名詞ですが、その複数形はThais、Saudis と、どちらもs が付きます。
【リスト】「i」で終わる日本語由来の英単語の複数形
このあたり、英語で複数にする場合のルールはグレーゾーンになっているもようです。
日本語由来で最後の文字が「i」の英単語について、見つけられる範囲でピックアップし、複数形のパターンを調べて分類してみました。パターンとしては、単複同形になるもの、s が付くもの、両方併記の合計3パターンがあります。
各単語に、アメリカのオンライン辞書「American Heritage Dictionary of the English Language」(Yahoo! education)その他へのリンクを付けておきます。
単複同形のみのパターン
単複同形、-s と併記のパターン
-s のパターン
- sensei
- adzuki(Wiktionary)
- shakuhachi(Wiktionary)
辞書ごとに違う
ただし辞書によっては、複数形に関する見解が分かれている単語もありました。
たとえばOxford Dictionaries では、sensei は単複同形としています。
samurai の複数形も、辞書ごとに見解が分かれている
samurai に戻ると、辞書によって、複数形は「同じ」とするもの、「同じか、s を付ける」とするもの、両説が入り乱れている状態です。
「samurai」(単複同形)のもの
- Collins English Dictionary: samurai
- Merriam-Webster: samurai
- Oxford Dictionaries: samurai
- Dictionary.com: samurai
「samurai」「samurais」併記のもの
各派の分かれ具合から「基本は単複同形だが、samurais でも可」と理解しておくこととします。
まとめ
英語話者にとってsamurai の字面の並びぶりは、複数形も同じとしたい何かがあるようです。しかしその「何か」は、「s を付けるのは間違い」と言えるほど強力なものでもありません。
そういう結論にしておきます。
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