こんにちは。iTunes Store で試聴して選ぶシリーズです。
バッハの「6つのパルティータ BWV825-830」の好きなピアノ演奏を、1曲ごとに合計6つ選んでみました。
あえて「グールド以外」で
選択には、「積年の恨み」を晴らす意味も込めて、あえてグレン・グールド盤を外すことにしました。と言っても、恨みの対象はグールドの演奏ではありません。そちらに何の非もありません。
昔話になります。
バッハの器楽曲をいろいろと聴きはじめた頃、レコード芸術から出ていた名盤紹介の類を見ると、鍵盤曲に関してはことごとくグレン・グールド盤が推薦扱いでした。いいのは確かだけれども、「他にないんかい」という不満を募らせておりました。そんな「積年の恨み」があるのです。
それを、幾星霜を経た今ここで晴らします。
それでもグールドは
それでもグールドはテッパンです。初めてパルティータの全曲を聴くのなら、最初の選択肢としてグールド盤は決して間違っていないと思います。
「まずはこれをふまえて」という意味で、紹介しておきます。
まずはこれをふまえて:グレン・グールド
J.S.バッハ:6つのパルティータ BWV825-830(1726~1730)
グレン・グールド(Glenn Gould)(1932-1982)
()内は録音年です
- 第1番変ロ長調 BWV825(1959)
- 第2番ハ短調 BWV826(1959)
- 第3番イ短調 BWV827(1962)
- 第4番ニ長調 BWV828(1962, 1963)
- 第5番ト長調 BWV829(1957)
- 第6番ホ短調 BWV830(1957)
収録アルバム例
意外にも、iTunes Store には全曲盤のアルバムがありませんでした。レーベルがソニー系列だから?
Amazon へリンクしておきます。試聴できます。
あと、古い録音の第5番・第6番の収録盤です。
グールド以外から選ぶ、J.S.バッハ「6つのパルティータ」各曲のピアノ名演
ラインナップは次のとおりです。()内は録音年です。
- 第1番変ロ長調 BWV825:ディヌ・リパッティ(1950)
- 第2番ハ短調 BWV826:マルタ・アルゲリッチ(1979)
- 第3番イ短調 BWV827:ロザリン・テューレック(1957, 1958)
- 第4番ニ長調 BWV828:イルマ・イサカーゼ(2010)
- 第5番ト長調 BWV829:ウラディーミル・アシュケナージ(2009)
- 第6番ホ短調 BWV830:ロザリン・テューレック(1957, 1958)
収録アルバム(例)も全体でリンクしておきます。他の曲も含まれていますが、「よそ見」もまた楽しです。
第1番 変ロ長調 BWV825
ディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti)(1917-1950)1950
この曲というより、この変ロ長調という調性を代表するような演奏です。「変ロ長調ってこんな子」と教えてくれます。
収録アルバム例
それがバッハか?となると意見は分かれそうですが、リパッティのバッハはどれも「美人」です。
第2番 ハ短調 BWV826
マルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich)(b.1941)1979
静と動の対比鮮やかな、躍動感あふれかえる荒ぶるバッハです。ラスト2曲は並みのロックよりノレるし、ロックスターよりも全然かっこいい。
収録アルバム例
終曲カプリッチオの最後の音が鳴り終わった瞬間、抱いて!と叫びたくなります。
第3番イ短調 BWV827
ロザリン・テューレック(Rosalyn Tureck)(1914-2003)1957, 1958
演奏がグールド的。しかもグールドよりリズムがキレッキレのパッキパキ。
収録アルバム
第6番ホ短調 BWV830
ロザリン・テューレック(Rosalyn Tureck)(1914-2003)1957, 1958
同じくテューレック盤を選びましたので、先に6番を。
気持ちよくうねるバッハ。3番ほどキレッキレじゃないものの、これもパッキパキです。録音の時期と演奏の似方からすると、18歳年下のグールドと互いに影響を与え合っていたのかなという気もします。
あと4番5番は「あえて挙げるなら」レベルです。どちらもいいですが、まだグールド盤も捨てがたいです。
第4番ニ長調 BWV828
イルマ・イサカーゼ(Irma Issakadze)(b.1976)2010
僕のニ長調のグランドイメージは「ひまわりの花」です。それにいちばん近いです。
収録アルバム
第5番ト長調 BWV829
ウラディーミル・アシュケナージ(Vladimir Ashkenazy)(b.1937)2009
音の粒立ちが整っていてきれいです。この曲に合った音です。
収録アルバム
実を言うと、つかみどころがなくて6曲の中でほぼ唯一気持ちの動きにくい曲です。
おわりに
もっといいの知ってるぞという方は、お知らせいただければ幸いです。
こちらからは以上です。
コメント
Maria Tipo を是非聞いてほしいです。
楽しく読ませていただきました。
ありがとうございました。