大発見! なぜ「3本」の読みは「さんぼん」で、「4本」は「よんほん」なのか

ぴき ひき びき/ぽん ほん ぼんの歌

こんにちは。

NHK・Eテレの「ピタゴラスイッチ」で、「ぴき ひき びき の歌」「ぽん ほん ぼん の歌」というのをやっていました。

画面では、前者ですとカエル、後者ですとニンジンのアニメキャラクターが並んで動き、レゲエのリズムで

♪ ぴき ひき びき ひき ひき ぴき ひき ぴき ひき ぴき

♪ ぽん ほん ぼん ほん ほん ぽん ほん ぽん ほん ぽん

と歌っています。つまりこの歌詞は、カエル、ニンジンを数える数詞の「匹」、「本」のことなのですね。

歌は、

♪ 1ぴき 2ひき 3びき 4ひき 5ひき 6ぴき 7ひき 8ぴき 9ひき 10ぴき

♪ 1ぽん 2ほん 3ぼん 4ほん 5ほん 6ぽん 7ほん 8ぽん 9ほん 10ぽん

と続いて、1から10までの「匹」「本」の発音の変化を歌います。

ここで疑問が

これより「本」(ほん)とだけ書きますが、もちろん、「匹」にも当てはまる話です。ここで疑問が起こってきました。

なんでこんな変化をするんだろう?

「ほん」が半濁点の「ぽん」に変わるのはまだいいです。「ぽん」は促音便ですね。学校で習いました。直前の音とつながって縮めて発音されるがために生じる音便です。

わからないのはこっちです。

  • 3(さん)ぼん
  • 4(よん)ほん

どちらも「ん」に続く「ほん」なのに、なんで前者が3「ぼん」と濁って、後者が4「ほん」と濁らないのでしょうか?

同じ「ん」に続くのに、「本」の言い方が違ってくるというのはどういうことなんでしょう。日本語というものは、そこまで気まぐれなんだろうかと、疑問に思いました。

そして大発見

3 と4 とで違うところがあるのかないのか、にらんで考えていても何も浮かんできませんでしたので、

3 さん さん さん …
4 よん よん よん …
3 4 さん よん …

と、ぶつぶつと繰り返していました。

そして繰り返しつぶやいているうちに、はたと気がつき、そのまま洗面所まで行って鏡を見ながら確かめて、違いを発見しました。アルキメデスみたいに裸で外へ飛び出したりはしませんでしたが、発見したときは興奮しました。

「さん」と「よん」、かなで書くとどちらも同じ「ん」ですが、「ん」の発音が違うのです。

これまで何十年にわたって日本語を使う生活をし続けてきましたが、初めての発見でした。今までなんも意識せず使い分けていた自分がこわい。

確認テスト

「3」と「4」の音の出方の違いは簡単に確認できます。

日本語で「3」と言った後と、「4」と言った後とでの口の状態を比べてみてください。

「3」と言った後は、口が閉じ、上下の唇が接していませんか。

「4」と言った後の口は完全には閉じず、上下の唇はほんのわずか離れていませんか。

どちらも字にすると同じ「ん」ですが、このように、3(さん)の「ん」と4(よん)の「ん」とでは、言い終わった後の口の形が違うのです。口の形が違うということは、音の出方も違ってくるということです。

表記の区分

既存の日本語書法には、適切に違いを示す表記法がないので、以後「ん」の書き表し方を区別しておきます。

ここから後は、「さん」の方は「んm」、「よん」の方のは「んn」と表記していくことにします。

「3」の発音パターン

数字の3 の発音は、4 の「んn」とは違うことを発見しました。しかし3 の読み方が常に「さんm」であるかというと必ずしもそうでなく、んm とんn のあいだをゆれ動くようです。

たとえば、「三位一体」の読みは、「さんmみいったい」ですが、
「第三位」だったら、「さんnい」です。

日本語の表記上、「んm」と「んn」の音が区別されずにどちらも「ん」になってしまっている理由は、(少なくとも)2種類の発音があっても、両者で表記を変えるほどには同じ単語の発音が定まりきっていないから、ととらえておきます。

余談ですが、他人の「んm」と「んn」とを着実に聞き分けられる力は私にはありません。悲しい話です。

新たな謎:「3」+ハ行の助数詞 の場合の音便パターン

1「本」など、ものを数えるときの単位を表す語を、助数詞と言います。「ぽん ほん ぼん の歌」に見られる助数詞「本」の音の変化の法則について、これにて一件落着かと思いきや、そうは問屋が卸しませんでした。より一般化できないかと考えていくと、新たな謎が浮かんできたからです。

「匹」「本」に限らず、ハ行の助数詞であれば、「ぽん ほん ぼん」と同様のパターンで変化してくれれば問題ありません。しかし「3」+ハ行の助数詞の事例をあたっていくと、「さんm」に続く助数詞の読み方は、「匹」「本」と同じように、どれもが必ずしも濁音の「ばびぶべぼ」になるわけではありませんでした。

たとえば同じ「はい」でも、

  • 「3杯」なら「ばい」
  • 「3敗」なら「ぱい」

ですし、

「へん」の場合、

  • 回数を数えるときの「遍」なら「3べん」
  • 詩や文章を数える「編」なら「3ぺん」
  • 多角形の線分である「辺」も「3ぺん」

です。

ここまでの論理を同じように適用するならば、それぞれの「はい」「へん」同士で「は」と「へ」の発音に違いがあるという結論になりますが、本当でしょうか。

謎です。

コメント

  1. 丸井康弘 より:

    3(さん)と4(よん)は全く別の言葉です。3(さん)は中国の昔の発音は(saŋ)で4(yon)は日本の言葉(大和言葉)です。(漢語の四の読みは(shi)です。)
    漢字がつながっている漢語を音読みするときに、(ŋ)のあとの(h/pやk)は連濁しました。
    したがって、三本は(saŋ+hon) → (san/mbon)と連濁するのです。
    大和言葉の4(yon)と(hon)の場合は連濁しないので、4本は(yonhon)と読みます。
    ただ、次第に漢語からの連濁が忘れられて、新しい言葉(3回(さんかい)、3分(さんぷん)など)は連濁しません。
    また、私たちの世代では、三階を連濁させて、「さんがい」と言っていましたが、今の若い人たちは「さんかい」と連濁しないで発音するようです。

  2. 佐野隆 より:

    三本(さんぼん)の「ん」で唇がくっついて
    四本(よんほん)の「ん」ではつかないのは単に次の「ボ」が破裂音で唇をつけないと発音できないからです
    三本も「さんほん」と読めば唇はつかないです

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