国税庁の板倉です(ウソ)。
用件はタイトルのとおりです。
マルサの女 オリジナル・サウンドトラック(1987, 2013)
意見ではなく事実
源泉徴収されて所得税の確定申告をしないサラリーマンは、納税者ではありません。
これは個人的意見などではなく、法の事実です。
法的根拠
なぜなら国税通則法(law.e-gov.go.jp、以下同じ)に「納税者」がこう定義されているからです(第二条第五号)。 ※下線は引用者
五 納税者 国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
読みづらいですね。整理します。
◆国税の納税者とは
(一般則)国税を納める義務がある者
(源泉徴収による国税の場合)徴収して国に納付しなければならない者
ということです。
さらに細かい定義
上の定義に出てくる「国税」「源泉徴収による国税」という用語も、同じく第二条で定義されています。
国税とは
国が課する税のうち関税、とん税及び特別とん税以外のものをいう。
(第二条第一号)
所得税もまた、所得税法を根拠に国が課している国税です。
源泉徴収による国税とは
源泉徴収に係る所得税(この税に係る附帯税を除く。)をいう。
(同 第二号)
このタイプの税の「納税者」と定められている「徴収して国に納付しなければならない者」とは、要は事業者です。つまりサラリーマンを雇って給与等を支払っている側です。
まとめ
「源泉徴収による国税」しか負担していないサラリーマンは、国税通則法が定義する「納税者」のいずれにも当てはまりません。
だったら何なのか?
「納税者」でないなら、サラリーマンは税法上何なのかという声もあるやもしれません。
その点を検討します。
納税義務者?
あえて言うならば「納税義務者」でしょうか。
所得税法第五条に
居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。
と定められているからです。
同法の第二条第三号で「居住者」が
国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
と定義されていますので、サラリーマンの大半は居住者でもあると言えるでしょう。
義務はあるのに納めていない
しかし、同じく所得税法ではこうも規定されています。
(源泉徴収義務者)
第六条 第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。
要は「給与等を支払う側が必ず源泉徴収しろ」と言っています。
そして先ほど見たように、国税通則法では、源泉徴収による国税の場合、源泉徴収を行う者が納税者と定められていました。
つまり、このタイプの所得税を納めるのは、源泉徴収義務者です。
サラリーマンは居住者でもあり、よって納税義務もあるはずなのに、納めていません。
結論:何者でもない
以上を勘案すれば、税法から見たサラリーマンとは、「何者でもない」と言わざるを得ません。
早い話が蚊帳の外です。
事実ではなく意見
「だから源泉徴収制度などやめてしまえ」と主張しているのではありません。
何事にも言えることですけれど、源泉徴収制度にもメリット・デメリット両方あります。この制度の下でサラリーマンが「源泉徴収による国税」を負担していることにも、疑いを容れる余地はありません。
なのにと言いましょうか、当記事で述べたとおり「国に納税者扱いされていない」わけです。
「国に納税者扱いされていない」という事実は、特に当のサラリーマンにもっと知られていてもいいのではないかと思うのです。
それがマルサの(ウソ)おっさんの意見です。
そう思わない? 権藤さん
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