こんばんは。林修ナイトの時間です。
林修さんが「テレビ未来遺産」（2013年12月11日放送）で言われていた、「トラブルとは作業着をまとったチャンスである」の出典を調べました。
ただし、調査としてはインコンプリート、不完全です。
番組での林さんの発言内容については、林修さん、「命」と「お金」を語るでテキストにしていますのでそちらをご覧ください。
調査結果
「トラブルとは作業着をまとったチャンスである」
は、アメリカの実業家、ヘンリー・ジョン・カイザー（Henry John Kaiser, 1882-1967）が使っていた言葉のようです。
しかし、原典での確認はできていません。
また、カイザーが使っていた時点で、何か「元ネタ」があったかどうかも不明なままです。
原文
Trouble is [only] (an) opportunity in work clothes.
です。なお検索した範囲だと、
Problems are (only) opportunities in work clothes.
と、「トラブル」ではなく、「問題」となっているパターンの方が目立ちました。
ヘンリー・ジョン・カイザーとは
Wikipedia Henry J. Kaiser によると、
an American industrialist who became known as the father of modern American shipbuilding.
（「米国近代造船業の父」として知られることとなったアメリカの実業家）
だそうです。
Henry J. Kaiser (1882-1967)
※画像はWikipedia より
用例
用例を探しましたが、あいにくネットだと、カイザー本人によるものと思われる文献は見つかりませんでした。
Google ブックスで見つけた、伝記・評伝での用例を、2冊からのべ3か所引用しておきます。（下線は引用者）
まず、Richard Hack『Hughes―The Private Diaries, Memos and Letters』（2007）からです。
Returning to his home in Oakland, Kaiser, a man who coined the quotation “Trouble is only an opportunity in work clothes,” put his organization into seeking the most concentrated source of aeronautical engineering manpower. （p.136）
（拙訳）オークランドの自宅に戻ると、「トラブルとは作業着をまとったチャンスにすぎない」の名言を生んだ男であるカイザーは、人的資源として航空エンジニアを最も集中的に調達できるところを探すように自分の会社に命じた。
「カイザーといえば、この名言」的な記述のされ方です。
続いて、Albert P. Heiner『Henry J. Kaiser, American Empire Builder: An Insider’s View』（1989）から2つです。
Kaiser relished the prospect. Those kinds of problems were “opportunities in work clothes,” to use his own overworked counsel. (p.184)
（拙訳）カイザーはそんな予想を喜んでいた。そうした問題は、彼自身がしょっちゅう口にする助言である「作業着をまとったチャンス」であった。
But problems are not only opporunities in work clothes–as Kaiser said so many thousands of times–they can be stimulating, they can add zest to the day’s work. (p.262)
（拙訳）だが、問題というものは、カイザーが幾度となく言っていたように「作業着をまとったチャンス」であるだけでなく、時に魅力的であり、日々の作業に面白みを加えることもある。
同じく「この言葉でおなじみ」的なトーンです。
カイザーが多用していた言葉であることは確かなようです。
まとめに代えて：類義語はこれ？
言葉の内容や使われ方、その位置づけとしては、アントニオ猪木さんの
「元気があれば何でもできる」
に、似ているなと思いました。
また、林修さんの言葉から探すならば、
「自分はやれる！」という（根拠のない）自信をもっている（『今やる人になる40の習慣』23 ほか）
になるでしょうか。
調査としては不完全で不満足ですが、以上です。
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