こんにちは。今回はガラパゴス化について書きます。
日本がガラパゴス化しているらしいのだが
「日本がガラパゴス化している」と言われて久しいこのごろ。ガラパゴス化した携帯電話端末、という意味の「ガラケー」という用語もすっかり定着しています。
「ガラパゴス化」という表現は、次のような意味合いで使われているものと理解しています。
- 地理的に閉ざされた環境で独自の進化を遂げている
- その結果、他の地域で通用しなくなってしまっている
そして非公開求職者である私自身も、これから国内だけを向いてビジネスに携わるような人生でよいのかと、あれこれ思い煩っているところです。
それはそれとして、自分が生まれ育った国に根ざす人々のパワーやプレゼンスが、自身の加齢にならうかのように衰え、相対的に低下し、国際的に軽視されていく行く末が予想されることは、悲しく、憂慮すべきものです。
ガラパゴス化を憂う、その前に
しかし、本当に日本はガラパゴス化しているのでしょうか。本当にガラパゴス化が進んでいるとして、それが問題であるのならば、どうしていけばいいのでしょうか。
そう考えていくと、そもそも私は、ガラパゴスの実情についてほとんど知らないことに思い当たりました。本当のガラパゴスを知らないまま、ガラパゴス化について精確な考察ができるはずがないではありませんか。
そんななか、少し前ですが、NHK・BS1の番組の中でガラパゴス諸島を取り上げると知り、「ワイルドライフスペシャル」を視聴したのでした。
既にガラパゴスを追い越していた日本
番組の中で最も印象に残ったのは、旭山動物園の園長である坂東元さんが「日本はガラパゴスよりも固有種の数が多い」とコメントされていたことです。
あれっ?! ガラパゴス化というからてっきりガラパゴスの後を追っているのかと思ったら、既に追い越しているではありませんか。そこで固有種についてオンラインで少し調べてみました。
数値の正確性についての裏付けが不十分なのでソースを示すのは控えますが、ガラパゴス諸島の固有種の数が約110種であるのに対し、日本列島の固有種は約130種とする記述がいくつか見つかりました。「ガラパゴスよりも多い」とする坂東さんのコメント内容そのものは、事実として信用してよさそうです。
では、本家ガラパゴスを追い越している日本は、世界一ガラパゴス化が進んでいる国なのでしょうか。
固有種を英語でendemic species というのを知り、そちらの方面でも調べると、日本のガラパゴス化は、世界一ではありませんでした。
世界一ガラパゴス化した国は日本ではない
世界一ガラパゴス化している国、それはオーストラリアです。その固有種の数として、1350種という数字を挙げているサイトがありました(オーストラリアに見る生物多様性)。本家ガラパゴス、そして日本列島とは桁が違います。
同じく数値についての信憑性の裏付けが十分ではありませんが、他のサイトも2,3参照して回った限り、固有種の数が最も多い地域がオーストラリア大陸であることはゆるぎないようです。
なお上記で挙げた数値はいずれも、魚類を除く脊椎動物で比較したものです。
既にガラパゴスよりもガラパゴス化の進んだ国土に住む日本人は、世界一ガラパゴス化しているオーストラリアに学ぶのがよいかもしれません。
人間界ではどうなのか
動物界の話をそのまま人間社会にあてはめてしまうのは、議論が乱暴です。
人間界におけるガラパゴス化とは、どういう意味になるのでしょうか。それを考えるためには、ガラパゴスにいる人間のことを知らなければなりません。しかしながら、オンラインでの浅いリサーチでは、あいにくいい情報に出会えませんでした。辛うじて目についたところだけを以下に述べます。
2010年のある調査によれば、ガラパゴス諸島の人口は2万5千人ほど。うち、ホテル、監獄、兵舎などに滞在する人口を除いた約2万3千人を母数にすると、半数以上(52%)が、当該調査の定義する「貧困」に該当します。また、人口の4割が上下水道のどちらかがない住居に住んでおり、公共の上水道システムの普及による衛生状態の改善が大きな課題の1つとされています(A Snapshot of Poverty in Galapagos | Galapagos Conservancy)。
一方日本では、2011年の上水道普及率は97.6%です(水道普及率の推移(厚生労働省) ※上水道+簡易水道+専用水道)。
少なくともこの点については、現在の日本はガラパゴスより豊かですし、将来のガラパゴス化を懸念する必要もなさそうです。
まとめ
- 日本は既にガラパゴス以上にガラパゴス化しています。
- オーストラリアのガラパゴス化は世界一です。日本の比ではありません。
- 日本国民はガラパゴス諸島民よりおしなべて豊かです。
いろいろ見失いましたので、このへんで。
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