こんにちは。
結論
選挙で「接戦」「僅差」と言える得票差とは、「投票総数の平方根」未満です。
私の理解では、その範囲は「誤差」だと考えられており、もし同じ条件で再び投票を行えば結果が逆転する可能性があるためです。
※画像は、Wikipedia より
ネタ元
『数学でわかる100のこと』にあった「59 信任を得る」がベースです。
なぜそう言えるのかの詳しい説明は本書にはありませんでしたが、自分としては、この閾値は「投票結果に対する標準偏差」と理解しています。
つまり、「標準偏差の範囲内でばらつく可能性がある」ということです。
「僅差」の趣旨も入れ、当記事での表現は以下「接戦」に統一します。
数式による表現
くり返します。当選した候補と落選した候補の得票差が合計得票数の平方根より小さい値であれば、「接戦」だったと言えます。
立候補者が2人だったと仮定して、当選者の得票数をW、落選者の得票をL と表すと、
(W-L)<√(W+L)
であるときが「接戦」です。
数学的「接戦」事例はある?
国内の過去の選挙に、当記事の定義にかなう「接戦」の事例はあるのでしょうか?
あいにくまじめに探していないのもあり、実例が見つかっていません。
接戦のようで接戦でない例:神戸市長選(2013)
近い例で言うと、「接戦」あるいは当選者目線で「辛勝」と報じられていた2013年10月27日投票の神戸市長選挙も、接戦ではありませんでした。
神戸市のサイトにある投開票結果(PDF)からデータを取ると、(小数点以下切り捨て)
- 当選した久元喜造さんの得票数(W)は、161,889票
- 次点だった樫野孝人さんの得票数(L)は、156,214票
2人の得票差(W-L)は、5,675票でした。
衆議院議員選挙で使用される指標の、惜敗率(L/W)を求めると、0.9649 となります。
イメージ的には、かなりの接戦です。
しかしそれでも、「接戦」ラインである√(W+L)を求めると、およそ564 です。上で求めた得票差(W-L)は、これを大きく上回っています。
仮に当選者の得票が同じで、得票差が「接戦」ラインちょうどだったとすると、惜敗率は、0.9965 となります。
統計的には、これ未満の差となってようやく「もう一度同じ条件でやればどうなるか分からない」と言えます。
総数を拡大しても接戦にならない
神戸市長選挙の例でも「立候補者2人」と仮定していましたが、実態ベースに視野を広げても結論は変わりません。
この選挙には合計5人が立候補しました。投票総数(451,999)の平方を取っても、672です。
また、同市の選挙人名簿登録者数によれば、10/17現在の登録者総数は、1,249,142です。仮に有権者全員が投票して投票率100%だったとしても、その平方は、1,118です。
いずれも、先ほど求めた得票差(W-L)5,675 を上回りません。
まとめ
数学系の読み物にあった「接戦」「僅差」の基準は、候補者が2名の場合
- 得票差(W-L)が、総得票数の平方根(√W+L)以内
でした。思っているよりも厳しいです。
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