こんにちは。名前研究家です。名前を研究しています。
前に書いた「(草稿)人が名前を付けるとき・序」(2013/11/05)をさっそく改稿します。
要旨
名前には、2×2の4種類があります。
- 単位としての「クラス」「インスタンス」
- 素材としての「言語的」「記号・番号的」
この組み合わせで、4種類です。
名前を付ける単位
何を対象に名前を付けるか、その単位です。大別して2種類です。
- クラス
「種類」に付く名前です。具体的な事物は交換が可能です。 - インスタンス
「個別具体的な事物」に付く名前です。原則として一意です。
概念・用語ともにオブジェクト指向のものを流用しています。
それぞれの例
「バルタン星人」はクラス、「ジャミラ」はインスタンスです。
「猫」はクラス、「猫ひろし」はインスタンスです。
念のために付け加えておきますと、「猫ひろし」は「猫」ではありません。
名前の素材
付ける名前に何を使うかで、次の2種類に分かれます。さしずめ、付けられた名前の「素材」と言っていいかと思います。
- 言語的(名詞的)
いわゆる自然言語を使います。文法上の「名詞」とも言えます。同義反復ですが「名詞的」とも称することにします。 - 記号・番号的
英数字などを組み合わせた記号・番号的表記を使います。
それぞれの例
「ガンダム」は言語的、「RX-78-2」は記号・番号的です。どちらも同じものの名前です。
記号・番号的な名前の認知度は劣る
「記号・番号的」であっても名前には違いないのですが、その認知度は「言語的」名前に劣ります。
クイズとして2つ例を出して、それを確認しておきましょう。
クイズ問題1
たとえば、この記号・番号的名前で、その姿がイメージできるでしょうか。
- SEIKO KX401B
正解はこれです。
SEIKO CLOCK (セイコークロック) 掛け時計 Ra-Clock(ラ・クロック) KX401B
日常における言語的な名前は、「掛け時計」です。僕は家にあるこれをそう呼んでいます。
クイズ問題2
ではこれはどんなものか、わかりますでしょうか。
- DLA-ZVW35-BHXEB
目にしたことのある方も多いと思いますが、いかがでしょう。
正解は、この名前です。
でもあまりそんな呼び方はしないですよね。
この自動車を指して呼ぶときは、「プリウス PHV」と呼ぶのが一般です。上で示したのは、この車両型式の名前です。
※プリウス PHVの「S」のものを使いました。
出典:諸元表(toyota.jp)
まとめ
まとめとしてくり返しておきます。
- 世の中の名前は、4つに分類できます。
- 付けられる対象である「単位」で2種類、付けられた名前に使われる「素材」で2種類、この組み合わせで4種類となります。
- 記号・番号的な素材の名前は、名前には違いありませんが、名前としてあまり認知されていません。
発見:「名前」として認知される種類は限定的
ここまで整理して、わかってきました。
どうやら世の大半の人は、4種類ある名前のうち
- 「インスタンス」に対する「言語的」な名前
これのみをもっぱら「名前」としているようです。
加えて、「固有名詞」という“名前”も、どうやらこのタイプの名前のみを指して称するもの言いであるようです。
先の例を使うと、「プリウス PHV」は固有名詞か? である(ない)として、その理由は何か? という問題意識につながります。
そして、あとの3種類は、いずれも「名前として認知されていない」ないしは「名前と認識されていない」と言えそうです。
残る3種類を具体的に述べると、
- 「クラス」に対する「言語的」な名前
こちらはまだしも、
- 「クラス」に対する「記号・番号的」な名前
- 「インスタンス」に対する「記号・番号的」な名前
について、これらの名前そのものも、これらが名前であることも、認知度は一概に低いと言えそうです。
次回予告を兼ねて
わが家にもある先ほどの掛け時計ですが、その「インスタンス」に、名前はありません。
これはどういうことなのか。
上述の発見事項とからめて整理していきます。
つづく。
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