9月15日「あすなろラボ」での林修さんの恋愛論授業で使われた名言・格言の出典調査報告です。
一覧はポータルページにまとめています。他の名言はそちらからどうぞ。
名言(整理番号 1)
初恋は、男の一生を左右する
フランスの小説家 アンドレ・モロワ/André Maurois(1885-1967)
出典
1956年のエッセイ集『未知の女性への手紙』(原題:Lettres à l’inconnue)の「初恋」(Le Premier Amour)です。
このエッセイ集は、全部で60編の「手紙」で構成されています。各編の分量は、邦訳で言うとどれも3~6ページほどです。
で、「初恋」は50番目にあり、冒頭に前掲の「名言」が出てきます。
邦訳の、アンドレ・モーロワ『愛に生きるとき―未知の女性への手紙』(1968)から引用します(谷長茂訳)。※太字は引用者
初恋は、男性の心に生涯にわたる烙印(らくいん)を押すものです。もしこの恋が幸福なものであれば、はじめて青春の感情をめざましてくれた女性、あるいは若い娘が、もしこの感情にこたえ、誠実な態度をしめしてくれたなら、その男性の全生涯は信頼と平穏の雰囲気につつまれたものとなるでしょう。はじめて身も心もゆだね、意中をうちあけたいと願いながら、剣もほろろにはねつけられ、裏切られた男の痛手は、すぐにはふさがることなく、その精神衛生状態はいつまでも損なわれたままあとをひくことでしょう。(p.243)
冒頭のトピックセンテンスで主張を簡潔に示し、続く記述でかみ砕いて説明していく、まさに王道の書きぶりです。
原文
Google Livres『Lettres à l’inconnue』(books.google.fr)から引用します。
Le premier amour marque un homme pour la vie. (p.171)
著作権の存続している作品だからだと思いますが、本文を順に閲覧することはできず、検索結果としてしか表示されません。ですので、キーワードを入れて引っ張り出しました。
英訳
参考に、英訳です。これもGoogle ブックス『To an Unknown Lady』を検索して引っ張り出しました。
His first love affair marks a man for life. (p.134)
出典調査報告としては以上です。
続編?の予告
邦訳で3ページしかないですし、「初恋」の全文を読んでみました。そこそこ面白かったです。読みようによっては、昨今の「二次元」ブーム、「熟女」ブームを予見しているようにも取れたからです。
詳しくは次の記事で書きます。つづく。
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