運輸安全委員会「事故調査報告書」の最初に書いてある大事なこと

こんにちは。既に知っている方には当たり前すぎる話ですが、大事なことなので書きます。

運輸安全委員会(JTSB)とは

運輸安全委員会(JTSB)

運輸安全委員会は、「航空」「鉄道」「船舶」の事故や重大インシデント(事故が発生するおそれがあると認められる事態)について、原因の究明を行う機関です。

運輸安全委員会サイトhttp://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html より

法的根拠

運輸安全委員会設置法(law.e-gov.go.jp)によります。国土交通省の外局の位置づけです。(第3条)

報告書の冒頭に書いてある大事なこと

全部を確認したわけではないので「自分が見た範囲では」の意味ですが、運輸安全委員会による事故調査報告書の最初には必ずこのような一文が付けられています。

例として、鉄道事故の中から現時点で最新の調査報告書「京浜急行電鉄株式会社 本線 追浜駅~京急田浦駅間 列車脱線事故」(PDF)より引用します。「現時点での最新」を例にしただけで、他意はありません。(下線は引用者)

…事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない

責任を問うための報告書じゃないよとわざわざ宣言してあります。

事故調査報告書に書いてあること

僕なりにまとめると、委員会の報告書には大きく次の3つのことが書いてあります。

  • なにがあったか
  • なんでこうなったか
  • どうすればいいか

書いていないこと

半面、「誰が悪い」やら「何が悪い」やらは書いてありません。そう判断できそうな事実についても、ただ客観的に述べられています。

一文の意味

責任の所在を追及することは、「原因究明」や「事故の防止」や「被害の軽減」に寄与しないと判断されているわけです。僕もこの判断を支持します。

昨今の土下座ブームにも象徴される、過剰なまでの責任追及と公開つるし上げが大好きな国民性の中で、こういう発想の委員会が運用されていることは奇跡に近いです。

問題解決に寄与しない責任追及に明け暮れるよりよほど生産的ですから、運輸安全の分野にとどめておかず、なんとか常識に持っていきたいです。

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