9月15日「あすなろラボ」での林修さんの恋愛論授業で使われた名言・格言の出典調査報告です。
一覧はポータルページにまとめています。他の名言はそちらからどうぞ。
名言(整理番号 5)
ほどほどに愛しなさい。長続きする恋はそういう恋だよ。
イギリスの劇作家 シェイクスピア/Shakespeare(1564-1616)
出典
『ロミオとジュリエット』第二幕第六場から
ロミオへ向けた修道士(friar)ロレンスの台詞です。
参考訳
前後も含めて引用します。文言は一致していません(詳細は後述します)が、小田島雄志訳『ロミオとジュリエット』(白水Uブックス)からです。(太字は引用者)
このようなはげしい喜びにははげしい破滅をともなう、
勝利のさなかに死が訪れる、火と火薬のように、
口づけするときが四散しはてるときだ。
甘すぎる愛はその甘味ゆえにいとわしく、
味わうだけで食欲も消えはてるもの。
だからほどよく愛するのだ、それが永き愛の道、
いそぎすぎるのはおそすぎるあゆみと同じことだ。
(p.99)
原文
対応する原文は
Therefore love moderately: long love doth so;
です。
前後の原文です。Project Gutenberg から取りました。(太字は引用者)
These violent delights have violent ends
And in their triumph die, like fire and powder, Which, as they kiss, consume. The sweetest honey
Is loathsome in his own deliciousness
And in the taste confounds the appetite.
Therefore love moderately: long love doth so;
Too swift arrives as tardy as too slow.
残:訳者は未解明
冒頭に挙げた文言どおりの日本語訳にはまだ出会えていません。「その日本語は誰が書いたか」は、引き続き調査します。
これではない
近場の書店、図書館等でざっとあたって「違う」と確認できたものは次のとおりです。
出版元『書名』(訳者:翻訳年) の書式で記載します。
- 青空文庫(Kindle)『ロミオとヂュリエット 03 ロミオとヂュリエット』(坪内逍遙訳:1910)
- 新潮文庫『ロミオとジュリエット』(中野好夫訳:1949)
- 中央公論社『シェイクスピア〈2〉 (世界の文学セレクション36)』(福田恆存訳:1964)
- 白水Uブックス『ロミオとジュリエット』(小田島雄志訳:1965)
- ちくま文庫『シェイクスピア全集 (2) ロミオとジュリエット』(松岡和子訳:1996)
- 角川文庫『新訳 ロミオとジュリエット』(河合祥一郎訳:2005)
河合訳以外の翻訳年については、次の文献を典拠としました。
佐野昭子「日本における『ロミオとジュリエット』」(PDF)|「帝京大学文学部紀要 英米言語文化」第37号(2006)
こちらも参考に、できる限り未調査分を調べます。
同一の訳文は「ない」と予想しているので、それを確認するためです。
(2013/10/07追記)
追加で1つ確認しました。
- 岩波文庫『ロミオとジューリエット』(平井正穂訳:1979)
だから、恋はほどほどにするものだ、
そのような恋こそ長続きする
と、かなり近いですが、同一ではありません。
本件調査はいったん終了とします。考察結果は別途まとめます。
林修さんとの接点
林さんの出演した「世界は言葉でできている」(2011年10月19日放送)の穴埋め問題に、この言葉が使われたようです。
参考:TVでた蔵
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